熊猫 (シェンマオ) @ 高円寺ギア (12th May '07)
パンダは可愛いが、時に凶暴になるということを忘れるな
熊猫xiongmao(シェンマオ、と読みます)を知ったのは、去年ブリーチを追っ掛けているときで、そのときの強い印象が忘れられずに、いつかもう一度観たいと思っていたのだ。なかなかチャンスがなく、ようやく高円寺GEARというライヴハウスで観ることができた。このライヴハウスは高円寺の商店街にあり、地下のちょっと複雑な構造のハコだ。さらにその下には20000ボルトというライヴハウスがあるので、静かなときには床から振動が伝わってくる。
熊猫xiongmaoは、ゆかりとみうみの女の子ヴォーカル2人を、男たちの演奏陣ががっちりと支えるバンドである。強力なベースとドラムに、MONG-HANG(モンハン)などでもすばらしいプレイを披露するugazinがサポートギタリストとして加わって繰り出される音は、マッドカプセル・マーケッツやバック・ドロップ・ボムのような音が好きな人に激しくお勧めできる。
そんな迫力十分で、かつ爽快感のある音に乗って、キュートな女の子たちが自在に歌いまくる。その女の子たちも、いかにもロックが好きそうな格好じゃなく、普通の街にいそうなギャルっぽい外見なので、そのギャップがむしろツボなのだ。
元気よく疾走していく"SOWER"や沖縄民謡をヘヴィに改造した"GxD"、ポップなものもレゲエぽいのもある。そのどれもが、重厚でいながら切れ味のある演奏で聴き応えは十分。ライヴでは、体重100キロを越えるスキンヘッドの巨漢、ウガジンの多彩なギターがポイントになっているように思えた。そしてラストの"さくら"は、GS(スパイダースあたりか)を思わせるギターのフレーズで始まり、中国語がキュートに響くポップな歌いだし、突然挟まる「I feel so lonely」という英語が耳を引き、サビの日本語がさわやかに伸びやかに聞こえる。この一曲の中にぶち込まれた複数のアイディアが贅沢さを感じさせる。そして、轟音とデス声が襲い掛かってくるという展開。ヴォーカルのゆかりは吠えながら客席に突入、暴れまくる。
中国語では熊猫とはパンダのことである。パンダはその外見から世界中で愛されているけど、飼育員や見学客を襲ったりするらしい。熊猫xiongmaoのキュートさと激しさは、まさパンダの生態のようだ。うっかりしていると怪我をする、そんな生態をそのまま表現したものだといえる。
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