ザ・レモンヘッズ @ ココ、ロンドン (16th May '07)
嵐を呼ぶ男
突如発生したココの電気系統のトラブルにより、当初月曜日に予定されていたザ・レモンヘッズのギグが中一日開けた水曜日に振替公演となった。予定ではこの後欧州を巡るツアーになる彼らだけに、すんなりと近い日程で対応してくれたのだからほっとしたファンも多かったことだろう。本人病気などの理由でならともかく、よりによって会場の不具合だったというのだから、気が抜けるが。まあ、何が起こるか分からないものである。さて、エヴァン・ダンドゥ率いるザ・レモンヘッズ。90年代前半のブレイク、事実上の解散、そして近年の再結成へという過程の中で、3人編成に落ち着いたバンド。しかしながら、実態としてはエヴァン名義のライヴ・バンドといった表現が正しいだろう。古き良きパンク・ポップの中心に律する、エヴァンの「男」を感じる歌声。ソロとしての活躍が目立っていた彼ではあるが、昨年リリースしたバンド名を冠したアルバムからは、そのパンク精神の健在さもさることながら、まるで自身の重ねた人生遍歴を反芻するかのような、人間味溢れるアコースティックな音を聴かせてくれる。
予定より約20分遅れでステージに上がったエヴァンらを口笛で歓迎する客席には、30代と見られる男性客の姿が多い。"ノー・バックボーン"、"アイ・カント・テイク・イット"という軽快なギター・ロックは、曲の枠組みだけに目を向ければ、その辺のパンク・バンド達が鳴らしていそうな何て事無いものだけれども、どこまでも広がっていく声量逞しいエヴァンの歌と、雷鳴の様に轟くダイナミックなドラミングが紛れも無くここに響く音に+アルファをもたらしている。ココは音響の良さに定評があるけれども、それも手伝ってか、このドラミングの凄まじい印象にはある意味驚愕するよりなかった。とにかく突っ立ってたら吹っ飛ばされそうな勢いなのだ。後半はエヴァンの弾き語りへとセットが変わり、"フランク・ミルズ"、"ホスピタル"らのしっとりと優しい音色が会場を包み込み、観客の合唱が起こる場面も見られた。このアコースティック・チューンズには節々に、打ち所が悪くて、感傷的になってしまったオアシスの様なメロディが感じられ、エヴァンよ、もっと自分の音で語っておくれよと切に願った瞬間でもあったが、シンガーとしての徳かな、何ともセクシィな歌声はやはり年を経ても揺るぎない彼の魅力であるから、そういった楽曲面でのあからさまなインスピレイションもまあ、ご愛嬌だろう。
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再びバンドとしてアンコールに応えたバンドは、やっぱりパンクな"ライド・ウィズ・ミィ"、"ドラッグ・バディ"をプレイ。エヴァンがこれでもかというほどディストーションを効かせたギターを掻き鳴らし、ショウが締め括くられた。嵐の様な月曜日だったね、と彼は揶揄したが、無事に振り替えられた今夜のザ・レモンヘッズのギグは、戻らない在りし日を懐かしむ感傷が目立ち、決してスリリングなライヴとは言えない。けれどもふつふつとでも確かに消えない彼らの音楽への情熱が放たれていた。余裕と恍惚の佇まいを終始貫くエヴァンのパンク精神は、様々な悲喜こもごもを経て、奇を衒わずにしても暴れることの出来る自分らしさを手にしたようだ。
-- setlist --
Down About It / Confetti / Black Gown / The Great Big No / Tenderfoot / It's About Time / No Blackbone / I Can't Take It / Steve Boy / About Ray / Why Do You Do This To Yourself? / Frank Mills / The Outdoor / Hospital / Type
-- encore --
Ride With Me / Drug Buddy |
report and photos by kaori
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