ダイナソー・ジュニア @ 渋谷オーイースト (26 Mar. '08)
進化も退化もせず恐竜は恐竜であり続ける
ようやく桜が咲き、春になり、厚着をして自転車に乗ると汗ばんでくる季節にダイナソー・ジュニアがやってきた。あまりそういう季節にお似合いではない。春風のウキウキした空気と共にバンドがやってきた! ということはなく、あくまでも平熱な感じである。さすがに2005年、突如オリジナルメンバーで再結成してフジロックにやってきたときには、気分がかなり盛り上がっていたけど、その後は2006年に単独来日ツアー、そしてサマーソニック07に出演と、すっかりお馴染みになっていたので、こちらも平常心で迎えることができた。
会場である渋谷O-Eastのお客さんの入りは、ぼちぼちといった感じ。ステージ前に陣取る人を中心にバンドのTシャツをしっかり着ている人はいる。ステージ下手にあるJマスキスの側には、マーシャルのアンプがたくさん積まれていて、中央のドラムセットは、ごくシンプルなものである。楽器とアンプ以外は何もない簡素なステージだ。フロアも埋まり、開始予定時刻を15分くらい過ぎたところでJ、ルー・バーロウ、マーフが現れる。Jは相変わらず髪が長くて、メタボリックな体型だ。ルーはちょっと痩せたかな。マーフも相変わらずスキンヘッドだ。Jの歩き方がのそのそしているし、巨体でもあるので、まさに恐竜だ。低い声で「ハロー」と一言、楽器を構えて"イン・ア・ジャー"からライヴが始まった。
Jは壁のようになっているマーシャルアンプからギターノイズを放出し、ルーは低い位置に構えたベースをピックで激しい動作で弾く。その様子は、2005年以降何度かライヴを見ているけど、特に何が変わったことはなく(アンプの台数が増えた程度)、相変わらずのグランジ芸というべきステージの存在感だった。これといった映像などの演出もなく、ライトも至ってシンプル。だけど、そんなことはライヴ中に気になったことはなかったし、物足りないと思ったこともない。ダイナソー・ジュニアのライヴは博物館に行って恐竜の骨格の標本を眺めるだけで飽きないというのに似ている。博物館にいる恐竜は、進化も退化もせずにずっと恐竜であり続ける。そして、ステージでは音楽だけがただ鳴っているという。メッセージも意味もなく、それぞれの楽器を鳴らしていることだけが楽しいという世界。ただ、それだけのことがこんなにも魅力的で素晴らしいことなのかという驚きがある。オンとオフがはっきりしているというか。ダイナソー・ジュニアは音が鳴っているときだけがすごいアーティストなのだ。例えばデヴィッド・ボウイみたいに四六時中格好いいアーティストなわけではない。
別にゆるいわけじゃないし、かといって緊張感に包まれることもないし、確かに轟音で激しいロックではあるのだけど、この不思議でなんともいえないステージをずっと眺めていたのだ。特に挨拶もせずに本編が終了する。去っていった3人を呼び戻すべく、お客さんたちはアンコールを求める。ようやく戻ってきた3人は"フリーク・シーン"、そして"ワゴン"。この2連発でステージ前のお客さんは激しく反応して盛り上がる。やっぱり思い入れという点で、この2曲は格別なものがある。最後は"チャンクス"。ルーの歌にJが鋭くてノイジーなギターリフを重ねていく。この轟音はすさまじい。そして、演奏が終わりお客さんたちの拍手も止むと、また平熱に戻っていくのだった。
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The featured photos were from the show at Club Quattro in Nagoya on the 24th.
report by nob and photos by yoshitaka
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