キャンセイ・デ・セイ・セクシィ - シーエスエス (CSS) @ アストリア、ロンドン (23rd Apr. '07)
命短し、踊れよ乙女
お洒落で可愛い女の子達の中に一人強烈な濃ゆいおっさん、計6人のバンド構成が何とも怪しいシーエスエスだが、2月のNMEツアーでレポートした様に、そのエレクトロクラッシュとパンク要素に溢れた新しいサウンドは賑やかで、華やかで実に面白い。踊らにゃ損損とばかりに終始フロアではしゃぎ回り、気合いの入った煽りで観る者全ての体を揺さぶるフロント・ウーマン、ラヴフォックスはザ・ゴシップの巨体女王、ベス・ディットーよりも遥かに小柄ながら、彼女に負けじと今夜もしっかりブルーのレオパードを衣装に暗闇へ走り出て来た。
"アララ"では一瞬床にひざまずき、祈る様な面持ちで空を見つめたかと思えば、次の瞬間には「せいやっ!」とでも言った様な勢いで全身をくねらせ、踊りながら歌い続けるラヴフォックス。敏捷なその体が気持ち良いリズムに乗ってステージの上を行き来する。"アート・ビッチ"など、下品にかました歌詞に合わせお尻を振り振り、そんな大胆なパフォーマンスが可愛くてたまらない。ポジティヴ・パワー全開の彼女の表現と、強心臓の如しドラミングが支えになったギター・サウンドも、前回のようにところどころもたついたり、単なる雑音に終わる事無く、シーエスエスの魅力をアストリアに大きく響き渡らせ、随分頼もしくなった。ライヴでは、力強いロック・サウンドを打ち鳴らそうという意識の方が目立ち、ピコピコ・シンセが程良い効果音に終始しているにもかかわらず、心も体もダンスしようと鼓動が波立つ。メンバー6人が皆笑顔で汗を撒き散らし、ハンズ・クラップを促したり、楽しそうにプレイしているから余計そんな風になるのだろう。例えばこれが初めて参加するパーティだとしたら、ここに居合わせた人達の多くが、自分でも信じられないくらいに自然にダンスして、心の底から笑っていることに気づく、そんな魅力が満載のライヴだ。
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"オフ・ザ・フック"、会場全体で大合唱となった"レッツ・メイク・ラヴ..."では先述のおっさんことメイン・ドラマー、アドリアーノとギターのキャロリーナが交代するのだが、何とびっくり、キュートな彼女のベース・ドラムのキックは彼にも劣らず深い。アンコール最後のこの曲ではサポート・メンバーも全員ステージに飛び出し、この日ステージを分かち合った皆で踊って歌って多いに盛り上がり、連夜二公演の熱いお祭りコンサートを締め括った。ヤー・ヤー・ヤーズのカレン・Oが観る者の呼吸を奪う程の強烈なシンガーならば、こちらラヴフォックスはずっと敷居が下がって、身近にいる様なお洒落で陽気な女の子が、自分の楽しい瞬間を同じ思いの仲間と無邪気に共有しようというくだけた雰囲気を漂わせている。アートと遊び心を抜群の感覚でミックスさせたサウンド、ヴィジュアル。CSSよ、灼熱の太陽で今こそインディ・ロックを燃やせ!
-- setlist --
Holiday / Alala / Fuck Off Is Not The Only Thing We Have To Show / Art Bitch / This Month Day 10 / Odio Odio Odio Sorry C / Poney, Money, Honey / Off The Hook / Music Is My Hot Hot Sex
-- encore --
I Wanna Be Your J-Lo / Chain Love / Let's Make Love And Listen To Death From Above
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report and photos by kaori
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命短し、踊れよ乙女 (07/04/23 @ Astoria , London) : review and photos by kaori
一足お先に開花宣言! (07/02/22 @ Hammersmith Palais, London) : review and photos by kaori
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2007
命短し、踊れよ乙女 : キャンセイ・デ・セイ・セクシィ - シーエスエス (23rd Apr. @ アストリア、ロンドン)
汗くさメタルよ、さようなら : ロストプロフェッツ (23rd Apr. @ HMV、ロンドン)
腹に響くぜ、ロックン・ロール : ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ (18th Apr. @ アストリア、ロンドン)
大人しいのは見せかけさ : ピーター・ビョーン・アンド・ジョン (15th Apr. @ ココ、ロンドン)
金の卵探しはオール・ナイトで : ザ・ナインティーン・ハンドレッズ、ジャック・ペネイト、グッド・シューズ、ビッフィ・クライロ (13th Apr. @ フォーラム、ロンドン)
行儀良く聴きたい夜には : ジョアン・アズ・ポリス・ウーマン (12th Apr. @ スカラ、ロンドン)
眠れぬ森の王子 : パトリック・ウルフ (11th Apr. @ アストリア、ロンドン)
裸の俺様 : レイザーライト (8th Apr. @ アールズ・コート、ロンドン)
耳を肥やせ、インディ・ファンよ : リトル・マン・テイト (5th Apr. @ アストリア、ロンドン)
あと、もう一歩 : マキシモ・パーク (4th Apr. @ HMV、ロンドン)
泣く子も黙るライヴ天国 : フォール・アウト・ボーイ (2nd Apr. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
二枚目の分かれ道 : ザ・レイクス (31st Mar. @ ブリクストン・アカデミー、ロンドン)
ボヘミアン・ラプソディ : ゲット・ケイプ・ウェア・ケイプ・フライ (30th Mar. @ フォーラム、ロンドン)
失われぬ青春ポップス : ザ・シンズ (28th Mar. @ フォーラム、ロンドン)
ジャンル無法地帯警報 : エンター・シカリ (21st Mar. @ HMV、ロンドン)
加速するエモ・ポップ特急 : キッズ・イン・グラス・ハウジーズ (17th Mar. @ ココ、ロンドン)
天才とセンティメンタリズム : ブライト・アイズ (16th Mar. @ ココ、ロンドン)
音楽が音楽であるために : ジ・アワーズ (15th Mar. @ KCL、ロンドン)
踊るインベイダー : ザ・レイクス (12th Mar. @ HMV、ロンドン)
怒れるスコッツ : ビッフィ・クライロ (9th Mar. @ HMV、ロンドン)
フィヨルドの咆哮 : マンドゥ・ディアオ (7th Mar. @ KCL、ロンドン)
お茶の間バンドの平均美学 : カイザー・チーフス (2nd Mar. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
妖女の夢は夜ひらく : ハウリング・ベルズ (25th Feb. @ ココ、ロンドン)
闘う女王様 : ゴシップ (24th Feb. @ アストリア、ロンドン)
密色の調べ : デューク・スペシャル (21st Feb. @ ULU、ロンドン)
天使の微笑み、悪魔の囁き : レジーナ・スペクター (16th Feb. @ アストリア、ロンドン)
CD買うより観においで : ザ・ホロウェイズ (14th Feb. @ ココ、ロンドン)
賢者の演奏 : クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー (13th Feb. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
真冬のカーニヴァル : ラーリキン・ラヴ (12th Feb. @ ココ、ロンドン)
僕らの音がグラマラス : スウィッチーズ (9th Feb. @ ココ、ロンドン)
弾いて、歌って、踊っちゃう : オーケイ・ゴー (4th Feb. @ ココ、ロンドン)
暴れん坊少年、見参 : ジェイミーT (24th Jan. @ アストリア、ロンドン)
大人のメロディ : セブン・フォー・セブンス (23rd Jan. @ ザ・ボーダーライン、ロンドン)
音も人も青春まっただ中 : ザ・ヴュー (22nd Jan. @ HMV、ロンドン)
2006
皇帝、降臨すれども統治せず : カサビアン (19th Dec. @ アールズ・コート、ロンドン)
北の音、弾ける : アイドルワイルド (4th Dec. @ スカラ、ロンドン)
オらがバンド、ザ・ズートンズ! : ザ・ズートンズ (3rd Dec. @ ラウンドハウス、ロンドン)
節目も何も、余裕です : ザ・シャーラタンズ (16th Nov. @ HMV、ロンドン)
上空戦線異状なし : エアー・トラフィック (31st Oct @ 100クラブ、ロンドン)
聡明な音楽 : ザ・ディアーズ(26th Oct @ ココ、ロンドン)
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