button 中山うり @ 渋谷デュオ (12th Jun. '07)

何も変わっていない

 ここ数ヶ月の間の中山うりのメディアへの露出はかなりのものだ。本を開けば彼女の記事が掲載され、ラジオを流せば歌声が聞こえ、テレビをつければ画面の中で喋る彼女の姿がある。似たり寄ったりのキャッチや氏名を間違えて掲載するなどのお粗末なモノも中にはあったが、情報が少ない中で彼女のニュースをとりあげなければという状況がそうさせたのかもしれない。大衆が、時代が中山うりを求めている。そう言ってしまうことも決して大げさに感じられない。

 美容師業をフルタイムで営んでいた頃からの流れが引き継がれ、東京でのワンマンライブは今も火曜日に行われている。開場の19時を過ぎた頃、入り口の前で並ぶ人の列が見えた。ライブを重ねるごとに確実に動員を増やしているのが分かる。20時の開演時間には場内を移動するのも一苦労といったほどだ。ステージ上はエメラルドグリーン、紫、青といった色鮮やかな照明にうっすらと照らされ、その中央には黄色の衣装に青の花飾りを身につけた中山うりの姿があった。iTunesから配信された『moons,stars, and dreams』に収録されている"笑う月"より演奏が始められ、続く"白猫黒猫"では早くもゲスト全員がステージに上がる。にぎやかな演奏が気持ち良い。

 「データなどではなく、歌詞カードがついたCDを手に取れるのが本当に嬉しい」。先日発売された1stアルバム『DoReMiFa』のことについてMCで触れた。音楽活動を始めたのが2001年というのだから、この1枚が膨大な時間をかけて生み出されたことがよくわかる。マイペースな調子でMCをする彼女だが、言葉の中に特別な感情が入り交じっているのがひしひしと伝わってきた。作り手の感情が滲み出たこのMCから、すでに手にしたCDに対して値段以上の価値を見い出したオーディエンスもいたことだろう。

 レゲエやダヴの要素が盛り込まれ、サビ部分では美しいメロディーを聴かせてくれる"歌を忘れたあなたへ"、日常の生活から生まれたという新曲"猫のしっぽを追いかけて"など、音源に収録されていない楽曲も数多く演奏された。"サーカスが来た"で一度セットを締めるものの、すぐさま沸き起こった手拍子は会場中へと連鎖し、再びメンバーをステージへと呼び戻す。アンコール1曲目は"月とラクダの夢を見た"。ゆらりゆらりと揺れ動く影が見える。ゆらめくオーディエンスの脳裏にはきっとそれぞれの想い描く風景が広がっていたに違いない。鼓膜を震わせた音はそのまま脳へと伝わり、聴く者の脳裏に"何か"を描いてくれる。中山うりの奏でる音楽にはそんな力があるのだ。

 何も変わっていない。これがこのライブを見て真っ先に浮かんだ感想だ。入り口前に立つドアマンの姿も、開場から開演まで場内を盛り上げるDJも、昔からのオーディエンスも、ステージ上のメンバーも。そして中山うりの音楽も良い意味で何も変わっていない。今後どのように環境が変わっていこうとぶれない軸を持ち、変わらない良さを保ち続けてほしいと強く思う。

 最後に余談になってしまうが、ひとつ変わってしまったことがあった。それは中山うりのホームページの中身だ。まずプロフィールのコーナーが大きく変わり、彼女の現在までの音楽活動を年表で知ることができるようになった。そしてもうひとつ、MOVIESというコーナー。ここでは音源化されていない楽曲のムービーが視聴できたのだが、これがいつの間にやら"月とラクダの夢を見た"と"マドロス横町"の2曲のみになってしまっていた。1分前後ながらも音源化されていない貴重な映像を見ることができたコーナーだっただけに少々寂しく思う……。

--setlist--

笑う月 / 白猫黒猫 / Blu-Voyage / 夏祭り鮮やかに! / ばいばいどくおぶざべい / 歌を忘れたあなたへ / 猫のしっぽを追いかけて(新曲) / 早起きラジオ / 夢を売る男 / JAVA(新曲) / 走る女 / マドロス横丁 / 生活の柄 / サーカスが来た

--encore--

月とラクダの夢を見た / ほろ酔いブランコ / 虹のパノラマ

-- ライブスケジュール --

6/22 水戸芸術館野外ステージ
6/23 タワーレコード新宿店
8/17 RISING SUN ROCK FESTIVAL
8/31 大阪Shangri-La
9/11 渋谷DUO
12/11 渋谷DUO
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