ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ @ アストリア、ロンドン (18th Apr. '07)
腹に響くぜ、ロックン・ロール
寡黙で硬派なイメージ。ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブの面々からはそんな印象を受ける。しのごの垂れる暇があったらガツンとかましたロックで耳をぶち抜いてやるからまあ聴いとけ、と別に本人らがそう言ったわけではなくこちらが勝手にそんなイメージを抱いているだけなのだが、ガシガシ掻き鳴らされるギターに荒くれた歌声のそのガラージ・サウンドからも、薄っぺらなポップ・ロックが太刀打ちできない凄みを感じる。ステージ後方に懸かったエンブレムにはドクロの絵とそれを囲むシンプルなバンドの名前。メンバーみな一様に、黒い装いでファンの前に姿を現した。通算4枚目のアルバムの発表を来月に控えての久々のロンドン公演だ。
ギュイイ〜ンと唸るエレキ・ギターの音に、フロアを揺るがすほどの重たいベースライン。淡々としながらも確実で強烈なベース・キックをし続けるドラミング。ミニマルな3人編成として、まさに完璧なグルーヴ感を持った"スプレッド・ユア・ラヴ"や"ハウル"、オーディエンスの1、2、3、4という掛け声で幕開けた"ノット・ホワット・ユー・ウァンティッド"ではベーシストのロバートが床にしゃごんでプレイする姿からも納得できるほど、下へ下へと迫って行く様な実に極太で濃厚なバンド・アンサンブルである。演奏だけでも半端じゃなくヘヴィなのに、そこに呪いでも掛けてるかの様に歌われるピーターの低くくぐもった声が相まって、その重低音の塊が脳天よりも腹を直撃する。体の内側から追い立てられるいわれの無い興奮にどんどん痺れてくるのだ。曲により演奏と歌のパート・チェンジを行うフロントの二人だが、メイン・シンガーのピーターもロバートも声質がそっくりなのには驚いた。が、あまりの爆音なサウンドに終始その歌声がかき消されがちだったのが残念。アンコールの"ウェポン・オヴ・チョイス"はまだ聴けたが、鬼気迫る演奏になればなるほど、ヴォーカルが霞んでしまう様は、観ていて歯痒かった。彼ら自身が歌う事よりもむしろ演奏の方に没頭している風に見えたせいもある。
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グラム・ロックの華やぎや、"エイント・ノー・イージー・ウェイ"のようなハーモニカの哀愁の音を讃えたブルーズのテイストを滲ませながら、彼らの音の基底にあるのはやはり、古き良きロックン・ロール。これこそ無機質な電子音におもねる事無しに、あくまでギター、ベース、ドラムの三位一体で直球勝負に挑むブラック・レベル・モーターサイクル・クラブのサウンドの素晴らしさであり、流行廃りの変化球が行き来するミュージック・シーン故に、尚更その不変のスタイルが我々リスナーを心酔させる。ポップはもう死んでいるかもしれない。でもロックは死なない、彼らがいる限り。
-- setlist --
Berlin / Cold Wind / Awake / Spread Your Love / Lie On Your Dreams / Red Eyes / Howl / Took Out A Loan / Not What You Wanted / Punk Song / Six Burrel Shotgun / Stop / Need Some Air / American X / Devil's Waitin' /
-- encore --
Fault Line / Ain't No Easy Way /Weapon Of Choice / Am I Only / Heart And Soul |
report and photos by kaori
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腹に響くぜ、ロックン・ロール (07/04/18 @ Astoria , London) : review & photos by kaori
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2007
腹に響くぜ、ロックン・ロール : ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ (18th Apr. @ アストリア、ロンドン)
大人しいのは見せかけさ : ピーター・ビョーン・アンド・ジョン (15th Apr. @ ココ、ロンドン)
金の卵探しはオール・ナイトで : ザ・ナインティーン・ハンドレッズ、ジャック・ペネイト、グッド・シューズ、ビッフィ・クライロ (13th Apr. @ フォーラム、ロンドン)
行儀良く聴きたい夜には : ジョアン・アズ・ポリス・ウーマン (12th Apr. @ スカラ、ロンドン)
眠れぬ森の王子 : パトリック・ウルフ (11th Apr. @ アストリア、ロンドン)
裸の俺様 : レイザーライト (8th Apr. @ アールズ・コート、ロンドン)
耳を肥やせ、インディ・ファンよ : リトル・マン・テイト (5th Apr. @ アストリア、ロンドン)
あと、もう一歩 : マキシモ・パーク (4th Apr. @ HMV、ロンドン)
泣く子も黙るライヴ天国 : フォール・アウト・ボーイ (2nd Apr. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
二枚目の分かれ道 : ザ・レイクス (31st Mar. @ ブリクストン・アカデミー、ロンドン)
ボヘミアン・ラプソディ : ゲット・ケイプ・ウェア・ケイプ・フライ (30th Mar. @ フォーラム、ロンドン)
失われぬ青春ポップス : ザ・シンズ (28th Mar. @ フォーラム、ロンドン)
ジャンル無法地帯警報 : エンター・シカリ (21st Mar. @ HMV、ロンドン)
加速するエモ・ポップ特急 : キッズ・イン・グラス・ハウジーズ (17th Mar. @ ココ、ロンドン)
天才とセンティメンタリズム : ブライト・アイズ (16th Mar. @ ココ、ロンドン)
音楽が音楽であるために : ジ・アワーズ (15th Mar. @ KCL、ロンドン)
踊るインベイダー : ザ・レイクス (12th Mar. @ HMV、ロンドン)
怒れるスコッツ : ビッフィ・クライロ (9th Mar. @ HMV、ロンドン)
フィヨルドの咆哮 : マンドゥ・ディアオ (7th Mar. @ KCL、ロンドン)
お茶の間バンドの平均美学 : カイザー・チーフス (2nd Mar. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
妖女の夢は夜ひらく : ハウリング・ベルズ (25th Feb. @ ココ、ロンドン)
闘う女王様 : ゴシップ (24th Feb. @ アストリア、ロンドン)
密色の調べ : デューク・スペシャル (21st Feb. @ ULU、ロンドン)
天使の微笑み、悪魔の囁き : レジーナ・スペクター (16th Feb. @ アストリア、ロンドン)
CD買うより観においで : ザ・ホロウェイズ (14th Feb. @ ココ、ロンドン)
賢者の演奏 : クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー (13th Feb. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
真冬のカーニヴァル : ラーリキン・ラヴ (12th Feb. @ ココ、ロンドン)
僕らの音がグラマラス : スウィッチーズ (9th Feb. @ ココ、ロンドン)
弾いて、歌って、踊っちゃう : オーケイ・ゴー (4th Feb. @ ココ、ロンドン)
暴れん坊少年、見参 : ジェイミーT (24th Jan. @ アストリア、ロンドン)
大人のメロディ : セブン・フォー・セブンス (23rd Jan. @ ザ・ボーダーライン、ロンドン)
音も人も青春まっただ中 : ザ・ヴュー (22nd Jan. @ HMV、ロンドン)
2006
皇帝、降臨すれども統治せず : カサビアン (19th Dec. @ アールズ・コート、ロンドン)
北の音、弾ける : アイドルワイルド (4th Dec. @ スカラ、ロンドン)
オらがバンド、ザ・ズートンズ! : ザ・ズートンズ (3rd Dec. @ ラウンドハウス、ロンドン)
節目も何も、余裕です : ザ・シャーラタンズ (16th Nov. @ HMV、ロンドン)
上空戦線異状なし : エアー・トラフィック (31st Oct @ 100クラブ、ロンドン)
聡明な音楽 : ザ・ディアーズ(26th Oct @ ココ、ロンドン)
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