ボンヂ・ド・ホレ @ スカラ、ロンドン (22nd Nov. '07)
ハメ外したってええじゃないか
寒い日が続く冬ともなると、自然と聴く音楽にもその陰鬱さが反映されてしまう。まあこれは人にもよるだろうけれど、ここ最近ゴー!チームやらシーエスエスなぞを聴いても今ひとつ心が軽やかにならず、ささっとニック・ドレイクだとか、エリオット・スミス、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなんかといった、美しくも、落ちて溜め息ばかりが漏れるような曲を選んでしまう。うーん、全てはきっと気分次第なのか。けれどもこのままじゃまたお馴染みイギリスの地獄の冬月間に気圧されてしまう、と大袈裟にも胸を奮い起こし、ここは一つ活きの良い音楽を聴かねばと、背筋をしゃきっと伸ばして足を北へ延ばした。今夏にゲットローデッド・フェスティヴァルで初体験したブラジルの灼熱陽気バンド、ボンヂ・ド・ホレがスカラにて単独公演を行いに戻って来たのである。
振り返ればもうあれから3ヶ月が経ったのだが、暑かったというのもあったがあの時の彼らのお祭り騒ぎの熱気は半端じゃなかった。サンプリングとラップトップから鳴らされる音だけで、後はマリーナとペドロという男女二人のラップの応戦、或いはユニゾンと形態はいたってシンプル。歌詞自体がポルトガル語であり、何を言ってるのかはさっぱりわからないが、それでも決めの節どころで歌われる、オーオーだ、ヤイヤイヤーという雄叫びは国籍を越えて口ずさめる親しみ易さ、軽快さがあり、多くの若者が腰を振り振り踊りまくっていたものだ。この日のステージも序盤から早速オーディエンスがステージに飛び入りし、それをセキュリティも止めるで無く、ボンヂのメンバーと絡み合って陽気に踊っている。写真撮影の柵もないので小さな会場では演じ手と観客の境目が無く、ファンク色の濃いダンス・ビートに、吐き捨てる様なマリーナの少々乱暴なラップが力強く響き渡って、誰もが汗だくになり、わっしょい、わっしょいとまたもやお祭り騒ぎだ。サンプリングも、いきなりヨーロッパの『ファイナル・カウントダウン』が高らかに鳴り出し、思わず笑ってしまう。そうかと思うと、次の瞬間にはサンバのリズムらしき笛の音が鳴ったりして、フットボール・ゲームの応援をしているサポーターの中に混じっちゃったのか、みたいな複雑な気分にもなり、かなりめちゃくちゃな展開。けれどこれが面白いのだ。
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バンド・サウンドとしての主張も、英語歌詞というアプローチも、シーエスエスと比べればまだまだマイナー感は否定できないが、マリーナのステージングにはどこかピーチーズを思わせるふてぶてしさと豪傑さを感じた。その横で好き勝手に歌って騒いでいる男2人もその適当さが憎めない。ずーっと同じ様なファンク・ベースの楽曲なので、今後はもう少し色合い豊かな曲が聴けたらいいなあ、と思う反面で、客をノせるMCの上手さ(しかもこれは普通に英語である)と、このとにかく歌って踊ろうぜ、という陽気さと底抜けの明るさは際立っており、血の熱さのようなものが感じられる。アンコールには、狭いステージにお客さんがどんどん上がり、メンバーの姿がそれに埋もれて見えなくなってしまったほど。そこから聞こえた、また会おうぜーというボンヂ達の叫び声。来年の夏のフェスティバル・インヴェイダーは間違いなく彼らに決まり。
-- setlist --
Dance Do Zumbi / Ventvinha / Vitiligo / Solta O Frango / James Bonde / Office Boy / Ricota / Jabuticada / Tieta / Tabaco
-- encore --
Unkown / Outro
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report and photos by kaori
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