カクバリズム5周年記念イベント feat. ユア・ソング・イズ・グッド、サケロック、イルリメ、キセル、二階堂和美、サイプレス上野とロベルト吉野 @ 渋谷AX (1st Dec. '07)
最大公約数にならない音楽達
生まれてこのかた、レーベルという単位で音楽を聞こうという意識はほとんど持ったことはなかった。そんな自分にとってカクバリズムの登場はかなり新鮮な感動を与えてくれたと思っている。ユア・ソング・イズ・グッド(以下、ユア・ソン)、サケ・ロックと次々に心のど真ん中を突くバンドを紹介してもらい、そこにある人の繋がりと、そこから生まれる音楽は、レーベルという囲いがなんら不自由なものではないことを教えてもらった。3年ぐらい前、下北沢シェルターのカクバリズムイベントでユア・ソンとサケ・ロックの対バンのチケットが公演日直前でも余裕で買えたのを思い出す。この日は渋谷AXに目一杯の人。チケットはもちろんソールド・アウト。実にめでたい5周年記念だった。
アニバーサリーということもあり、レーベル所属の主要アーティストのほとんどが集結。17時スタートで、6バンド出演というかなりの長丁場だ。その幕を開けたのは、サイプレス上野とロベルト吉野 の2人組。歌謡曲からハードコアまで、幅広い選曲にのせてラップをガンガンとかましていく。フロアを煽り、グングンとグルーブを作り出して行く様が実に愉快で痛快だった。以下、出演順にレポートしていきます。
二階堂和美。がっつりライブを見るのは始めて。正味の話、泣けました。レコードを聞いた限りでは、相当素直なシンガーという印象だったのですが、やっぱり生で聞かないと分からないもの。リズム感もバッチリとステージを跳ねまくる彼女は、まるで劇でもみているかのような感覚が湧き起こってくる。こちらの感情は激しく揺さぶられ、彼女の世界にドンドンと入り込んでいく。そして、あのキュートな笑顔を見せられた時にはコロリと彼女にやられてしまった。意外に男気溢れるシャウトも含めて得がたい経験だった。
イルリメ。個人的には今年のフジロックベストアクトは彼のステージだった。その時のまま、オーディエンスをがっつりと巻込むステージングは相変わらず圧巻。作り込まれたエンターテイメントと造り出されたエンターテイメントの違いが実に良くわかる。ドラムスにリズムマシーンと常にライブ感を忘れないパフォーマンス。それは常に目線がフロアに向かってるからだろう。最後はAX中をダイブして大円団の盛上がり。根性入れなきゃあんな楽しい空気は生まれない。素晴らしいステージだった。
キセル。本当にここがライブハウスかと思ってしまった。フジロックにいるか、朝霧ジャムにいるかと勘違いしてしまうぐらいの空気感を渋谷のライブハウスに流し込む。優しく、繊細なメロディーが生み出す開放感に本当に心を打たれた。正直、これまでほとんど耳を傾けた事のない音であったが、新鮮な感動をもらってしまった。
サケロック。このバンドの良さってヘタウマ感だと思ってますが、この日もその辺がしっかりと滲み出る好ステージ。外した感じが気持ち良く、上に向かおうという気持ちがとってもチャーミング。そこで、もがく感じがとても素晴しいバンドだ。サケに飲まれてゆらゆら揺れて、やっぱりそれが気持ち良い。そんなパフォーマンスを見せてくれた。
トリはカクバリズムの4番バッター=ユア・ソン。とにかく楽しいの一言だけ。音楽的にはスカをどうとか、カリプソをこうとかと言えるのでしょうが、そんなものはステージ端っこに置いてきましたという感じが素晴しい。MCも含めてのパーティートラック連発で、フロアに大量の汗をかかせる。アンコールでステージに昇った二階堂和美が熱気ムンムンのパフォーマンスにビクッリしてましたが、基本はやっぱりそこにある。どんなものも熱がなければ温まらないのだ。ユア・ソンはそんなものを非常に分かり易く、単純に見せてくれる素晴しいバンドだ。やっぱり汗掻きました。
改めて眺めてみると、全く共通項がないというか、一芸のアーティストばっかりだ。最大公約数的な音楽なんて一つもない。だからこそ、このレーベルがこれほど魅力的なんだろう。「このレコードマジでヤバいよ。」と友達に唾を飛ばして語っているような感じがする。レーベルなんてものに囲われていようが、なかろうが、いい音楽はいい。これは一つの真理だ。だけど、カクバリズムという視点はもう一つ音楽に面白さを付け加えてくれた。この日の午前中に10数kmを走り、開演時は疲労の塊だった自分が、5時間後にはピンピンしてた。やっぱり音楽ってのは素晴しいのだ。 |
|
|