button フロッギング・モリー with フラットフット56
@ 渋谷AX (16th April '07)

サービスしすぎが心地いい


Flatfoot 56
 日本における大所帯パンクバンドの勢力地図が塗り替えられるはずだった今回のツアー。しかしながら、ビザの絡みでキャンセルだとかで、ゴゴール・ボーデロ(日本語表記はこれで統一されたっぽい)のお披露目はお預けとなった。チト残念やなぁ、と思いつつも、それは仕方のないこと。悔やんでもしょうがない。

Flatfoot 56 急すぎる代打をかって出たフラットフット56は、あるがままに遊んでいた。彼らは、バグパイプやマンドリンを走らせるけれども、ガヤガヤした酒呑みの音を真似ようなどとは思ってはいないようだ。アイルランドのトラッドも80'sのヒットソングもかまわずOiパンクで突っ切るがむしゃらさに加え、いちいち拳をあげるところや叫びどころを教えてくれる丁寧さも持ち合わせているから、お客さんはまんまとはまる。たたみかける構成にフロアでは円が生まれ、人波の上で泳ぐ者まで現れるのはまぁ当然の流れだろう。ラストを飾った"アメイジング・グレイス"では自然と歌声が湧きおこり、2メートルはあるだろうメンバーの心を打ち崩した。上手いとは言わないが、急遽抜擢されたアーティストがAXというわりかし大きなステージにおいて一体感を手に入れた様たるや、誰にとっても気持ちよく映ったはずだ。


Flogging Molly
 会場が暗転し、いよいよ出囃子かと思いきや、何故か大音量でイギー・ポップ "ラスト・フォー・ライフ"が鳴り響く。走るドラムにけしかけられ、歓声は勢いづく。幕が下ろされていて姿かたちは見えないけれど、期待と高揚、そして指先までいい具合に染みてくるアルコールが、幕の裏側を妄想させていく。幕が開けばまずでかでかと掲げられた『ウィッシン・ア・マイル・オブ・ホーム』のジャケットが目に飛び込み、そこに幻想的な寒色の照明が入りこんで空気を作っていく。目の前でかたちになってゆくバンドを追いかけるうちに、熱気はステージにもすんなり攻め入っていて、照明が生み出す冷たいイメージをたやすく打ち消していく。

Flogging Molly 横並びになったスーツ姿のメンバー越しに顔をのぞかせるジョージが、ミニマムなドラムセットにスティックを打ちおろしていく。酒樽のような体でリズムを刻んで"アナザー・バッグ・オブ・ブリックス"が始まり、ありとあらゆるところから音というオトが落ちてきて、渦巻くフロアをさらにせき立てていく。そこにデイブ・キングの絞り上げる声が刺さり、観客が返す「ヘイヨーぅ!」のコーラスの尻尾はステージに返され、壁、二階席、天井までもがその余韻に舐められては震えていく。低音の突き上げが以前と比べて段違いに強くなり、アコギやフィドル、バンジョーだったりアコーディオンが骨太になったリズムの上で自在に飛び跳ね、アコーディオンをつとめていたマット・ヘンズリー(有名なプロ・スケーターでもある)脱退の影響などどこ吹く何とやら。セットリストにもある通りベスト的な内容で、常に人が湧き、揉まれ流れては渦やスクラムをほうぼうでつくり、サラサラな汗がいたるところで光っている。

Flogging Molly カントリーやフォークのアレンジもさりげなく挟み、ライブという物語に緩急をつけている。"ファクトリー・ガールズ"ではブリジットのヴォーカルとウィッスルがゆるりと流れたり、アンコール一発目となった"ブラック・フライデイ・ルール"では、デイヴひとりの弾き語りから始まる。それをSE代わりに、他のメンバーが頃合いを見計らってぽつりぽつりとステージに姿を現し、やがてくる横揺れから縦ノリへの変換を待つ。周りが走りだすと、デイブはシャツのボタンをすべて外し(しかし一番上だけは外れず)、酒呑みおっちゃんの通称「ビール腹」の丸みが小躍りする様子も確認。腹は出ているけれど、バンドを引き締めているのはその声というから、出すとこ出しつつ締めるところは締めるという内と外の緩急もあってなんともオツな。何回も日本に来ていれば立ち振る舞いは慣れたもの、「ポン酒よかビールに焼酎」と軽く言い放つ若い世代の呑んだくれ共とまったく同じ流れで、ビールやショーチューを呑んでいるデイヴその人が目の前にいる。同じ答えをはじき出していたことによりいっそうの親近感は湧くし、大勢の人を虜にするライブができるのにもかかわらず、ファンサービスにみられた細やかな気配りにも驚く。

Flogging Molly ジョージはスティックだけではあきたらずタムタムのヘッド(上っ面の膜、叩くところ)までバラまき、ベースのネイザンは名残惜しさを体で表現する初来日となーんにも変わらないダイブをしてわやくちゃになったりと、大盤振る舞いが降りかかって笑顔も咲きまくり。絶え間なく押し寄せるファンとの交流を絶やさないところも、フロッギング・モリーのいいところなのだ。

-- setlist --

ANOTHER BAG OF BRICKS / WAILING WALL / LIKES OF YOU AGAIN / SWAGGER / SELFISH MAN / WHISTELES THE WIND / REQUIEM FOR A DYING SONG / DRUNKEN LULLABIES / LAURA / TOBACCO ISLAND / QUEEN ANNE'S REVENGE / FACTORY GIRL / REBELS / DEVIL'S DANCE FLOOR / WORLD ALIVE / SALTY DOG / WHITHIN A MILE / WHATS LEFT OF THE FLAG

BLACK FRIDAY RULE / SEVEN DEADLY SINS
Flogging Molly

report by taiki and photos by sam
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Flogging Molly | Flatfoot 56

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