ミーカ @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン (28th Feb. '08)
みんなの、ミーカ
昨年のフェスティヴァルで初めてミーカのステージを目にした時は、とにかくどこからそんな声が出てくんのさと思わせるほどの、マライア・キャリーも真っ青な虹色7オクターヴの美声ばかりが印象に残り、楽曲にまで深く耳を傾けて聴いていなかったように思う。声楽の素養に裏打ちされたそんな彼の歌声は、勿論独特の個性として際立ってはいるけれども、あまりに長時間にわたって甲高いファルセットでアーアーされたら、30分もすればお腹いっぱい、というところがその時の正直な感想だったと記憶している。けれども、実際彼の単独公演をこうして体験した今、華麗でエンターテインメント性に満ちたステージングと、強力なサポート・バンドと一体になった、これぞショウと言えるひとときに、寧ろ周囲の人々と同じ様にハッピーな笑顔で見続ける自分がいた。 |
風船人形に囲まれたきらびやかなステージの上を往来しながら、自由自在に音域を操るミーカの歌声は、上手い、というよりも凄い、という形容が相応しい。普通ならば考えられない声域でも、綺麗なファルセットが彼の喉から舞い上がり、気持ち良く天を突き抜けていく感じだ。共に歌う女性ヴォーカルが高音域を担当すれば、その下をしっかりとなぞる低音ヴォイスの逞しさに、この歌声が表現する深い魅力に気づかされる。古くはアバ,プリンス、近年でいうとシザー・シスターズらを思わせるポップで陽気なナンバーを主軸にしながらも、はじけっぷりは至って健全。だからなのか若い観客の中には多くの家族連れの姿が目立った。親子して口ずさめる明るい歌と音楽がミーカの良さであり、NHKの歌のお兄さんとしてでもやっていけそうな人当たりの良いルックスも手伝い、それを一緒になって楽しもうと盛り上がる彼とバンドのステージングが一体となって今この時を楽しんでいる様子だ。ほぼ全曲で沸き起こった大合唱にも、だから十分に納得。
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実は今夜のギグは、昨年末にミーカの喉の不調により延期されたことによる振替公演だったのだが、しっかりと静養できたと見たミーカはこれでもかとばかりに自慢の喉をならし、ブリキ仕様の太鼓まで叩く大はしゃぎっぷり。19ヶ月続いたというツアーを締めくくる割れんばかりの大喝采に爛漫な笑顔を見せていた。先ごろ英国内で発表されたブリット・アウォーズでは最優秀新人賞を獲得したりと、勢いはまだ続いている。鳴り物入りで登場した感も否めなかったが、みんなで楽しく歌って盛り上がった、単純に気持ちの良いライヴであった。普遍的なポップスに後押しされた類い稀なる才能がこれだけ多くの人の心に届くのならば、こんなに素敵なことはない。
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report by and photos by kaori
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mag files : Mika
みんなの、ミーカ : (08/02/28 @ Brixton Academy, London) : review and photos by kaori
ワンダーワールドはキリの良い所までが丁度良い : (07/06/24 @ Glastonbury Festival, Pilton) : review by kaori, photos by ryota
photo report : (07/06/24 @ Glastonbury Festival, Pilton) : photos by ryota
photo report (07/03/15 @ Eternal, Austin TX) : photos by keco
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2008
みんなの、ミーカ : ミーカ : (28th Feb. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア, ロンドン)
2007
一等星はかがやく : パトリック・ウルフ (21st Dec. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア, ロンドン)
年忘れ音頭でヨヨイ : カイザー・チーフス (15th Dec. @ アールズ・コート、ロンドン )
近未来の戦士達 : クラクソンズ (6th Dec. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン )
ゴス壇場の帝王 : マリリン・マンソン (5th Dec. @ ウェムブリィ・アリーナ、ロンドン)
隠れ最強ロック : ザ・ハイヴズ(23rd Nov. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
身近なプリンセス : ケイト・ナッシュ(13th Nov. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
結束したバンド力 : ザ・ナショナル(8th Nov. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
秋の夜長はシンズがいい : ザ・シンズ(7th Nov. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
今を燃やし尽くせ : エンター・シカリ(6th Nov. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン)
現役に勝る者無し : ザ・シャーラタンズ(5th Nov. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
醒めない夢のひとときよ : ルーファス・ウェインライト(31st Oct. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
飾り気無しの痛快ロック : ザ・クリブス(17th Oct. @ フォーラム、ロンドン)
四次元グルーヴ : バトルス(11th Oct. @ ココ、ロンドン)
グレイ・ゾーンを脱却して : エディターズ(8th Oct. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン)
大所帯カントリィ : ザ・ニュー・ポルノグラファーズ(4th Oct. @ ココ、ロンドン)
現代版、グラム・ロック : ザ・ダンディ・ウォーホルズ(3rd Oct. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
痙攣ギターの暴走は止まらない : フォールズ(2nd Oct. @ スカラ、ロンドン)
食らえ、ライオット : ギャロウズ(26th Sept. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
おしゃべりさえも歌になる : ファイスト(24th Sept. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
マイノリティの救世主 : ザ・ゴシップ(14th Sept. @ フォーラム、ロンドン)
どうした!?ゴー!チーム : ザ・ゴー!チーム(12th Sept. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
せつなさは、直立不動ロックと共にあり : ザ・ジーザス・アンド・メリー・チェイン(7th Sept. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン)
健全・安全・好青年 : アスリート (5th Sept. @ HMV、ロンドン)
やんちゃな成犬、余裕のラスト : ザ・ストリーツ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
ロックンロールでいいじゃない : ダーティ・プリティ・シングス (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
乗らずにいられぬこの挑発 : エム・アイ・エイ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
ポジティヴは勝つ : ザ・ゴー!チーム (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
ブレーメンの音楽隊 : ザ・ランブル・ストリップス (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
一発屋の彷徨 : ジ・オートマティック (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
絡んでも、絡み足りない : フォーワード・ロシア (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
詩人がバンドを組んでみたら : アート・ブルート (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
燃える地球の裏側 : ボンヂ・ド・ロレ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
あまたのバンドと何が違う? : ザ・ウォンバッツ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
日向で爆発、陽のパワー : ピーター・ビョーン・アンド・ジョン (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
可愛いだけじゃあ、だめなのよ : ライロ・カイリィ (20th Aug. @ イズリントン・アカデミィ、ロンドン)
宵を彩るファンタジスタ : シザー・シスターズ (26th Jul. @ ジ・オートゥ、ロンドン)
悲しくても泣けない時がある : ブライト・アイズ (4th Jul. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
暴れん坊がゆく! : ノイゼッツ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
ワンダーワールドはキリの良い所までが丁度良い : ミーカ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
叫ぶなら中身を詰めよ : ザ・ホラーズ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
陽気で緻密なサウンド・マジック : ザ・ゴー!ティーム (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
大団円はもらった : ザ・ゴシップ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
夢見る頃は過ぎない : パトリック・ウルフ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
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