buttonベン・クウェラー @ 原宿アストロホール (18th April '07)

幸福の使者ベン・クウェラー


Ben Kweller
 2003年の初来日、2004年はフジロック、今年で3度目の来日公演になるベン・クウェラー。今回はソロ来日ということで、アコースティックギターとピアノだけでのステージとなりました。いやまさか本当にひとりきりでのライヴになろうとは、蓋を開けて見るまでいささか半信半疑&不安でもあったのですが、これほど(もう本当にビックリ仰天ものの)躍動感溢れるライヴになろうとは誰が思っていたでしょうか。大阪と東京のみでのライヴではありましたが、彼はまさに幸福の使者とでもいうべきか、皆さんエヴリバディハッピーな気分で帰路につかれたのではないでしょうか。(翌日翌々日に及んでもこの日の事を思い出してはニコニコ……そんな人も多いのではと想像します)

 1981年生まれのベン君はまだ25才ですけど、芸歴はもう10年ほどになるのだろうか。その"ひとりでもこんだけやれるぜ"的ステージング&芸達者ぶりはなかなかの貫録。昨年発売されたサードアルバム、「ベン・クウェラー」のジャケット写真よりも少し伸びた髪は綺麗なブロンドカラーでさらに美しいクルクル巻き毛(いったいどこの中世貴族かと思いました(笑))、それからいたずら好きな少年のようにあどけなく笑う表情にも、男の僕でも思わず見とれてしまうのだから、本物の母性本能を持つお姉様方には、こんな近くで彼の声や姿を見れてたまらなく最高な一夜だったはずです(断言)。

Ben Kweller エピフォン製の使い古したアコギを体一杯に使って、弦が切れるか切れないかそのギリギリのラインまで思いきり弾ききる姿、童顔な面持ちとは正反対なその激しいギターストロークに揺さぶられる瞬間が何度も訪れました。ギターだけだからより伝わる、原曲の持つメロディの美しさも彼の歌からあらためて感じることができたりも。

 セットは彼の3枚のアルバムからほぼ満遍なく演奏され、中盤はアコギからピアノでの弾き語りにチェンジ。彼のピアノ曲はどれも歌メロが美しい名曲が多いので、安心して聴いていられるというもの。照明の加減によっては、黒いアップライトピアノに映り込む彼の顔を見つけられた人も多くいたのではないでしょうか……。手拍子をするもの、一緒に歌うもの、皆声は小さく控えめながら、会場は非常に暖かい空気に満たされていきました。隣の女の子なんて小声だけどAメロからずっと歌っていて、すごい!なんて思ったり。結構そんなちょっと控えめだけど熱心なファンに支えられているんだなぁと実感です。

 ピアノタイムの途中では、ビーチボーイズの名曲、"神のみぞ知る(God Only Knows)"のカバーを披露。彼の歌のバックボーンを垣間見る。ブライアン・ウィルソン、ジョン・レノン、そんな偉人達が紡ぎだすメロディと彼の歌はどこか近しいものがあると感じつつ、ベン・クウェラーのキャリアはまだまだこれからなんだなぁ!と強く思ったりもする。これからも沢山の名曲を紡ぎだしてくれることだろう。

 後半の後半"Family tree"からはまたアコギにチェンジすると、そこからは一気にまくし立て観客を煽りつつラストスパートに入る。観客の手拍子がドラムとなり、歌声がハーモニーとなり会場は一体感を増して行く。最新シングル曲である"Sundress"、"Penny on the train track "では完全に全体がファミリーのような雰囲気になっていて、彼の歌う愛の歌に、僕らはニコニコ顔を止める事なんて出来なかったのでした(笑)。

Ben Kweller アンコールの"The Rules"ではアコギにディストーションのエフェクターを掛けてさらに激しくのたうち回るベン君。曲間になんとメタリカの"エンター・サンドマン"を弾き始めたりもしつつ(最高〜!)、盛り上がりきる寸前のところで、ベン・クウェラーのソロ公演は幕を閉じました。(しかしメタリカとは……どうやらバンドでも過去に演奏しているようでレパートリーにも入っているようです(YouTube動画発見)。ますますメタル好きを公言しているウィーザーらとの接点が拡大するばかりですが。ウィーザー好きはもっとベン・クウェラーも聴いてもいいのかもしれませんよ!)

 最後に彼は言いました。「すぐ日本に戻ってくるよ、そう、わりとすぐにね……」どうやら私達は控えめな愛情はこれっきりにして、声高々に「好きだ」と叫ばなければいけない時が近づいてきているようです。ご近所に、レディオステーションに、リクエストのラヴレターを送りましょう。バンドでの再来日を心待ちに!


-- setlist --

1.On my way 2.Walk on me 3.Commerce,TX 4.Lizzy 5.My apartment 6.Sha sha 7.Run 8.Different but the same 9.Nothing happening 10.Falling 11.Hospital bed 12.Living life 13.God only knows(The Beach Boys cover) 14.In other words15.Family tree 16.I don't know why 17.Sundress 18.Penny on the train track

-- encore --

19.The rules(/Enter sandman) 20.Wasted and ready
Ben Kweller

report by kamji and photos by izumikuma

==>top page : JPN / ENG

buttonmag files : Ben Kweller

button幸福の使者ベン・クウェラー (07/04/18 @ Harajuku Astro Hall) : review by kemji, photos by izumikuma
buttonphoto report (07/04/18 @ Harajuku Astro Hall) : photos by izumikuma
buttonCD review : Ben Kweller (07/04/14) : review by michael
buttonCD review : On My Way (04/04/06) : review by Sugako Suzuki
buttonphoto report (03/04/30 @ Shibuya Club Quattro) : photos by mari


Ben Kweller

http://www.benkweller.com/

check him? -->iTunes



The latest album

Ben Kweler

"Ben Kweller"
(US import / 国内盤 / 国内限定盤 / iTunes)


previous works

"On My Way"(US import / UK import / 国内期間限定盤 / 国内盤)
"Sha Sha"(国内盤 / 国内盤 with bonus trax / UK import / US import)
"Live at Lollapalooza 2006" (iTunes)
"Future Soundtrack for America" (iTunes)
"Tylenol" (iTunes)
"Sundress" (UK import)
"Phone Home " (US import / UK import)
"Commerce, TX " (US import)
"Wasted & Ready " (UK import)

... and more


check the albums?

kemji's works

mail to :

button2007

button幸福の使者ベン・クウェラー : ベン・クウェラー (18th Apr. @ 原宿アストロホール)
button諸行無常のクマさん達 : ヨ・ラ・テンゴ (20th Feb. @ 渋谷オーイースト)

button2006

buttonヴィンテージボイスとグッドメロディを再確認 : ロン・セクスミス (5th Oct. @ 渋谷デュオ)
buttonジェニー・ルイス初来日! : ジェニー・ルイス (1st Aug. @ 渋谷クラブクアトロ)


無断転載を禁じます。The copyright of the article belongs to and the same of the photos belongs to . They may not be reproduced in any form whatsoever.counter
==>Back To The Top Page : JPN / ENG.