エディターズ @ ブリクストン・アカデミィ、ロンドン (8th Oct. '07)
グレイ・ゾーンを脱却して
2年ほど前にMTVにて頻繁に耳にしたいくつかのシングル曲に惹かれエディターズのデビュー・アルバムを購入したが、一枚通して聴くと、それら際立った曲陣以外の流れがどうにも一本調子に聴こえてしまい、何だか陰鬱で、これぞという感触を掴めなかったものだ。擦り切れる様に高鳴るギター・サウンドが特徴であり、どこかしら暗い影や憂鬱さを醸し出す彼らの世界観は、よくジョイ・ディヴィジョンやインターポールのそれと比較される事も多い。確かに彼らの音にダークでもの憂げな雰囲気は共通していると思うが、前者はクラフトワークなどのエレクトロニカの緻密な硬質さが、後者には余計なものをそぎ落としたスタイリッシュさという個性がより強く際立っている。そういったバンドのカラーがいまいち見えなかったエディターズには、一体どこの位置にいて、これからどのように発展していくのか否か、正直先のあまり期待出来ないそこそこ人気バンドで終わってしまうのでは、という杞憂が勝手に自分の中ではあった。
しかし、時を経て発表された2作目からは、そんな余計なお世話を払拭する彼らの成長と軌道修正ぶりが感じられた。いざそのお披露目となった今夜の満杯のブリクストン、その音響には定評があるのだが、先述したギターが、より繊細ないくつもの厚い層になってこちらに響きわたり、CDを聴くのみでは想像できないヴォーカリスト、トムの独特な籠り声が広く会場を覆い出す。聴かせる声量、表現力が増し、狙い過ぎずも胸を惹き付けるたおやかなメロディが、安定したバンド・サウンドに乗って聴き手の心を動かしている。地味な感が強かった前作よりも豊穣になった新たな楽曲の静と動が、組み込まれたセットリストの流れに生きて伝わって来た。
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周囲には30代から40代とおぼしき男性の姿が多く見られ、決してお世辞にも上手いと言えるようなダンスではないのだけれど、バンドの熱いパフォーマンスに声を合わせ、飛び跳ねて踊る姿が印象的だった。ともすれば、コールドプレイの2番煎じにしか見えない後半のピアノをフィーチャーした楽曲、トムの手のひらを振りかざし、情感たっぷりに体ごと表現するプレイ・スタイル、はたまた最初は坊主頭だったのに、いきなりぐりぐり頭になったところなど、まさにクリス・マーティンが重なる瞬間ではあり、ここにいる多くの人達が今公の場を離れた彼らの代替として求められているのか、考えられなくも無い。ただ、自国を越えて世界に飛翔したコールドプレイが失いつつある英国人の心に触れるメロディを、エディターズは守りつつ道を切り開いた様に思える。この国を映す影と悲しみを、ささやかな希望で包み込み優しく奏で続けるという姿勢で。
-- setlist --
An End Has A Start / Bones / Bullets / Blood / The Weight Of The World / Escape The Nest / Banging Heads / All Sparks / When Anger Shows / Spider / Lights / Let Your Good Heart / Racing Rats / Munich
-- encore --
You Are Fading / Smokers Outside Of The Hospital Doors / Fingers
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report and photos by kaori
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グレイ・ゾーンを脱却して : (07/10/08 @ Brixton Academy, London) : review & photos by kaori
photo report : (07/06/23 @ Glastonbury Festival, Pilton) : review & photos by emi
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