エクストリーム・ザ・ドージョー Vol.19
feat. イェスー、ゾンビ、ムーディ・オン・ザ・サクバン
@ 心斎橋クラブクアトロ (28th Nov. '07)
こんなDOJOもアリだな
黒のフーディーにヒップハングのジーンズ。フードを深く被り機材のセッティングを行う長身の男性。その姿、まさに今春アイシスの前座で見たファイナル(Final)そのもの。フロアーの客は、まだそれが誰なのか気付いていない。セッティングが終わろうとした頃、その人物が本日の主役、ジャスティン・ブロードリック本人であることに気付きはじめた人たちがどんどんステージ前に集まってきた。いつの間にこんなに集まったのかと思うほどの観客。開演直後は「これじゃぁちょっとさみしいよねぇ」という人数だったのだが。
「今回のDOJOは少し趣向を変えてみました」とのことだったが、それでもイェスー(Jesu)は充分「DOJO」にふさわしいくらい重く、そして、激しかったのではないだろうか。
プログラミングされた音の上にずっしりとナマの音。一切の無駄を省いていながらも力強く鳴らされるドラムと、ゴリゴリしたベースと、見ていても聞いていても美しい7弦ギターが1本。ヴォーカルは残念ながら他の音に埋もれてしまって私には聞き取れなかった。それでも、どこか心地良いヘヴィーさ。翌日も耳鳴りが治まらず、あれはやはり爆音だったのかと思ってみても、「やかましい」と感じることのなかった彼らの音楽。
それまでずっと「一歩引いた」感じて見ていた観客が、イェスーの音が鳴り始めると一斉に首を振りはじめた。みな真剣な眼差しでステージを眺めつつ聞き入ってしまっている。そうなると、自然に頭を振ってしまうものである。一緒に大声で叫んだり、跳んだり跳ねたり、暴れたりしなくても、ただその場で、ナマで聞いているだけで、その音圧も迫力も、うれしく感じてしまうような不思議なバンドだ。なんだかとても満足そうな表情を浮かべていた人が多かったように見受けられたのは私だけだろうか。
コンピューターにつながれた大小3,4台のキーボードと、それに呼応するように叩かれる繊細なニュアンスをも表現してしまうようなドラム。ベースを弾きながらキーボードも同時に演奏してしまうという場面も見られたが、ゾンビ(Zombi)というデュオが織りなす音世界は、ユニット名からなんとなく想像していたものとは全く正反対だった。決して濁流を流れるような激しさはない。これからこの曲はどうなっていくのだろうというドキドキ感だけがずっと続いていくような感覚。ふとピンク・フロイドの"One of These Days"を思い起こしてしまう。
「え〜、僕ら、ムーディ・オン・ザ・サクバンと言います。」と、おそらくステージ中に10回は言ったであろうこの日のトップ・バッター、ムーディ・オン・ザ・サクバン(mudy on the 昨晩)。ギターリストが3人もいるのにそれを活かしきれていないようにも聞こえる部分もあるし、曲の持つエネルギーを5人全員で見せ切れていないと感じる部分もあった。だが、自分たちのバンド名をきちんと言わないで終わってしまうバンドも多いように思える昨今、これだけハッキリ名乗れるのだから、もっと場数を踏めば面白い成長を遂げるかもしれないなという印象の新人インスト・バンドだ。かわいいジャケットの手作りデモCD(300円だ)、今後への期待も込めつつ、つい買ってしまったのであった。
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2007
こんなDOJOもアリだな : エクストリーム・ザ・ドージョー Vol.19 (28th Nov. @ 心斎橋クラブクアトロ)
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