Smashing Mag / Amos Garrett (エイモス・ギャレット) @ Osaka 5th Street (27th May '07)

　トムズ・キャビンの麻田氏が「聞かずに死ねるか！」というコンセプトの下に始めたライヴ・シリーズ。第一弾のトニー・ジョー・ホワイトに続いて開催されたのが、今回のエイモス・ギャレット。トニー・ジョー同様に、「いぶし銀」という言葉こそがふさわしいと思えるのがこういったアーティスト。一般的な人気を考えた時、本当に人が集まるんだろうかとも思えたんだが、全19公演、日本の津々浦々をまわる今回のツアーは好評らしく、東京公演はほぼ完全にソールドアウトで、地方でもかなりの人を集めているらしい。

　この日のライヴがあったのは吹田にあるコーヒー・ハウスで、以前、ここでハッピー・アンド・アーティ・トラムのライヴがあったらしい。年代物のギターが数本、壁に飾られてあって、ギター音楽が好きな人たちがいつもここに集まっているんだろうなぁと、想像できた。うちの近所にこんなところがあったら入り浸りだろうし、若かった頃にはまっていたギター熱にまたやられそうな気配がする。

　ギタリストとして屈指の存在であることはみなさんご存じで、ギター親父やおばさん...だけじゃなくて、若い人も含めてみなさんの熱い視線がエイモスのテレキャスに注がれているのがよくわかる。エフェクターなんて一切使うことなく、エイモスの指と身体からあふれ出る「味」がギターのボディと弦に注ぎ込まれているようなもの。見事にギターが歌っている。Tボーン・ウォーカーとかジミー・ロジャース、ルイ・ジョーダンとか...　いろいろな人の名前が出てきたけど、それによりなによりエイモスの「エイモスでなきゃ出ない」ギターの音と声と、そこから生まれる命ある歌に酔いしれたという感じですかな。

　ライヴが終わってもほとんど誰も会場を後にしないで、みなさんエイモスとを一言二言言葉を交わし、嫌な顔ひとつしないでそれに応えていたのがエイモス。記念写真を撮ったり、サインをしたり...　ホントは、こうゆうのって疲れるはずなんだけど、そんな雰囲気はみじんも感じさせなかった。

　ちなみに、この日、最も目に付いたのは、やはり、名盤"Geoff Muldaur &Amos Garrett"(紙ジャケット仕様 / 通常盤)。オリジナルのLPを持ち込んでサインをもらっていた人もいた。いやぁ、名作はいつの時代も名作だなぁなんぞと思いました。

　エイモスのツアーはこの大阪からちょっとお休みを置いて30日に仙台で、それから北海道で3公演。その後、6月3日に下北沢のラカーニャ、4日に中目黒の楽屋にてツアー・ファイナルとなります。東京公演はキャンセル分が若干あるだけらしいんだが、死ぬ前には見ておくべき宝物の音楽だと思いますよ。