ザ・ノイゼッツ @ ココ、ロンドン (24th May '07)
じゃじゃ馬歌姫、KO勝ち
暗闇にきらりと光る漆黒の肌、それを覆う実に難解なセンスのファッション。英国とジンバブエの血が流れるヴォーカリスト兼ベーシスト、シャンギィ率いる3ピース・バンド、ザ・ノイゼッツは、文字通り70年代のロック、サイケデリアを咀嚼したそのとてつも無いノイズを撒き散らす恐るべきグループだ。戦争の被害に苦しむ世界中の子供達を支援する団体、ウォー・チャイルドが主催するチャリティ・イヴェントの一環で開かれた、ウォー・チャイルド・ミュージックのライヴ・アクトのヘッドライナーとして真夜中にココに立った彼ら。「せいや!」とばかりに速攻で走り出したバンドのフル・エナジィ、とりわけシャンギィの存在感が半端じゃない。
最新シングルの"スクラッチ・ユア・ネイム"のギターのイントロがステージに鳴り響き、ダイナミックなドラミングと、うねり狂うベースが押せ押せで更なる爆音を生み出してゆく。エモーショナルなシャンギィのヴォーカルは、CDから聴こえる忠実さもさることながらそれを上回る常軌を逸した表現力で、聴き手にすこぶる強烈なショックを与え続ける。高音部の美しいファルセット、低音の野太い響き、可憐でセクシィなシャウト。声の魅力は勿論、随所でちらつかせる挑発的な表情、爛漫な笑顔、空を蹴り上げ、ジャンプして、と体丸ごとで暴れるシャンギィ、もうこの人のキャラクターそのものがノイゼッツの象徴であり、ノイゼッツ=シャンギィと言っても過言ではない。だからといって他の男メンバーが彼女の鞄持ちに終始しているという訳では決してなく、それは彼らのサウンドに耳を当てればこってこてにロックンロール街道を突っ走るギター・リフ、メロディの抑揚をしっかり意識した質の高いソング・ライティング、シンプルなセットでサウンドの心拍数をがっちり担うドラミングの"ドント・ギヴ・アップ"や、"シスター・ロゼッタ"という素晴らしい曲から十分に伝わってくる。
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各人の演奏レヴェルの高さが結合し、そこから一気に弾き出されるこういったスリリングな展開のロックもあり、"マインド・ザ・ギャップ"の緩急と転調が入り交じった複雑なナンバーに乗る、陳腐でも惚れ惚れとしか言いようの無いシャンギィの表情豊かな歌声に、体の内側はじんじん燃えたぎり、けれども背筋は張りつめたままの緊張感という極めて不思議な肉体の反応を覚えた。一度観たら決して忘れられない強力な印象を与えるスーパー・ファンキィなバンド、それがザ・ノイゼッツ。観ぬなら聴くな。聴くなら観ろ。
-- setlist --
Scratch Your Name / Don't Give Up / Wind Blows Hot / Nothing To Dead / Mind The Gap / Iwe / Monte Christ / Sister Rosetta |
report and photos by kaori
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2007
かくも熱き音魂 : コールド・ウォー・キッズ (21st May @ ココ、ロンドン)
グロウスティックの震撼 : クラクソンズ (18th May @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
大波に乗れ! : ザ・マッカビーズ (17th May @ アストリア、ロンドン)
嵐を呼ぶ男 : ザ・レモンヘッズ (16th May @ ココ、ロンドン)
虎穴に光る虎児の牙 : プル・タイガー・テイル (11th May @ プラウド・ギャラリィ、ロンドン)
娯楽なロックは裏切らない : マキシモ・パーク (10th May @ アストリア、ロンドン)
壊れたおもちゃ箱 : ディアフーフ (2nd May @ ココ、ロンドン)
汗くさメタルよ、さようなら : ロストプロフェッツ (23rd Apr. @ HMV、ロンドン)
腹に響くぜ、ロックン・ロール : ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ (18th Apr. @ アストリア、ロンドン)
大人しいのは見せかけさ : ピーター・ビョーン・アンド・ジョン (15th Apr. @ ココ、ロンドン)
金の卵探しはオール・ナイトで : ザ・ナインティーン・ハンドレッズ、ジャック・ペネイト、グッド・シューズ、ビッフィ・クライロ (13th Apr. @ フォーラム、ロンドン)
行儀良く聴きたい夜には : ジョアン・アズ・ポリス・ウーマン (12th Apr. @ スカラ、ロンドン)
眠れぬ森の王子 : パトリック・ウルフ (11th Apr. @ アストリア、ロンドン)
裸の俺様 : レイザーライト (8th Apr. @ アールズ・コート、ロンドン)
耳を肥やせ、インディ・ファンよ : リトル・マン・テイト (5th Apr. @ アストリア、ロンドン)
あと、もう一歩 : マキシモ・パーク (4th Apr. @ HMV、ロンドン)
泣く子も黙るライヴ天国 : フォール・アウト・ボーイ (2nd Apr. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
二枚目の分かれ道 : ザ・レイクス (31st Mar. @ ブリクストン・アカデミー、ロンドン)
ボヘミアン・ラプソディ : ゲット・ケイプ・ウェア・ケイプ・フライ (30th Mar. @ フォーラム、ロンドン)
失われぬ青春ポップス : ザ・シンズ (28th Mar. @ フォーラム、ロンドン)
ジャンル無法地帯警報 : エンター・シカリ (21st Mar. @ HMV、ロンドン)
加速するエモ・ポップ特急 : キッズ・イン・グラス・ハウジーズ (17th Mar. @ ココ、ロンドン)
天才とセンティメンタリズム : ブライト・アイズ (16th Mar. @ ココ、ロンドン)
音楽が音楽であるために : ジ・アワーズ (15th Mar. @ KCL、ロンドン)
踊るインベイダー : ザ・レイクス (12th Mar. @ HMV、ロンドン)
怒れるスコッツ : ビッフィ・クライロ (9th Mar. @ HMV、ロンドン)
フィヨルドの咆哮 : マンドゥ・ディアオ (7th Mar. @ KCL、ロンドン)
お茶の間バンドの平均美学 : カイザー・チーフス (2nd Mar. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
妖女の夢は夜ひらく : ハウリング・ベルズ (25th Feb. @ ココ、ロンドン)
闘う女王様 : ゴシップ (24th Feb. @ アストリア、ロンドン)
密色の調べ : デューク・スペシャル (21st Feb. @ ULU、ロンドン)
天使の微笑み、悪魔の囁き : レジーナ・スペクター (16th Feb. @ アストリア、ロンドン)
CD買うより観においで : ザ・ホロウェイズ (14th Feb. @ ココ、ロンドン)
賢者の演奏 : クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー (13th Feb. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
真冬のカーニヴァル : ラーリキン・ラヴ (12th Feb. @ ココ、ロンドン)
僕らの音がグラマラス : スウィッチーズ (9th Feb. @ ココ、ロンドン)
弾いて、歌って、踊っちゃう : オーケイ・ゴー (4th Feb. @ ココ、ロンドン)
暴れん坊少年、見参 : ジェイミーT (24th Jan. @ アストリア、ロンドン)
大人のメロディ : セブン・フォー・セブンス (23rd Jan. @ ザ・ボーダーライン、ロンドン)
音も人も青春まっただ中 : ザ・ヴュー (22nd Jan. @ HMV、ロンドン)
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