button中山うり @ 梅田シャングリ・ラ (31st Aug. '07)

大阪、初ワンマン

中山うり
   「今日で3回目、大阪。ワンマン、めちゃくちゃ楽しみにしてました。中山うりの世界へようこそ」。

  そんな言葉に続いて"サーカスが来た"から幕を開けたこの日、会場となった大阪はキタ、梅田にあるシャングリ・ラには予想を遥かに超える大勢のファンが集まっていた。というのも、私がチケットを購入したのは10日ほど前のこと。整理番号は2桁台の中盤あたり。ゆったりと楽しめるくらいの混雑具合になるのかもしれないと思っていた。だが、開場時間を少し過ぎたあたりで中に入ると、すでに前方の60席ほどのイス席に空きは無く、残る立ち見席も見やすい場所は当然埋まってしまっている。開演時間が近づくにつれて、後からやってきた客が入口から中に入れないような状態になり、係員がもう少し詰めるようにと大きな声を上げる。こうなると、私のようなチビっ子には断然不利。ステージなんて見えません。

中山うり   だが、見えようが、見えまいが、このくらいの規模のライブ会場ならば、辛うじて、ステージ上の息づかいを感じ取ることは可能。私自身、彼女のライブを見るのはこの日で2度目だったのだが、彼女の「うた」の魅力が前面に出ていて、感想をひと言で述べるとすれば、「やっぱりいい声してるし、エエ歌い手さんやわぁ。」となる。

  ドラム、パーカッション、ウッド・ベース、ギターという4人のメンバーが彼女の「うた」を引き立てる。だが、ひとつだけ贅沢を言わせてもらうとするならば、そんな引き立て役の中にも各々のグルーブのようなものがもう少し感じられれば、もっと楽しくて自然と体が動いてしまうようなステージになるのではないかな。今年3月に東京で見させていただいたライブのように、彼女には、エンターテインメント的要素を含んだ面を見せることも可能なのだから。

  あと数年で定年かのように見受けられるスーツ姿の男性客から学生風の世代まで、いろいろな人でスシ詰め状態のシャングリ・ラ。だが、それは、熱気で暑さを感じるということではなく、最近のオオサカのお客さんがどんどんおとなしくなっているな、ということを改めて感じさせられたものだった。常連客が多い東京のライブならば、お約束のように大きな手拍子が絶妙のタイミングで起こったりもする。大阪ではおそらく今回初めて彼女をナマで見るという人が多かったのだろう(前回は2回ともインストア形式のフリー・ライブ)。盛り上がりの度合いという点では劣って当然なのかもしれないが、そうではない何かが……そう、頑張りましょう、オオサカのお客さん。12月14日には再びこのシャングリ・ラのステージに立つということだし(終演後、12月のライブ・チケットを買い求めて帰路についた客多数あり)。

中山うり    5月にメジャー・デビューを果たした彼女。そのデビュー・アルバム『ドレミファ』のジャケット写真と同じように真っ赤なカーテンが特徴であるシャングリ・ラ(ちなみに、内壁も赤い)。「まるで私を待っていてくれたかのようだ」なんて言葉も飛び出す。ステージもフロアも木が使われていて、天井からは2つのシャンデリアが吊るされ、誰が選んだのかは知らないが、その雰囲気は、まさに彼女の深くて温かみのある歌声と、どこかしら懐かしく普遍的とも感じられる楽曲にはもってこいなのだ。

  驚いたことに、この日は地元のテレビ局が撮影に入っており、この小さくて満員のハコにデカいビデオ・カメラとフワフワのカバーがついた音声マイク。さらに終演後には、会場外で観客のインタビューを収録。さすがはメジャー・レーベル、ではなく、いかに彼女が注目されている存在であるのかという証明か。まあ、どんなキッカケであれ、できるだけ多くの人に彼女の「うた」が届けばいいなと思う。

   「最近ねぇ、歯が出てきちゃって……。」なんていう不思議なMCだけでなく、ドラマーの足がつったりと、ライブならではのゆったりとした空気が会場内に漂う。アルバムに収録されている曲はもちろんのこと、アルバムには入りきらなかった曲たちや、"猫のしっぽを追いかけて"という新曲をも披露。"ばいばいどくおぶざべい"や"生活の柄"といったカバー曲とて、カバーだと言われなければ彼女のオリジナルかと思ってしまうほど、まさに「中山うりの世界」が全17曲、1時間45分にわたって繰り広げられていった。

  と、書いてみたところで、どんなものなのかはやはり実際に体験してもらわなければ分からないのだろうと思う。次回、彼女が大阪で行うライブは、ミナミで毎年10月末に開催されているイベントMinami Wheel(ミナミ・ホイール)(10/27出演)と、その次は、再びこのシャングリ・ラ(12/14)ということになるのだろう。クロをシロと言わなければいけないような日本の社会に疲れ果ててしまったみなさん、ほんの少し足を伸ばしてみるだけで、忘れていた何かを取り戻す時間に出会えるかもしれません。

中山うり
--set list--
サーカスが来た / Blu-Voyage / 早起きラジオ / 笑う月 / ばいばいどくおぶざべい / 月とラクダの夢を見た / 夏祭り鮮やかに / 黒猫白猫 / 夢を売る男 / 猫のしっぽを追いかけて / モントゥーノスカンク /
ほろ酔いブランコ / 生活の柄 / マドロス横丁
--encore--
ノスタルジア / 走る女 / 歌を忘れたあなたへ

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