buttonザ・シンズ
@ ハマースミス・アポロ、ロンドン (7th Nov. '07)

秋の夜長はシンズがいい


The Shins
 シンズのアルバム、『ウィンシング・ザ・ナイト・アウェイ』は、聴けば聴くほど良いアルバムだとつくづく思う。チェルシィ・キャンディのコマーシャルじゃないけれど、どこか郷愁を誘うせつないコーラスや、エモーショナルなメロディ・ライン。歌謡曲に馴染み深い日本人の琴線にも触れるメリハリのはっきりした曲進行。彼らやデス・キャブ・フォー・キューティ、モデスト・マウス、クラップ・ユア・ハンズ、らUSのインディ・ギター・ロック・バンドは、そりゃあ見た目にゃカメラ目線もばっちりな、細身で整った顔立ちの多いUKのバンド陣に比べ風体もこれといった特徴無く、服も部屋のその辺に落ちていたのを適当に拾って着てきました、とでもいうぐらい地味な格好でステージに上がっているが、ひとたび楽器を打ち鳴らし始めたら、水を得た魚の如し素晴らしきミュージシャンと様変わりするのである。外見だって良いに越した事はないけれど、彼らはファッション・モデルではない。シンズの魅力は、イントロの2、3小節を聴いただけでもう心にぐぐっとくる不思議なその楽曲陣にある。きたきたー、この曲だぜい、と軽やかに興奮をもたらし、それでいて聴いた後にはほのぼのとした気持ちになるマジックが、彼らの曲の出だしに集中して潜んでいるのだ。勿論、進行していくにつれその良さ、深みはより実感できるのだけれども。

The Shins  手拍子や、シング・アロングを交えながらも、基本的にはシンズのメンバーが演奏する至福なサウンドに、心持ち肩で踊るような観客のノリが目立つ。前回のフォーラム公演時に面食らったその思いの他の強靭なバンド・サウンドは、当時は中規模なその会場内で肥大化し過ぎた感が否めなかったが、今回ハマースミス・アポロというキャパシティの広い会場が功を奏し、ダイナミックな音が広大にまんべんなく響き渡り、気持ち良く聴こえて来た。ヴォーカル、ジェイムズの甘酸っぱい歌声や、高音部になるとこめかみに筋を立てて歌う必死顔も健在。キーボードを加えただけのシンプルな4人バンド編成で、特にストリングスやホーン・セクションを交えているわけでもないのに、有機的に広がる生き生きとしたこの音色はなんだろうか。やはり、彼らの卓越したソング・ライティングの素晴らしさに他ならないだろう。駆け引き無しの、音勝負、だのに決してほらほら、俺たちの曲って最高だろ、玄人受けだろう??といった不遜ないやらしさはみじんも感じられない。あるがままにプレイを楽しむ彼らの姿がただ微笑ましい。

 寒さが本格的に身に沁み出したこの季節に、ただでさえ憂鬱な天気に滅入る心に追い打ちをかける様なディプレッシングな曲は、精神的にもあんまりよろしくない。こういう時節の英国に、シンズのような、基本がカラッとしつつ、いい意味でシリアスさを感じさせない良質なメロディを携えたアーティストを堪能するのは、まさに心の贅沢。照明が大仰でもないし、面白い話で聴き手を沸かせるエンターティンメント性もないひょうひょうとした佇まいの彼らだが、その一曲、一曲に込められた温もりが胸に灯をともしてくれた。同じ様に夜が深まってゆく日本の皆さんにも、彼らとの温かなひとときがいよいよ今週の来日東名阪ツアーで待っていることを願って。

-- setlist --

Sleeping Lessons / Australia / Phantom Limb / Kissing the Lipless / High Horse / Girl Inform Me / New Slang / St. Simon / Girl Sailor / Turn a Square / Gone for Good / Cornet / Turn On Me / Know Your Onion / Eating Styes From Elephant's Eyes

-- encore --

Pink Bullets / Modern / So Says I


The Shins
report and photos by kaori

==>top page : JPN / ENG

buttonmag files : The Shins

buttonアメリカの土の香りがした…幸福な音楽 : (07/11/12 @ Shibuya Club Quattro) : review by kemji
button秋の夜長はシンズがいい : (07/11/07 @ Hammersmith Apollo, London) : review and photos by kaori
button失われぬ青春ポップス : (07/03/28 @ Forum, London) : review by kaori & photos by Darjeeling
buttonTo The Extreme : (05/01/31 @ Harajyuku Astro Hall, Tokyo) : review by shawn & photos by keco
buttonphoto report : (05/01/31 @ Harajyuku Astro Hall, Tokyo) : photos by keco
buttonA Kick In The Shins : (05/01/30 @ Shinsaibashi Quattro, Osaka) : review by josh & photos by tegg
buttonphoto report : (05/01/30 @ Shinsaibashi Quattro, Osaka) : photos by yegg




The official site

The Shins

http://www.theshins.com/

check 'em? --> My Space / iTunes


The latest work

The Shins


"Wincing the Night Away "
(US import / UK import / 国内盤)

prevouis works


"Australia " (UK import)
"Phantom Limb " (UK import / US import / iTunes)
"Fighting in a Sack " (UK import / iTunes)
"Oh Inverted World " (UK import / US import / iTunes)
"Chutes Too Narrow " (US import / iTunes)
"So Says I " (US import / iTunes)
"Know Your Onion " (US import / iTunes)
"Such Great Heights" (iTunes)
"Pink Bullets" (iTunes)
"Live at Austin City Limits: Music Festival 2006" (iTunes)

check the albums?

kaori's works

mail to

button2007

button今を燃やし尽くせ : エンター・シカリ(6th Nov. @ ブリクストン・アカデミー、ロンドン)
button現役に勝る者無し : ザ・シャーラタンズ(5th Nov. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
button醒めない夢のひとときよ : ルーファス・ウェインライト(31st Oct. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
button飾り気無しの痛快ロック : ザ・クリブス(17th Oct. @ フォーラム、ロンドン)
button四次元グルーヴ : バトルス(11th Oct. @ ココ、ロンドン)
buttonグレイ・ゾーンを脱却して : エディターズ(8th Oct. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン)
button大所帯カントリィ : ザ・ニュー・ポルノグラファーズ(4th Oct. @ ココ、ロンドン)
button現代版、グラム・ロック : ザ・ダンディ・ウォーホルズ(3rd Oct. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
button痙攣ギターの暴走は止まらない : フォールズ(2nd Oct. @ スカラ、ロンドン)
button食らえ、ライオット : ギャロウズ(26th Sept. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
buttonおしゃべりさえも歌になる : ファイスト(24th Sept. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
buttonマイノリティの救世主 : ザ・ゴシップ(14th Sept. @ フォーラム、ロンドン)
buttonどうした!?ゴー!チーム : ザ・ゴー!チーム(12th Sept. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
buttonせつなさは、直立不動ロックと共にあり : ザ・ジーザス・アンド・メリー・チェイン(7th Sept. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン)
button健全・安全・好青年 : アスリート (5th Sept. @ HMV、ロンドン)
buttonやんちゃな成犬、余裕のラスト : ザ・ストリーツ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
buttonロックンロールでいいじゃない : ダーティ・プリティ・シングス (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button乗らずにいられぬこの挑発 : エム・アイ・エイ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
buttonポジティヴは勝つ : ザ・ゴー!チーム (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
buttonブレーメンの音楽隊 : ザ・ランブル・ストリップス (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button一発屋の彷徨 : ジ・オートマティック (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button絡んでも、絡み足りない : フォーワード・ロシア (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button詩人がバンドを組んでみたら : アート・ブルート (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button燃える地球の裏側 : ボンヂ・ド・ロレ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
buttonあまたのバンドと何が違う? : ザ・ウォンバッツ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button日向で爆発、陽のパワー : ピーター・ビョーン・アンド・ジョン (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button可愛いだけじゃあ、だめなのよ : ライロ・カイリィ (20th Aug. @ イズリントン・アカデミィ、ロンドン)
button宵を彩るファンタジスタ : シザー・シスターズ (26th Jul. @ ジ・オートゥ、ロンドン)
button悲しくても泣けない時がある : ブライト・アイズ (4th Jul. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
button暴れん坊がゆく! : ノイゼッツ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
buttonワンダーワールドはキリの良い所までが丁度良い : ミーカ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button叫ぶなら中身を詰めよ : ザ・ホラーズ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button陽気で緻密なサウンド・マジック : ザ・ゴー!ティーム (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button大団円はもらった : ザ・ゴシップ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button夢見る頃は過ぎない : パトリック・ウルフ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button極めずに進み続ける野心 : ザ・クークス (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button辿り着いたメッカ : クラクソンズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button夜を制した男 : イギー・アンド・ザ・ストゥージズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button旬に乗ったらどこまでも : CSS (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button不思議少女のラビリンス : バット・フォー・ラッシィズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button洗練されしお茶目心 : ルーファス・ウェインライト (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button紳士の奏でる狂奏曲 : モデスト・マウス (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button血は雨よりも濃く : ザ・クリブス (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button純粋なる純白 : ブライト・アイズ (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
buttonソウルが無くても昂るの? : ブロック・パーティ (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
buttonビョークがビョークである所以 : ビョーク (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button楽団と狂騒 : アーケイド・ファイア (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button腐った魚は食えない : ジ・オートマティック (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)


無断転載を禁じます。The copyright of the article and the photos belongs to . They may not be reproduced in any form whatsoever.counter
==>Back To The Top Page : JPN / ENG.