buttonアイシス
@ コーポレーション、シェフィールド (26th May '07)

これが、アイシス


  今年1月に来日公演を行ったアイシス。昨年のフジ・ロック・フェスティバルでのパフォーマンスを見ることができなかったということで、1月31日の大阪公演に足を運んだのだが、何かいまひとつピンとくるものを感じなかった。あの時はサポートだったジーズ・アームズ・アー・スネイクスのパフォーマンスの方が興味深いと感じた。

  ライブ前、その会場(心斎橋クラブクアトロ)で写真を撮っていた女性フォトグラファーがツアー・クルーとやり取りしているのが聞こえてきた。大阪まで来る予定はなかったが「彼らは本当に素晴らしい」ので急遽大阪公演も撮影するためにやって来たというようなことだった。残念ながら、そう話す女性の熱意に見合うだけのライブだとは感じられなかった。しかし、それ以降も彼らのライブに対する評価を目にする機会はあり、「一体何がどうすごいのか」がずっと気になっていた。そして、自分の目と耳でもう一度確かめてみたくなった。

  運良く彼らが5月20日から始まるヨーロッパ・ツアーの一環で英国を訪れることになっており、期待と不安が入り混じる想いでやってきたのはシェフィールドにあるコーポレーションという会場。主にメタルやロック系のバンドが使う会場のようである。賑やかな街の中心部から数本通りを離れた閑静な学生寮のすぐ近く。言葉の通じない国で、迷子ながらにだんだんと人通りがなくなる方向へと進んでいく時の不安たるや方向音痴の人にしか分かるまい。ようやく真っ黒に塗られて大きく「Corporation」と書かれた建物を見つけた。

  建物の中も真っ黒、というか真っ暗。何とかステージのあるところまで辿り着くと、すでにかなりの客が入っていた。いかにもヘビーな音楽を好みそうなちょっとイカツイ感じの人たちが大勢。しかし、なんとも雰囲気のいい会場だというのが第一印象。ホッとする。

  ステージには、テーブルの上に白い小さなマック一台、横にはイスがひとつとギターが一本。黒いフードを深々と被り、このマックとギターだけでサイケデリックでラウドな興味深いインストゥルメンタルの音を鳴らしていたアーティストから幕開け。どうやら、今年初めの全米ツアーに同行していたJesu(イェスー)というバンドのジャスティン・ブロードリックという人物のサイド・プロジェクト、Finalという名義での演奏だったようだ。思わずじっくりと聴き入ってしまった。こうしてまたひとつ自分の知らなかった新しいものに出会えたことだけでも、ここまでやって来た甲斐があったというものだ。

  次に登場したのがOxbowというアコースティック・デュオ。スーツ姿でアコースティック・ギターを弾いている白人男性と、始めはスーツ姿だったがストリップのごとく徐々に脱いでいくという不思議なパフォーマンスのボーカル担当の黒人男性による2人組。1950年代のジャス・クラブで演奏しているかのようなギターとハウリン・ウルフを彷彿とさせるような声で歌うというよりは語るようなボーカル。こちらもまた今までに見たことのないタイプのアーティストだった。

  そしていよいよアイシス。大阪公演の時と同じく、セット・チェンジの際にはメンバー自らがステージに出てきて各自セッティングを行う。

  だが、同じだったのはそこまで。あの時と全く違うこのエネルギーはなんだろう。音量や音圧の違いだけではない。バンドの集中力が全く違って見えるのだ。始めから終わりまで決して途切れることのないメンバー5人全員の凄まじい集中力。そう、以前に見た時に足りなかったものはこの「全員のエネルギーが同じ方向を向いている」という感覚だと思う。

  観客の反応は決して激しいというわけではない。日本の客とて同じくらい、いや、それ以上にみな一斉にひたすら頭を縦に振っていた。しかし、あの時はこんな風に客席からステージに向かって押し寄せていくようなエネルギーは感じられなかった。

  残念ながら、ほとんど曲の知識がない自分にはセットリストを書くことはできない(彼らにはセットリストのメモは存在しない)。おそらく、日本公演とそれほど違いはないのだろう。どれくらい新旧織り交ぜられたものだったのかも分からない。おそらくいつものことなのだろうが、最後の挨拶まで一切MCをすることはないし、曲ごとにギターをころころと取り替えたりもしない(全く取り替えることはない)。チューニングを変え、水(又はビール)を摂りながらも曲が途切れていることはなく、次に音を鳴らすまでのほんのわずかな時間は休むのではなく集中力を高めていっているのが見ているとよく分かる。

  どんなに言葉で書いてみたところで、ライブの空気感、特にアイシスのようなタイプの音楽の場合、それはなかなか伝わらないのだろう。

   だが、ようやく自分にも言える。彼らのライブは「すごい」のだと。


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