ギー @ 大阪・福島 セカンド・ライン (5th Apr '08)
"レコンキスタ" ツアー
ここからツアーが転がりはじめる
今日のライヴは、なんといっても2回のアンコールを含めた最後の4曲につきる。本編ラスト"The last chord"で、ギターを投げ出し、マイク・スタンドを足下のスピーカーの上にのせ、客席に飛び込もうかという勢いで歌う近藤。それに引っ張られるように、メンバーそれぞれの持ち味が全開になる。下北沢の251や京都MOJOよりも広めのステージで4人の周りの空気がぶわっとふくらみ、照明の光すらこれまでより強く光っているように見えた。それに呼応して、自由にステップを踏み、思うさま腕を振り上げ、会場を揺らすフロア。このスピードと熱、一体感。これが、みんなが求めていたギーなのだ。
今回のツアー、そして大阪で初のワンマン。東京の初日はイベントの3番手で、トリではなかったし、京都ではアンコールはあったけれどやっぱり短い時間での出演。ここにきてやっと2月のインタビュー時にメンバーが話していた「長いギー」を見ることができる。途中のMCで「ぶっちゃけ、持ち曲全部やりますから」と深沼が言ったのは、大げさでも何でもなく、本当にアルバム収録曲全部を披露したのだった。
ここからが本当のツアースタートだ。
時間が長くなっても、ライヴ・バンドとしての完成度の高さはもう文句ナシ。ライヴで何度もやっている曲は安定感を増しているし、完全にアルバム向けだと思っていた"Devil's menuett"や"No knock"などのスローなナンバーが聴けるのはワンマンならでは。そのことは単純にうれしい。うれしいのだけれど……、それだけだと、まるで普通のバンドみたいじゃないか? ギーにはさらに上のものを求めたくなる。「いろんな曲がたくさん聴けて、ワンマンていいね」みたいな当たり前のコメントが書きたくてここに来ているワケじゃないっ! もっともっと短距離走の勢いでマラソンを駆け抜けるようなライヴが観たいんだ。そんなジレンマを感じ始めたところへ、近藤がマイク・スタンドと一緒に一歩前へ出てきた。これが全力疾走開始の合図だった。「これだよ、これ! この感じが欲しかった!」と思わせてくれるパフォーマンス。"Cheers for the sun"〜"Can't hug a hater"と最高にアッパーなチューンでめちゃくちゃに暴れ回り、ステージとフロアの間にある隙間をとっぱらっていく。この勢いが冒頭に書いた本編ラストへと繋がっていくのだ。
1回目のアンコール。"Perfect place"から"Beautiful stungun"へと続く流れの美しさは筆舌に尽くしがたい。前日の京都で、アンコールは何をやるんだろう? といろいろ想像していたものをいい意味で裏切ってくれた"Perfect place"は、ギーの中では珍しいポップな匂いのする曲。アルバムでは、歌詞が終わると同時に曲も終わるところを、ここでは次の展開を示唆するようなメロディが入り、ほとんど間を空けずに次曲のイントロに繋がっていく。正確に計算されたアレンジの勝利。これは、ぜひ実際に聞いて、その巧みの技に鳥肌を立てて欲しい。
絶妙なコントロールを魅せられたアンコールで、熱くなった観客がこのまま引き下がるはずもなく、再びメンバーを呼び戻す。最後の最後は、もうステージも客席もペースを考える必要などないのだから、お互い存分に力を出し切ってライヴを終えた。ピールアウトのラストツアーのTシャツを着て前に陣取り、がんばっていた男の子が、汗だくで「満足!」というような笑顔を見せていたのが印象的だった。
このワンマンでギーが手に入れたものは確実に次に繋がったようで、翌日の名古屋ではトリプル・アンコールになったと聞いた。このまま行くと、ライヴのパワーは札幌、旭川、仙台、鹿児島、福岡と、右肩上がりになっていくと予測される。以前、ヤナが話してくれた「ツアーを回ることでバンドの魅力がどこまでひきだされていくのか、末恐ろしさを感じる」という言葉の一端を大阪で見た気がした。ツアー・ファイナルの東京ワンマンまで、ギーを一瞬たりとも見逃したくなくなった。
"Reconquista"ツアー
4月2日:下北沢クラブ251
4月4日:京都MOJO
4月5日:大阪・福島ライヴスクエア・2ndライン(ワンマン)
4月6日:名古屋クラブ・ロックンロール(ワンマン)
4月11日:札幌スピリチュアル・ラウンジ(近藤、深沼の各々ソロの弾き語り)
4月12日:札幌スピリチュアル・ラウンジ
4月13日:旭川カジノ☆ドライヴ
4月19日:仙台マカナ
5月8日:鹿児島SRホール
5月10日:福岡ドラム・サン
5月18日:代官山ユニット(ワンマン)
*詳細はオフィシャル・サイトでご確認ください。
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report by wacchy, photos by tommy
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mag files : Gheee(ギー)
引きずり込まれるロックフィールド : (08/04/06 @ Nagoya Rock'n'Roll) : review by takuya, photos by yoshitaka
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失われた可能性を取り戻すために : (08/04/02 @ Shimokitazawa Club 251) : review by nob, photos by wacchy
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