buttonザ・ハイヴス
@ ハマースミス・アポロ、ロンドン (23rd Nov. '07)

隠れ最強ロック・バンド


The Hives
 なんでもかんでもチャートにしたり、それこそこれからどこの媒体も騒ぎ出すであろう、年間トップ50アルバムだのといった順位付けには興味がないので、勝手にどこかの誰かが決めたロック史におけるベスト・オウ゛バンドなんぞという特集などで、自分の好きでも何でも無い、いや寧ろ同意すらできないグループなんかが1位だったりすると、勝手に決めんな、と怒り心頭になる。そう、個人の好みは十人十色で、私がそうでもその順位に異議無しの人も多かろうし、逆に私の個人ベスト10を見た人が、冗談じゃねえ、と空き缶を投げつけてくるかもしれない。でも、それが自然だと思う。色々なグループがあって、個性が沢山存在して、だから世界が活性化するし、お互いへの刺激にもなる。盲信的に100人が100人特定の誰かを支持する必要もないし、そんなの気持ち悪い。今の私の世代にとって、現役の最強ロック・バンドは、と尋ねれば、多くの人がレッド・ホット・チリ・ペッパーズと答えるのかしらん。メタリカやらミューズやら線の太いの細いの、アメリカからイギリスから色々意見はあろうが、今回一個人として自信を持って推すのは、そのロック二大国からではなく、リアス式海岸からこんにちはで、スウェーデン発の5人組ザ・ハイヴスである。もう、初のライヴでどったまげた。この人達は凄過ぎる、今までずっとダークホースとして今ひとつ前に出られなかった感があるが、バンドとして、機は熟している。

The Hives  ハイヴスのユニークな所は、デビュー当初から貫くフォーマルに決めたそのかっちりステージ衣装に、シンプルな基本の5人バンド編成。ヴォーカルのペレは黙っていれば、ちょっぴり俳優のジェイク・ジレンホールに似た眉毛の野太いいい男で、他の面々もそこそこの...ってあれっ? っと驚くや、ようーく見てみるとちょっとバンドとしてはフィットしない男が約2名ほどいる。いかつい大型リーゼントと髪の毛が後退している小型のその約2名は、寧ろ長距離トラックでも運転していそうな風体である。そんな、決してストロークスには及びもしないルックスの5人が、イケメン・ガレージ・バンド共をぺちゃんこに潰してしまうほどのハイパー・ガレージ・ロックをぶちかますのである。これが痛快極まりなく、むちゃくちゃにロックンロールなのだ。荒削りに掻き鳴らされるギター・リフと、リズム・センス抜群のドラムス、ベース。どっから出してるのかわからないほど奇妙に甲高いペレのヴォーカルが雄叫び、バンドの全員がしゃかりきに楽器を演奏しつつコーラスにも加わる。その必死顔も迸る汗もむさ苦しいことこの上ないが、だからこそ、それが彼らの魅力なのだ。格好良くないことが、めちゃくちゃにカッコいい。彼らのこのロックの美学が最新アルバムにも揺るぎない形で、今まで以上にパワー・アップした形となって反映されていることが、それを耳にした人ならばきっとわかるだろう。
The Hives  ハマースミスが一瞬ブリクストン・アカデミィかと思ったほどに、この日の観客のノリはもの凄かった。本来ならば着席観賞の2階席でもほとんどが総立ち、そこから眺めるストールの人だかりでもダイヴはもちろん、縦ノリが最後まで続いた。ロックの興奮などその場限りで激しく散る虚しいものなどとうそぶいても、これだけの興奮や熱い思いを一瞬でも放ち、それを感じ昂る時間を持てるとはどんなに幸せなことだろう。ハイヴスはスタートからアンコールまで、ステージを所狭しと駆け巡って観る側を煽り、強烈に濃いロックを響かせた。定位置で演奏しているパートも、ひっきりなしに動き回ってそれでも余りあるパワーをプレイにぶっつけるパートも、5人5様にして、このロックンロールの熱い鼓動は彼らを確実に一つに結びつけているのだと感じさせた。コミカルなエンターテインメント性と、飾りが無い故にストレートで豪傑なロックンロール。最新アルバムのアートワークではハイヴスのVを示すペレのVサインが目に入ってくるが、別の意味でも彼らのトライアンフは今夜ここで証明された。PJハーヴェイに次ぐ、今年のベスト・パフォーマンスである、勿論私的な意味で。

-- setlist --

Abra Cadaver / Antidote / Missing Link / Walk Idiot Walk / Main Offender / State Control / Outsmarted / A Little More For A Little You / Die, All Right! / Declare Guerre Nucleaire / No Pun Intended / Hate To Say I Told You So / Dead Quote Olympics / Born To Cry / Diabolic Scheme / Two Timing Touch And Broken Bones / A.K.A. I-D-I-O-T

-- encore --

B Is For Brutus / Supply and Demand


The Hives
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