ザ・クーパー・テンプル・クロース @ リキッドルーム恵比寿 (12th April '07)
- 今もなお耳に残るノイズ -
実のところ彼等の音に100%傾倒している訳でもなく、彼等のライブをしっかり通して見るのは初来日以来。そんな自分がライブレポを書くなんて熱狂的な彼等のファンから野次を入れられそうだが、どうしても書きたいから書かせていただきたい。
デビュー当時、彼等は流れ出すノイズと今にも爆発しそうなギター、そして社会を斜めから見る様な歌詞の曲の印象が強く、若者独特の怒りのエネルギーを音楽にぶつける姿は疾走感に溢れているが、同時に不安定な部分が大きいと感じていた。それでもやはりアルバムを聴くとイギリス独特のメロディーの美しさにハッとさせられる。3枚のアルバムを残し、その間にはイギリスのロックシーンというのは二転、三転し、やれリバイバルだ。テムズビートだ。なんてメディアで騒がれているにも関わらず彼等は我が道を模索しながらも確実に進んできた。彼等を誰かと比べようにもどこにもあまりに孤高の存在である為にそれはとても難しい。腕試し的な軽い気持ちで去年の苗場で"ダメージ"を演奏している彼等を見て、もしかしたら自分は凄い作品を見落としてきたのではないか?そんな不安に駆られて、アルバム、"メイク・ディス・ユア・オウン"を早急に手に入れた。そこには自分が先入観で勝手に作り上げていたクーパーのイメージを良い意味で裏切って、数段に成長した彼等の姿がきっちりと明示されていた。そう言った意味でしっかりと彼等を再評価するならこの目でちゃんと確かめるべきだと感じていた。
一歩転べばヘビーロックとも捉える事が出来るダイナミックなアレンジとピコピコした電子音が不協和音を生み出し、そわそわして落ち着く事が出来ない。ピンと張られた一本の糸が今にも千切れそうな緊張感に終始包まれ、ストイックに自分達の音を伝え続けようという姿はデビュー当時、イギリスの音楽雑誌の最大手NMEの表紙を飾りハイプの様に扱われていた頃を払拭してくれた。"フィルム・メイカー"や"フー・ニーズ・エネミー"などの初期の曲は勿論の楽しめたが、完璧に見落としていた彼等のセカンドアルバム"キック・アップ・ザ・ファイア・アンド・レット・ザ・フレイムズ・ブレイク・ルース"からの"セイム・ミステイク"のあまりにも美し過ぎる旋律は背筋が凍る様でもあった。メンバー五人が代わる代わる楽器とヴォーカルのパートを渡っていくのが新鮮で、最後まで息を付く事が出来ないステージが終るのがとても惜しい気持ちになった。
相反するふたつの事象が螺旋を画くように絡み合うところが彼等の魅力で、間の取り方は天才的である。心地良い緊張感。そして見終わった後の満足度はどのバンドも寄せ付けない。"レッツ・キル・ミュージック"と挑戦的に音に向かっていた青年達は音楽の酸いも甘いも知った上でスピードを上げ真っ正面から音楽へ突っ込みガラスの様に砕け散った。
-- setlist --
Head / Dogs / Waiting Game / Damage / Film Maker / New Toys / Connect / Once More / Music Box / Homo Sapiens / Promises / All I See Is You / Same Mistakes / Who Needs Enemies / Blind Pilots / Written Apologies / Let's Kill Music / Panzer Attack |
photos by izumikuma
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今もなお耳に残るノイズ (07/04/12 @ Liquidroom Ebisu) : review by sumire, photos by izumikuma
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2007
絶望的に世界が美しい : ラーリキン・ラヴ (28th Mar. @ 代官山ユニット)
若者達の為の音楽 : ピーター、ビヨーン・アンド・ジョン (7th Mar. @ リキッドルーム恵比寿)
英国ロックの下克上 : BBBセッションズ feat. ざ・KBC & ダスティンズ・バー・ミッツヴァー (22nd Jan. @ 渋谷クラブクアトロ )
2006
腹の中から黒い音 : エドガー・"ジョーンズ"・ジョーンズ & ザ・ジョーンジーズ (17th Sept. @ 渋谷クラブクアトロ )
まさに世界の中心で愛を叫ぶ : コールドプレイ (18th Jui. @ 日本武道館 )
その赤い顔に秘められた情熱 : クルーキッド・フィンガーズ (5th Jun @ 渋谷オーネスト )
もう孤独じゃない長距離ランナー : ベル・アンド・セバスチャン (4th Jun @ 品川プリンス・ステラボール )
今日の主役はそこのあなた : キングス・オブ・コンビニエンス (12th Mar. @ 渋谷クラブクアトロ)
フロアを燃やせ! : フランツ・フェルディナンド (10th Feb. @ 日本武道館)
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