デイヴ・マシューズ・バンド @ ウェンブリー・アリーナ、ロンドン (30th May '07)
ラスト・ストップ
デイヴ・マシューズ・バンド(DMB)は結成以来、ツアーに出なかった年はないライブ・バンドである。地道なライブ活動から着実にファンを増やしていった彼らも今ではスタジアム級の会場を売り切ることのできる存在になっている。近年、興行収入ランキングでは常に上位にランクインしている彼らだが、残念ながら、その異常なまでの人気ぶりは本国アメリカだけのものと言われていることが多い。欧州や日本ではいつの間にかレーベルとの契約が切れていたが、英国では昨年V2レコードと契約。ボーカル兼ギターのデイヴ・マシューズはソロで(又はアコースティック・デュオとして)短いツアーを行うなど、ようやくヨーロッパでの活動を再開する準備が整った。
そして、いよいよ、である。バンドとしてはおそらく1998年頃のヨーロッパ・ツアー以来。3月にオーストラリアで数公演を行った後、5月後半からはダブリン、リスボン、ブリュッセル、そしてロンドンにての公演。ロンドンの会場はウェンブリー・アリーナ。アメリカの会場から比べれば遥かに小さい会場のはず。昨年3月、デイヴのソロ公演をダフ屋に400ポンドと高額な値段をふっかけられて泣く泣く諦めたということもあるのだが、バンド名こそデイヴの名前が使われてはいるものの、ドラムのカーター、バイオリンのボイド、ホーンのリロイ、そしてベースのステファン、この5人全員が揃ってこそのDMB。10年間彼らをナマで見る機会を待ち続けた自分にとっては絶対に見逃すことはできない。
英国ではロンドン公演のみとはいえ、彼らの人気が実際いかほどのものなのか。果たして、ウェンブリー・アリーナが埋まるのだろうか。そんなことを気にしつつ会場に向かうと、開場1時間前にも関わらず入口には既に長蛇の列。4年前に来た時はまだ取り壊された直後だったウェンブリー・スタジアムの新しい姿に見惚れているヒマはなくチケットを受け取り、列に並ぶ。アリーナそのものもすっかりキレイになっており、リスト・バンドでスタンディングと指定席の客を分けるなど、運営もスムーズ。自分にとっては久々に大きな会場でのライブであるということもあって、ワクワクしてくる。
DMBのライブの楽しみのひとつがサポート・アクト。そして、今回その役割を果たすのは「あの」トム・モレロ。今年3月のSXSWにも出演していたThe Nightwatchmanというワンマン・バンド名義。アコースティック・ギター1本でステージに立ち、歌う。自分の英語力では一度聞くだけで歌詞の全てを理解できるわけではないが、彼が発する「フリーダム」や「ファイト」という言葉の重みはしっかりと伝わってきた。
ひとりでライブを見に来ると会場内に入ってからも特にすることはないので、暫し周囲の会話に耳を傾けてみる。聞き慣れない英語だと思っていたら、どうやら自分はとてもインンターナショナルなエリアにいるらしい。インディアナから来たという女性たちや、米国在住のカナダ人、オーストラリアから来たという男性など。今回が31回目のライブだと言っている人もいた。もっとコアなファンが本国には大勢いることだろう。殺風景なステージが気になったので、思い切ってそんなリピーターにどれほど米国と規模が違うのか聞いてみた。もちろん、ライブ映像等で本国での巨大さは知ってはいるものの、やはり経験者の話は聞いてみたい。例えば、ドラム・セット。通常はこの日の3倍くらいはあるそうだ。もちろん、自前の機材の全てを持ってくることができないことは承知の上で見に来ているのだが、そういった話を聞くと、やはり一度くらいは本国で見てみたいものだと、欲張りなことを思ってしまう。
ボーカルのデイヴはノドの調子が悪いことをステージ上で詫びてはいたが、歌っている時は全くそれは気にならず、キーボードとトランペットの2人のサポート・ミュージシャンを含めて総勢7人がステージ上から醸し出すグルーブ感は、やはりライブ映像のそれ以上。メンバー間の「呼吸」のようなものはもはや15年以上活動を共にしてきているバンドならではのものなのだろう。途中、トム・モレロが再びステージに現れ、今度はエレクトリック・ギターを手にして競演すること2曲。シングル曲などでは比較的静かなロンドンの観客からも時折大合唱が聞かれたのはうれしかった。今のところの最新作となるアルバム『Stand Up』はイラク戦争直後に製作されたものであるといこともあって、やや重いと感じる部分もあったのだが、この日披露された新曲と思われる曲には、もう少し明るい未来が見てとれるような印象を受けた。毎回セット・リストが異なるバンドだが、新旧織り交ぜジャム・バンドのごとく曲のアレンジですら毎回少しずつ変化してしまうため、聞き慣れた曲でさえ実際にナマで聞くとまた新たな発見がある。
ロンドンでは大体どこのライブ会場に行っても日本人らしき人たちがいるのだが、不思議とこの日は会場内でも帰り道でも見かけることはなかった。思った以上に多くのファンがこの国にもいたという事実と、やはり日本で彼らのライブを見るという日はそう簡単にはやってこないだろうという実感と。「わざわざ海外まで好きなバンドを見に行くなんて、『クレイジーだ』って言われるでしょう。でもね、私もそうだからよく分かるわよ、その気持ち」と言っていた米国のリピーターの女性。残念ながら、待っていても来ないものは、こっちから出向いていくしかない。今回の旅の最終目的であり、最大の楽しみでもあったこの日、そんな言葉を聞けたことで、言葉は通じなくとも音楽が大好きな人たちの想いはどの国も似たようなものだと実感。「たかが音楽」と言われてしまえばそれまでだが、決して「たかが娯楽のひとつ」ではないということ。と同時に「たかが娯楽」に成り下がってしまっている部分が増えてきていることも感じ取れる旅となった。
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- setlist -
Still Water / Don't Drink the Water / Dream Girl / When The World Ends / You Might Die Trying / #41 (w/ Tom Morello) / Satellite (w/ Tom Morello) / Louisiana Bayou / Sister A / Lie In Our Graves / So Much To Say / Anyone Seen The Bridge / Too Much / The Idea Of You / Jimi Thing / Stay (Wasting Time) / Ants Marching
- encore -
Gravedigger / Nothing From Nothing / Two Step
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ラスト・ストップ (07/05/30 @ Wembley Arena, London) : review by miyo
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