ジ・インヴェンション @ 下北沢モザイク (14th April '07)
ヴォルテージが上がり切った後に残るもの
日本での初ステージはザ・クーパー・テンプル・クルーズの前座だったので、この日を待ち望んでいたファンも少なくはなかっただろう。それに加え、彼等の事を知らないで見たら、一気に虜になってこの日も足を運んだファンもいただろうし、その割合はどうであれ、レーベル側の善意で彼等のライブが無料で見る事が出来るのは何よりものファンサービスに違いない。普段はそれこそ外国のバンドが演奏する事が少ない下北沢のモザイクという箱で、しかも正午スタートという何とも不思議な企画が自分にはとても新鮮だった。この日は4月にも関わらず初夏のように太陽が照りつけじっとりと暑く、こんなお天道様が登っている時間にライブを見るという事自体にワクワクしていた。メジャーレーベルの様に宣伝の為に莫大な費用を注ぎ込む事が出来ないインディーレーベルからリリースされた彼等のデビューアルバムは口コミやマイスペースなどを通して段々と人気を獲得し、来日を果たすまでの道のりは決して平坦ではなかったはず。そういった意味でもこの日のライブは期待せずにはいられなかった。
|
ただでさえ4人も乗れば一杯一杯のステージ。クーパーの前座の時に気が付いたのだがヴォーカルのアンソニーが歌いながら目一杯身体をロブの叩き出すビートに合わせて動かすので少々窮屈な感じに見えたが、もしかしたら彼等にはこっちの方がしっくりきていたのかもしれない。それこそ彼等の活動の拠点であるリーズという街には小さなクラブやライブハウスが無数に存在し、彼等はそこで下積みをしてバンドの結束力を高めていったのだから、寧ろメンバー全員の息ががっしりと合わさっていた。
とにかくこのバンドの凄い所は息切れする事無くひたすら観客を踊らせ続ける事で、ステージを去る最後の最後までストイックに自分達の音を観客に打つけてくる。ロックでこんなにも踊れるものなのか?と疑問に感じる余裕が無い程、次から次へとグルーブを紡ぎだしていくのだ。ザ・ミュージックのライブを初めて見た時も、狂った様にグルーブに身を委ね身体を解放する事が快感だったが、それと同じ、寧ろそれ以上のアドレナリンが身体の中から洪水のように溢れ出るのがとても心地が良かった。演奏に関してはまだまだ課題が残っているが、これが完成させられた時の事を想像するのも楽しみの一つである。
|
前座の時にはやらなかった"ライツ・アウト"や"アイント・ゴット・ア・ライト"なども披露してくれたのでこの日のセットリストは彼等のファンにとってはほぼ100点満点に近い内容だった。自分達の音楽を熱心に聴いてくれているファンに対して素直に真正面から向き合って、ファンの気持ちに応えようとする姿は、彼等の音に対する純粋な姿勢と重なって見えた。きっとこれからも彼等は彼等の音楽を好きだと言ってくれるファンがいる限りグルーブを生み出していくだろう。踊り過ぎて筋肉痛になったけれど、この痛みは彼等をこの目で見たと言う勲章だ。
-- setlist --
5-a-day / Bloodshoot / The Letter / Up In Smoke / Lights Out / Motherfucker Said / Still Alive / Ain't Got A Right / Lock The Door / Fightin' Over Nothin' / B+W Bullets / Sandiacre / Voltage |
report by sumire and photos by izumikuma
|
ヴォルテージが上がり切った後に残るもの (04/04/14 @ Shimokitazawa Mosaic) : review by sumire, photos by izumikuma
photo report (04/04/14 @ Shimokitazawa Mosaic) : photos by izumikuma
グルーブに埋もれたい (04/04/12 @ Liquidroom Ebisu) : review by sumire, photos by izumikuma
photo report (04/04/12 @ Liquidroom Ebisu) : photos by izumikuma
|
|
2007
今もなお耳に残るノイズ : ザ・クーパー・テンプル・クロース (12th Apr.. @ リキッドルーム恵比寿)
グルーブに埋もれたい : ジ・インヴェンション (12th Apr.. @ リキッドルーム恵比寿)
絶望的に世界が美しい : ラーリキン・ラヴ (28th Mar. @ 代官山ユニット)
若者達の為の音楽 : ピーター、ビヨーン・アンド・ジョン (7th Mar. @ リキッドルーム恵比寿)
英国ロックの下克上 : BBBセッションズ feat. ざ・KBC & ダスティンズ・バー・ミッツヴァー (22nd Jan. @ 渋谷クラブクアトロ )
2006
腹の中から黒い音 : エドガー・"ジョーンズ"・ジョーンズ & ザ・ジョーンジーズ (17th Sept. @ 渋谷クラブクアトロ )
まさに世界の中心で愛を叫ぶ : コールドプレイ (18th Jui. @ 日本武道館 )
その赤い顔に秘められた情熱 : クルーキッド・フィンガーズ (5th Jun @ 渋谷オーネスト )
もう孤独じゃない長距離ランナー : ベル・アンド・セバスチャン (4th Jun @ 品川プリンス・ステラボール )
今日の主役はそこのあなた : キングス・オブ・コンビニエンス (12th Mar. @ 渋谷クラブクアトロ)
フロアを燃やせ! : フランツ・フェルディナンド (10th Feb. @ 日本武道館)
|
|