中山うり @ 渋谷デュオ (11th Sept. '07)
しっとり、モチモチの歌声
小雨がぱらつく渋谷・円山町。その一角に、道行く人が目を止めている場所があった。この日、中山うりのワンマンライヴ「ミラクルワンマン秋、冬2007」の会場となった渋谷ドュオには、通常の入口とは別に、人々の目を引くもう一つの入口があったのだ。
会場の正面に、建物とは完全に離れた形でドアだけがぽつんと佇んでいる。ドアには「URI」の名札がかけられ、その横には白い燕尾服に白い手袋のドアマン。「中山うりワールドへようこそ」と言わんばかりに微笑みながら、もう一つの入口のドアを開けてくれるのだ。
「どうもどうも。こんばんは。中山うりです。しょっぱな、新曲から行ってみたいと思います。」
トレードマークの羽根の髪飾りをつけた中山うりがバンドのメンバーと一緒に登場すると、まずトランペットを吹く彼女にスポットライトが当たる。そのまま椅子に腰掛けアコーディオンを持つと、新曲のお披露目からライヴはスタートした。会場内を見渡すと、用意された椅子席はほぼ埋まり、立ち見のお客さんが後ろに詰まっている。
聴き手に対してそっと寄り添ってくれるかのような中山うりの歌声は、しっとりモチモチとした感触。聴く人を選ばないように感じる。この日も会場を埋めたさまざまな客層のお客さんの耳に心に、等しい浸透圧で彼女の声が伝わっているように見えた。
続いてチューバ、トロンボーン、トランペットの三人のホーン隊が参加して、メンバー紹介をかねたソロ演奏が順番におりこまれる。ステージ中央の中山うりはアコーディオンを抱えながら、時おり器用にトランペットも吹いて見せる。この日彼女の着ているカーディガンと同じ色、ピンク色のアコーディオンの蛇腹が演奏に合わせてゆっくり、楽しげに伸び縮みしている。気がつけば、すっかり中山うりワールドの住人となって彼女の歌声の行方を追っている自分がいた。
カヴァー曲も完全に「アーティスト・中山うり」のフィルターを通過していて、"ばいばいどくおぶざべい"での凛としたかっこ良さには、「女性のダンディズム」と言ったらこんな感じだろうなぁと想像し、"生活の柄"も高田渡のオリジナルとはまた違った歌声の味わいを感じさせてくれた。
ライヴ中、演奏曲目に合わせて三人のホーン隊が入れ代わり立ち代わり登場してみせる。ステージ上はさながら「中山うりの部屋」に遊びに招かれているような和やかな雰囲気。アル・ハートの"ジャワの夜は更けて"が演奏され始めると、ホーン隊は演奏の合間に、リズムに合わせて愉快なダンサーと化していた。
「これ、テレビで見てくれた人は、いるかしら。緊張しましたね。」とMCで語りながら演奏されたのは、先日テレビに出演した時に生演奏された"マドロス横丁"。自然と客席から楽しげな手拍子が起こっていた。
「あざーす。最後の曲になっちゃうけど...もう汗だくだよ。」と、意外にMCになると姉御肌な彼女、今年のライジングサン・ロックフェスティバルに出演した時のことに触れて、「北海道のフェスに出た時にですね、サーカス小屋のテントみたいな場所で演奏して。ステンドグラスとかがあって、木漏れ日があって。まるで私たちのためにあるようなステージで..。」と語った。今年のライジングサン・ロックフェスティバルで彼女の出演したステージのグリーンオアシスは、フジロックではパレス・オブ・ワンダーで使用されている、クリスタルパレスと呼ばれる美しいテント。そこで演奏されたらピッタリな曲、演奏されたのは"サーカスが来た"だった。
アンコールでは最後に、「小さい頃には、人前で唄うなんて事はまったく想像していなかったので、何だか不思議な感覚に陥ることがある。」と語り、人前で唄いだすようになるきっかけになった曲だという、"歌を忘れたあなたへ"が演奏された。それまでよりもリズム隊の主張が控えめに抑えられているせいか、歌声とアコーディオンのメロディが素直に伝わってくる。
セカンドアルバムの発表予定がすでに決まっているという彼女。今年の冬には、次回のワンマン公演も決定していた。これからの季節、もし歌を忘れて心までカサカサしてしまいそうな時には、ぜひ、中山うりのしっとりモチモチした歌声に触れてみるというのはいかがだろうか?
|
report by jet_girl and photos by naoaki
|
mag files : Uri Nakayama
しっとり、モチモチの歌声 (07/09/11 @ Shibuya Duo Music Exchange ) : review by jet_girl, photos by naoaki
photo report (07/09/11 @ Shibuya Duo Music Exchange ) : photos by naoaki
大阪、初ワンマン (07/08/31 @ Umeda Shangri-la) : review by miyo, photos by naoaki
photo report (07/08/31 @ Umeda Shangri-la ) : photos by naoaki
photo report (07/08/25 @ Ikegami Honmonji ) : photos by naoaki
アコーディオンが織りなすマジック (07/08/17 @ Rising Sun Rock Festival 2007 in Ezo ) : review by funabashi, photos by q_ta
photo report (07/08/17 @ Rising Sun Rock Festival 2007 in Ezo ) : photos by q_ta
photo report (07/08/11 @ Summer Sonic 07 Makuhari River Side Garden ) : photos by naoaki
photo report (07/06/23 @ Shinjuku Tower Record ) : photos by naoaki
何も変わっていない (07/06/12 @ Shibuya Duo Music Exchange) : review by funabashi
CD review DoReMiFa (ドレミファ) (07/05/23) : review by funabashi
2007年、東京1本目 (07/03/27 @ Shibuya Duo Music Exchange) : review by miyo, photos by naoaki
photo report (07/03/27 @ Shibuya Duo Music Exchange ) : photos by naoaki
波の音とアコーデオン (07/03/17 @ Hakodate Kanamori Hall ) : review by aco, photos by q_ta
photo report (07/03/17 @ Hakodate Kanamori Hall ) : photos by q_ta
|
07/9/27 (木) ミラクルワンマン @ 札幌KRAPS HALL
07/10/14 (日) MUSIC CITY TENJIN @ 福岡
07/10/27 (土) MINAMI WHEEL 2007 @ 大阪
07/10/28 (日) 勝手にしやがれpresents "LET'S GET LOST" 『中山うり vs 勝手にしやがれ』 @ 恵比寿LIQUIDROOM
詳細はこちらでご確認ください。
The official site
Uri Nakayama
http://www.worldapart.co.jp/uri/
check her? --> iTunes
The latest album

"DoReMiFa (ドレミファ) (国内盤)
The latest single

"Live Session" feat. 笑う月、夜のレクエルド(RECUERDO)、 星の界、月とラクダの夢を見た (Harp Version) (iTunes)
PV : 月とラクダの夢を見た on sale
--> iTunes
|
The previous works

"Uri Nakayama EP" feat. 月とラクダの夢を見た、Blu Voyage、 マドロス横丁、ノスタルジア & 走る女 (iTunes)
check the albums?
|
|
2007
いくつかの罠、或いはグルーヴのゼロ・アワー : デイト・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン (25th Apr. @ 渋谷オーイースト)
ピュアー&フレッシュな男達 : サケロック with イースタン・ユース (24th Feb. @ リキッドルーム恵比寿)
腕に覚えあり : イースタン・ユース with トクマルシューゴ & ザ・マジックバンド (16th Feb. @ 渋谷クラブクアトロ)
ならず者という名のロマンチスト達 : セント・ヴィシャス・デイ feat. スタンス・パンクス, ザ・スター・クラブ, 電撃ネットワーク, 遠藤みちろう & ソロウ (2nd Jan. @ 代官山ユニット)
強烈に発生する磁場 : 髭 (8th Jan. @ リキッドルーム恵比寿)
2006
髭中毒という病、その病理解剖 : 髭 (19th Aug. @ Rising Sun Rock Festival, Ishikari Bay)
お〜ま〜え〜は〜ア〜ホ〜か〜 : DMBQ (19th Aug. @ Rising Sun Rock Festival, Ishikari Bay)
ロックンロール骨伝導 : 日本脳炎、怒髪天 & ギター・ウルフ (5th Jun. @ 新宿ロフト)
365歩の先で「無」が燃え上がる : イースタン・ユース (22nd Feb. @ 渋谷クラブクアトロ)
|
|