ピーター・ビョーン・アンド・ジョン @ ココ、ロンドン (15th Apr. '07)
大人しいのは見せかけさ
かねてから北欧は良質な音楽の宝庫だと思っていた。寒さ厳しいこの国からはアバのような人間味溢れるポップスからインフレイムスらのハード・ロック、ヘビィ・メタル勢、先頃レポートしたマンドゥ・ディアオ、はてはザ・カーディガンズなどと、ここで挙げればキリがないほど多岐に渡ったジャンルのアーティスト達がしっかり国際的に活躍している。市場が欧米や日本に劣るとはいえ、控え目ながら質の高い音楽を輩出し続けており、日頃色々な音楽を開拓している人達の中にはこの北欧出身のミュージシャンに目をつけている方も結構多い気がするのだ。ピーター、ビョーン・アンド・ジョンもスウェーデン出身の3ピース・バンドなのだが、カレッジ・ラジオやクラブでヘヴィに流されるヒット曲"ヤング・フォークス"のほのぼのとした口笛から始まり、その他の楽曲も総じて和やかで、ベル・アンド・セバスチャン系統のほんわかサウンドかと思っていた。が、またしてもライヴであら、びっくり。むしろノイジィなギター・ロックの展開で、メンバーも実に元気に陽気にプレイするのである。
シタールの弦で奏でられる"ヤング・フォークス"をSEにメンバーが登場。ぴょんぴょん飛び跳ねたりロックン・ロールお約束のジャンプ奏法してみたり、とそののどかで甘い歌声に似合わぬ激しい動きのピーター。"ビッグ・ブラック・コフィン"では観客が"パーパパーパー"と節の部分で彼と共に歌い、人一番ジャンプして、派手にステップ踏んで、とにかくアクティヴなヴォーカルだ。一方でビョーンとジョンはむしろじっくり、演奏そのものに神経を集中している様子。ルー・リードにインスパイアされたという"アムステルダム"はサスティンの懸かったギターの余韻がどこか気怠げで、ハーモニカの音色とピーター、ビョーン二人のハーモニィが美しい、"パリス"とやや静かな一時をもたらしつつも、ハイライトの"ヤング・フォークス"では時折切なげに眉根を寄せ、感情のこもったプレイをするリズム隊の横では、筒状のマラカスを振りながらお客さんにマイクロフォンを向け口笛を吹かせてみたり、ファンと一体になった盛り上がりを楽しむピーターが笑っている。ダンサブルな"オブジェクツ"、ボンゴ奏者を交えたリズム隊のシンコペイションがダイナミックな"アップ・アゲインスト"と、終盤に向けてさらに勢いが加速したパフォーマンスで、1時間半の楽しい一時があっという間に過ぎた。
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お祭り男のピーターは、アンプリファイアにギターをこすりつけたり、ギターに持ち替え熱唱するビョーンに向かって体当たりしていったり最後までてんやわんやの大はしゃぎで、プレイの最中に見せる爛漫な笑みは観る側をもっと微笑ませた。ドリーミィな反面やや眠たくなるようなCDの曲陣がライブの化学変化で見事にロックな音に変わって聴こえてきたことで、ライヴで化ける文系バンドの面白さを新発見した思いだ。
-- setlist --
Roll The Credits / Far Away, By My Side / See Through / Chills / Start To Melt / Big Black Coffin / Amsterdam / Paris / Young Folks / Objects / Up Against
-- encore --
Poor Cow / Let's Call It Off / Teen Love |
report and photos by kaori
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大人しいのは見せかけさ (07/04/15 @ Koko, London) : review & photos by kaori
若者達の為の音楽 (07/03/07 @ Liquidroom Ebisu) : review by sumire, photos by izumikuma
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2007
金の卵探しはオール・ナイトで : ザ・ナインティーン・ハンドレッズ、ジャック・ペネイト、グッド・シューズ、ビッフィ・クライロ (13th Apr. @ フォーラム、ロンドン)
行儀良く聴きたい夜には : ジョアン・アズ・ポリス・ウーマン (12th Apr. @ スカラ、ロンドン)
眠れぬ森の王子 : パトリック・ウルフ (11th Apr. @ アストリア、ロンドン)
裸の俺様 : レイザーライト (8th Apr. @ アールズ・コート、ロンドン)
耳を肥やせ、インディ・ファンよ : リトル・マン・テイト (5th Apr. @ アストリア、ロンドン)
あと、もう一歩 : マキシモ・パーク (4th Apr. @ HMV、ロンドン)
泣く子も黙るライヴ天国 : フォール・アウト・ボーイ (2nd Apr. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
二枚目の分かれ道 : ザ・レイクス (31st Mar. @ ブリクストン・アカデミー、ロンドン)
ボヘミアン・ラプソディ : ゲット・ケイプ・ウェア・ケイプ・フライ (30th Mar. @ フォーラム、ロンドン)
失われぬ青春ポップス : ザ・シンズ (28th Mar. @ フォーラム、ロンドン)
ジャンル無法地帯警報 : エンター・シカリ (21st Mar. @ HMV、ロンドン)
加速するエモ・ポップ特急 : キッズ・イン・グラス・ハウジーズ (17th Mar. @ ココ、ロンドン)
天才とセンティメンタリズム : ブライト・アイズ (16th Mar. @ ココ、ロンドン)
音楽が音楽であるために : ジ・アワーズ (15th Mar. @ KCL、ロンドン)
踊るインベイダー : ザ・レイクス (12th Mar. @ HMV、ロンドン)
怒れるスコッツ : ビッフィ・クライロ (9th Mar. @ HMV、ロンドン)
フィヨルドの咆哮 : マンドゥ・ディアオ (7th Mar. @ KCL、ロンドン)
お茶の間バンドの平均美学 : カイザー・チーフス (2nd Mar. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
妖女の夢は夜ひらく : ハウリング・ベルズ (25th Feb. @ ココ、ロンドン)
闘う女王様 : ゴシップ (24th Feb. @ アストリア、ロンドン)
密色の調べ : デューク・スペシャル (21st Feb. @ ULU、ロンドン)
天使の微笑み、悪魔の囁き : レジーナ・スペクター (16th Feb. @ アストリア、ロンドン)
CD買うより観においで : ザ・ホロウェイズ (14th Feb. @ ココ、ロンドン)
賢者の演奏 : クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー (13th Feb. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
真冬のカーニヴァル : ラーリキン・ラヴ (12th Feb. @ ココ、ロンドン)
僕らの音がグラマラス : スウィッチーズ (9th Feb. @ ココ、ロンドン)
弾いて、歌って、踊っちゃう : オーケイ・ゴー (4th Feb. @ ココ、ロンドン)
暴れん坊少年、見参 : ジェイミーT (24th Jan. @ アストリア、ロンドン)
大人のメロディ : セブン・フォー・セブンス (23rd Jan. @ ザ・ボーダーライン、ロンドン)
音も人も青春まっただ中 : ザ・ヴュー (22nd Jan. @ HMV、ロンドン)
2006
皇帝、降臨すれども統治せず : カサビアン (19th Dec. @ アールズ・コート、ロンドン)
北の音、弾ける : アイドルワイルド (4th Dec. @ スカラ、ロンドン)
オらがバンド、ザ・ズートンズ! : ザ・ズートンズ (3rd Dec. @ ラウンドハウス、ロンドン)
節目も何も、余裕です : ザ・シャーラタンズ (16th Nov. @ HMV、ロンドン)
上空戦線異状なし : エアー・トラフィック (31st Oct @ 100クラブ、ロンドン)
聡明な音楽 : ザ・ディアーズ(26th Oct @ ココ、ロンドン)
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