buttonザ・クリブス @ フォーラム、ロンドン (17th Oct. '07)

飾り気無しの痛快ロック


The Cribs
 ザ・クリブスは不思議なバンドだ。アルバムのリリース頻度も早く、小さなヴェニューで、ヴォーカルがライヴの度に口を切るだか割るだかして血みどろになっていたパフォーマンスが懐かしい2005年あたりは、はっきり言ってその生々しさが受け付られなかった。曲も何だかだらだらしていて、凄みがなくて、万年インディ・バンドとしての行く末が容易に想像できた。これぞ、というフレーズが無い。だらだらと一本調子でやる気が感じられない。お洒落でも無い。と、無い無いずくめだが、ずっとそう感じていたのだから仕方が無い。特に同年に人気が沸騰した仲の良いカイザー・チーフスの出る所出る所に友情ごっこよろしくひっついている姿が嫌でしょうがなかった。彼らの華々しさと趣を全く異にするザ・クリブスの粗野さが哀れにさえ思ったものだ。本人達にしてみれば、ほっとけ、というところだとは思うが。

The Cribs  だがしかし、この彼らの一見何でもく普通な佇まいに対する否定的な気持ちは、ライヴという臨場感溢れる体験において見事に覆された。まずその始めが今年のグラスト。初日の午後一のステージングであり、天候も悪かったのにも関わらず、体がかあっと熱くなった。ライアン、ゲイリィという一卵性双生児の見分けもろくにつかないというのに、弟のロスを含めた血縁一本勝負の如し力漲るロックンロールに鼓動がはやった。そしてこの時とまるで変わらない、朴訥ながら興奮を駆り立てる音がまた、今夜の客席の多くの若者の火に油を注いだのだ。半数以上の野郎の太い歓声の中、がむしゃらに楽器を掻き鳴らし、声がうわずれどお構い無しで「魅せよう」などというアーティスティックな態度など微塵もない。ただあるがままに、自分達が鳴らす音楽を思いっきり楽しみながら、こちらの興奮を煽り立てている。大仰なコール・アンド・レスポンスもないのに、彼らとオーディエンスとの一体感が手に取るようにわかるのだ。この、あるがままの姿というのがザ・クリブスのじわじわと癖になり出す魅力であり、新作を含めたデビュー時からの楽曲にも一貫して滲み出ている彼らの色だ。
 筆者自身がそうであったように、何曲か彼らのマテリアルを聴いただけで、ましてや双子、兄弟であると言う以外にさしたる特徴も無い外見だけでは、すぐに好きになるタイプのミュージシャンではないかもしれない。ヴァースがあってコーラスもきちんとしているのに、耳を奪うほど強烈なメリハリがあるわけでもないので、繰り返し聴かなければ耳には残らないかもしれない。だけれども、あえて云うが彼らのライブは観る価値が十分にある。マイクとの距離感がようやく掴めるようになったのか、ゲイリィはもう歌いながら唇を割ったりはしないが、三つ巴になったセッション時のバンド・サウンドは3ピースでも逞しく、兄弟の小競り合いみたいな絵も楽しい。そして何よりも、見栄も装いも無縁な彼らのストレートでシンプル・ロックが実はなかなか見つからない今だからこそ、ザ・クリブスがこんな風にしれっとやってくれる様が痛快極まり無いのだ。

-- setlist --

Our Bovine Public / Hey Scenesters / Direction / My Life Flashed Before My Eyes / Girls Like Mystery / I'm A Realist / I'm Alright Me / Don't You Wanna Be Relevant / I've Tried Everything / Women's Needs / Moving Pictures / Martell / Men's Needs / Mirror Kissers / Another Number / Wrong Way To Be / Shoot The Poets / Ancient History


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The latest album

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"Men's Needs, Women's Needs, Whatever"
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"The Cribs" (国内盤 / UK import / US import)
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"Hey Scenesters![single]quot; (iTunes)
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"You're Gonna Lose Us [Maxi}"(UK import / iTunes)
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button2007

button四次元グルーヴ : バトルス(11th Oct. @ ココ、ロンドン)
buttonグレイ・ゾーンを脱却して : エディターズ(8th Oct. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン)
button大所帯カントリィ : ザ・ニュー・ポルノグラファーズ(4th Oct. @ ココ、ロンドン)
button現代版、グラム・ロック : ザ・ダンディ・ウォーホルズ(3rd Oct. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
button痙攣ギターの暴走は止まらない : フォールズ(2nd Oct. @ スカラ、ロンドン)
button食らえ、ライオット : ギャロウズ(26th Sept. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
buttonおしゃべりさえも歌になる : ファイスト(24th Sept. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
buttonマイノリティの救世主 : ザ・ゴシップ(14th Sept. @ フォーラム、ロンドン)
buttonどうした!?ゴー!チーム : ザ・ゴー!チーム(12th Sept. @ エレクトリック・ボールルーム、ロンドン)
buttonせつなさは、直立不動ロックと共にあり : ザ・ジーザス・アンド・メリー・チェイン(7th Sept. @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン)
button健全・安全・好青年 : アスリート (5th Sept. @ HMV、ロンドン)
buttonやんちゃな成犬、余裕のラスト : ザ・ストリーツ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
buttonロックンロールでいいじゃない : ダーティ・プリティ・シングス (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button乗らずにいられぬこの挑発 : エム・アイ・エイ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
buttonポジティヴは勝つ : ザ・ゴー!チーム (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
buttonブレーメンの音楽隊 : ザ・ランブル・ストリップス (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button一発屋の彷徨 : ジ・オートマティック (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button絡んでも、絡み足りない : フォーワード・ロシア (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button詩人がバンドを組んでみたら : アート・ブルート (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button燃える地球の裏側 : ボンヂ・ド・ロレ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
buttonあまたのバンドと何が違う? : ザ・ウォンバッツ (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button日向で爆発、陽のパワー : ピーター・ビョーン・アンド・ジョン (26th Aug. @ クラッパム・コモン・パーク、ロンドン)
button可愛いだけじゃあ、だめなのよ : ライロ・カイリィ (20th Aug. @ イズリントン・アカデミィ、ロンドン)
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button旬に乗ったらどこまでも : CSS (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
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buttonソウルが無くても昂るの? : ブロック・パーティ (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
buttonビョークがビョークである所以 : ビョーク (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
button楽団と狂騒 : アーケイド・ファイア (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
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