Smashing Mag / Fermin Muguruza (フェルミン・ムグルサ) and Afro Basque Fire Brigade in Vina Rock Festival, Benicassim (29th Apr. '07)

　ラテン系の世界では圧倒的な影響力を持つフェルミン・ムグルサが、どれほどの支持を受けているか...　おそらく、日本にいたら、想像することもできなかっただろう。が、スペイン最大級のオルタナティヴなフェスティヴァルと言われるヴィーニャ・ロック・フェスティヴァルで、それをまざまざと見せつけられることになる。この日、会場に集まっていたのは55000人。そのメイン・ステージで約4万人を前に演奏したのがフェルミン。彼がステージに登場したのは夜11時を前にした頃で、最も多くの人たちが集まる時間帯。その数万人が波打つように迎えたのがこのビッグ・バンドだった。

　キューバ人のパーカッションとベース、ジャマイカからキーボードとしてこのバンドに加わっているのはフランクリン・バブラー・ウォル。レゲエ好きなら知っている人も多いだろう、伝説的なミュージシャン、デニス・ブラウンやスライ＆ロビーをバックに全盛期を迎えていたブラック・ウフルーあたりで活躍していた人物だ。同じく、ジャマイカ人のバック・ヴォーカルに、3人のホーン・セクション、さらに前回の来日で強烈なアピールをしたバスク人のアコーディオンにバック・ボーカル、ギター、ドラムス、そしてDJという編成だ。そこからあふれ出てくるのはバスクとジャマイカが合体したハイブリッドな音楽。そこにフェルミン自身が「武器」だと断言するラディカルな言葉が、突き刺すようにオーディエンスに放たれる。その光景はバンダ・バソッティのローマでのライヴを遙かに上回る迫力なのだ。

　同志と言ってもいいだろう、マヌ・チャオやジェロビアフラ、そして、バンダ・バソッティといったラディカルなバンドやアーティストをつなぐキー・パーソンとして、フェルミンがどれほど絶大な支持を受けているかを再認識されたのがこのフェスティヴァルでの演奏。そのあたりが日本でも正当に評価される時代がそろそろやってきてもいいと思うのだ。