buttonザ・シャーラタンズ
@ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン (5th Nov. '07)

現役に勝る者無し


The Charlatans
 ひとくちにライヴを観て感動するといっても、その感動の仕方は言うまでも無くそれぞれある。演奏や、それを演じる人達がとてつもなく素晴らしく格好良かったり、オーディエンスとの親密な一体感に心を動かされたりなどなど。演じ手へ対する自分の思い入れが深ければ深いほど、期待や失望もそれに比例して大きくなるだろう。今夜のザ・シャーラタンズは、観ていてなんとも心が温まった。彼らの演奏に、というよりは、彼らを愛する会場のファンの人々の変わらぬ熱い思いに、だ。

The Charlatans  勿論、パフォーマンス自体さすが来年で実質結成20周年を迎えるだけあり、各メンバーが自分の持ち場をしっかり固めた結束したバンド・サウンドはお見事、というべく完璧さ。レスポール・ギターから鳴らされる、荒く、旋律の太い音色と、サイケデリックにうごめくハモンド・オルガンが牽引する音には、北に産声を上げたノーザン・ソウルの中庸なところで気怠く沸き起こる踊れるビートが映え、何よりフロントマン、ティム・バージェスの温もりある、ストーン・ローゼズ時のイアン・ブラウンと聴きまごうほどの歌声がシャーラタンズの魅力の全てだ。彼はヴォーカリストとしては勿論、時が経てど変わらぬ幼な顔に見せる笑顔が何ともチャーミングで人を惹き付ける華やかさを備えている。だが今回最も印象深かったのは、彼らのロイヤルなファン達が、大変に熱くシャーラタンズを迎え、プレイされる一曲一曲をほぼ一緒にシング・アロングした光景だ。曲のイントロが鳴らされるとわあーっと歓声が上がり、フロアも2階席も肩を揺らしダンスを始める。ティムのどちらかといえば繊細な歌声は、マイクからは十分通って聴こえているものの、次第にそれに重なっていくオーディエンスの歌声の方が大きくなっていく。数あるライヴを体験してきたつもりだが、始まりから終わりまでこれほどまでにアーティストとオーディエンスとの親密な繋がり、一つになった盛り上がりは正直始めてだった。
The Charlatans  ロックンロールのアプローチの狭間で、ブルーズやソウルにも影響を受けたと感じられる表情豊かな楽曲は、耳にすれば在りし日の当時の英国の音楽シーンが甦って来る。ストーン・ローゼズやザ・ヴァーヴと比べると、メロディそのものは地味な彼らの楽曲だけれど、バンドの押し引きのバランスが取れた全体的な音にはやっぱり渋みが絶妙なザ・シャーラタンズさがあり、それこそラジオで演者の顔が見えなくても、聴いただけでシャーラタンズだとわかるお馴染みの節がある。これを持ったバンドはやはり、強い。メンバーの悲喜こもごもで紆余曲折の絶えなかった彼らだが、10年以上経った今でもメンバー交代することなく、ヴェテラン街道まっしぐらに音楽を楽しんでいる。そして、それを支える多くの素敵なファンが彼らにはついている。再結成といっても話題先行ばかりで一時的にファンの心を掻き回し、挙げ句結局続かずにとんずらする引き際の悪いバンドが目立つ昨今だが、こうして長く現役としてキャリアを築き、忠義なリスナーに愛されるシャーラタンズのような素晴らしいバンドがもっと評価されるべきだと心から強く思う。

-- setlist --

Weirdo / Just Lookin / Blackened Blue Eyes / Mis-Takes / Can't Get Out Of Bed / Blind Stagger / Judas / Love Is The Key / Bad Days / My Beautiful Friend / One To Another / Only One I Know / Oh Vanity / Architect / You Are So Pretty / How High / Cross My Path

-- encore --

This Is The End / Telling Stories / Sproston Green


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