アダム・グリーン @ ココ、ロンドン (8th Apr. '08)
我が道ゆくよ、のほほんと
はじめてツアーの広告か何かでアダム・グリーンを目にした時は、彼がザ・ストロークスのヴォーカリストであるジュリアン・カサブランカスにあまりに瓜二つで、そのことが特に大きな印象として残っていたが、英国での所属レーベルが同じかつ、親交があるということを別にして、実際には彼らの間に血縁関係は全く無く、音楽性も大分異なっている。アダムの音楽がどういうものかというと、まずその甘いルックスに似合わぬおっさん臭い魅惑のロウ・キィ・ヴォイスに意表を突かれる。ところどころにブルーズの渋さが顔を出すものの、全般的な曲調はフォーキィで、懐かしい匂いと、安心して耳を傾ける事のできる地に足ついた音作りが特徴だ。ザ・モルディ・ピーチズというバンド活動も行っているが、ここ数年はソロ名義での作品リリースが目立ち、今回も先月18日にUK内で発売されたニュー・アルバムを引っ提げての、久々のロンドン公演となった。
まあ、前述した様に、CDのアートワークであれ、メディアに頻出するイメージからのアダムは、ちょっと気は弱そうだが可愛い顔立ちゆえ、一部の婦女子をときめかせていたのであろうが、昨年英国の音楽番組に出演していた彼は顔が横へ横へと膨張し、ジュリアンのジュの字も被る事無いほどに見苦しくなっていた。が、人前でパフォーマンスする緊張感か顔も体も昔の様に細めに戻り、ココのステージでは白いフリンジをひらひらさせ、右へ左へ行き交い歌い踊る彼の生き生きした姿に好感。もっと、アコースティック・ギターをポロリン、としんみりしたムードになるのではと思っていたので、活発なその動きとそれに比例した力強いバンドの演奏、時にハモンド・オルガンがサイケな雰囲気を生み、エルヴィス・プレスリィでは!?とまで思わせるとにかく深いテノール・ヴォイスがバック・コーラスの女性のパワフルな歌と交じり合い、陽気かつ、大人な雰囲気を生み出している。
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アダムの悲哀と独特のユーモアに彩られた歌の歌詞も個性的で言葉のセンスを感じる。決して英語が得手ではなくても、例えば二つのセンテンスの終わりで韻の踏み、それに乗るメロディのまったりした感じが絶妙に合っているので、感覚で聴いたとしても十分に楽しめる世界観だ。大衆ポップスでも、アンダーグラウンドでもない、アダム・グリーンの音楽には、特にこれだっという様なキラー・チューンは無い。そういう意味では一聴してピンと来る様な類の音楽ではないけれど、春の陽気の中でのんびり散歩をしたり、芝生に寝転んだり、リラックスした心持ちで耳を傾ければ、ほのぼの気分間違い無しだ。きらびやかな照明の中、痛快なロック・チューンを中心としたステージングではあったが、最後にはそう、ほのぼのとした余韻の残った不思議なライヴであった。
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report and photos by kaori
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我が道ゆくよ、のほほんと : (08/04/09 @ Koko, London) : review & photos by kaori
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2008
我が道ゆくよ、のほほんと : アダム・グリーン : (8th Apr. @ ココ、ロンドン)
命燃え尽きるまで : ギャロウズ : (29th Feb. @ アストリア, ロンドン)
みんなの、ミーカ : ミーカ : (28th Feb. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア, ロンドン)
2007
一等星はかがやく : パトリック・ウルフ (21st Dec. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア, ロンドン)
年忘れ音頭でヨヨイ : カイザー・チーフス (15th Dec. @ アールズ・コート、ロンドン )
近未来の戦士達 : クラクソンズ (6th Dec. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン )
ゴス壇場の帝王 : マリリン・マンソン (5th Dec. @ ウェムブリィ・アリーナ、ロンドン)
隠れ最強ロック : ザ・ハイヴズ(23rd Nov. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
身近なプリンセス : ケイト・ナッシュ(13th Nov. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
結束したバンド力 : ザ・ナショナル(8th Nov. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
秋の夜長はシンズがいい : ザ・シンズ(7th Nov. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
今を燃やし尽くせ : エンター・シカリ(6th Nov. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン)
現役に勝る者無し : ザ・シャーラタンズ(5th Nov. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
醒めない夢のひとときよ : ルーファス・ウェインライト(31st Oct. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
飾り気無しの痛快ロック : ザ・クリブス(17th Oct. @ フォーラム、ロンドン)
四次元グルーヴ : バトルス(11th Oct. @ ココ、ロンドン)
グレイ・ゾーンを脱却して : エディターズ(8th Oct. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン)
大所帯カントリィ : ザ・ニュー・ポルノグラファーズ(4th Oct. @ ココ、ロンドン)
現代版、グラム・ロック : ザ・ダンディ・ウォーホルズ(3rd Oct. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
痙攣ギターの暴走は止まらない : フォールズ(2nd Oct. @ スカラ、ロンドン)
食らえ、ライオット : ギャロウズ(26th Sept. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
おしゃべりさえも歌になる : ファイスト(24th Sept. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
マイノリティの救世主 : ザ・ゴシップ(14th Sept. @ フォーラム、ロンドン)
どうした!?ゴー!チーム : ザ・ゴー!チーム(12th Sept. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
せつなさは、直立不動ロックと共にあり : ザ・ジーザス・アンド・メリー・チェイン(7th Sept. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン)
健全・安全・好青年 : アスリート (5th Sept. @ HMV、ロンドン)
やんちゃな成犬、余裕のラスト : ザ・ストリーツ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
ロックンロールでいいじゃない : ダーティ・プリティ・シングス (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
乗らずにいられぬこの挑発 : エム・アイ・エイ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
ポジティヴは勝つ : ザ・ゴー!チーム (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
ブレーメンの音楽隊 : ザ・ランブル・ストリップス (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
一発屋の彷徨 : ジ・オートマティック (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
絡んでも、絡み足りない : フォーワード・ロシア (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
詩人がバンドを組んでみたら : アート・ブルート (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
燃える地球の裏側 : ボンヂ・ド・ロレ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
あまたのバンドと何が違う? : ザ・ウォンバッツ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
日向で爆発、陽のパワー : ピーター・ビョーン・アンド・ジョン (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
可愛いだけじゃあ、だめなのよ : ライロ・カイリィ (20th Aug. @ イズリントン・アカデミィ、ロンドン)
宵を彩るファンタジスタ : シザー・シスターズ (26th Jul. @ ジ・オートゥ、ロンドン)
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