Smashing Mag / Banda Bassotti (バンダ・バソッティ) @ Maria, Berlin (21st Apr. '07)

　1年ぶりのバンダ・バソッティだった。イタリアの闘うロック軍団とでも言っていいだろう、日頃は肉体労働に携わる典型的な労働者階級だというのがそのメンバー。その立場から社会の不正やファシズム、人種差別に対して音楽を武器に闘い続けるその姿勢が、地元イタリアのみならずスペインからフランス、ドイツあたりまで圧倒的な支持を獲得しているのだ。加えて、キューバあたりで演奏したこともあれば、ニカラグアでサンディニスタ支持のために長期にわたってボランティアとして学校建設などにも携わっている。今年はメキシコや南米ツアーも計画されていて、すでに日本でも知られるようになったフェルミン・ムグルサや新しいアルバムをレコーディング中だというエル・グラン・シレンシオあたりと一緒にライヴをするという情報も伝わっている。

　彼らが毎年、国外からのゲストを招いて開催しているのがストリート・ビート・フェスティヴァル。今年はスペインでバンダ・バソッティと同じように闘い続けるバンド、すでに20年の歴史を誇るボイコットあたりと4月25日にからそのツアーに入ったのだが、前哨戦として彼らが向かったのがベルリンだった。この街にあるマリアと呼ばれる小屋で開催されていたのが「Move Against G8」というメッセージを放つフェスティヴァル。1日約20バンドがここで3日間にわたって演奏するというもので、ここで思い知らされたのが日本にはなかなか伝わってこない非英語圏のロックが抱えるとんでもないパワーだった。バンダ・バソッティが目的で出かけたこともあり、他のアーティストの撮影はしていないんだが、ここに出演していたバスクのハードコア、ベリ・チャラックやスカ・パンク、ベタガリ、あるいは、フランスの戦闘的なロック、ブリガーダ・フローレス・マゴンにバンダ・バソッティのフォロワー、ヴェニスのタルコ、それにアルゼンチンのバンドで活動拠点をスペインのバルセローナに移しているチェ・スダカあたりに圧倒的な迫力を感じるのだ。特に、初体験となったチェ・スダカは、下手をすると全盛期のマノ・ネグラに通じるインパクトを残してくれた

　この後、ストリート・ビート・フェスティヴァルを取材し、そのままスペインに流れてフェルミン・ムグルサを中心に取材を進めているのだが、ここでも同じ衝撃を受け取ることになる。ラテン語圏のロック・バンドを集めたヴィーニャ・ロック・フェスティヴァルで4万人を前に演奏するフェルミンに圧倒され、日本では無名のとんでもないバンドの数々を体験することになる。その様子は、今回の取材に同行したtaikiが今後レポートともに紹介していくことになる。お楽しみに。