Smashing Mag / What's Love? (ワッツ・ラヴ？) @ Shimokitazawa 251 (10th Apr. '07)

　ワッツ・ラヴ？もこれで結成10周年を迎えたんだそうな。それを記念してライヴが開かれたのは4月10日の火曜日。彼等が好きな「歌謡曲」に引っかけているんだそうだ。ちなみに、和田アキ子の誕生日もこの日らしく、背後に飾られたイラストにはそれらしき人物の踊って歌っている姿が描かれていた。

　彼等と最初に遭遇したのは2000年前後で、きっかけは自分が制作に関わったイギリスのバンド、ジャズ・ジャマイカの来日公演があったときだったと思えている。このライヴに関して「退屈だ」と評したことに反論したのがドラムスの菅野君。それから交流が始まったんだが、その頃に受け取ったシングルCDに収められていた「みちのく一人旅」のレゲエ・ヴァージョンにぶっ飛ばされることになる。ディープな演歌をこれまたディープなレゲエ、オーガスタス・パブロを想起させるルーツ・レゲエのスタイルでカバーするというもので、これほどまでハードコアで日本的なレゲエは、あれ以来耳にしたことはない。今もって、自分にとって日本レゲエ史上に残る傑作中の傑作がこれだと思っているし、少なくとも自分の仲間の誰もがこの完成度にシャッポを脱いでいるのだ。

　とはいっても、彼等自身があれをそれほどは気に入ってはないらしく、これまでライヴでこの曲を聴いたのは一度か二度だった。おそらく、そこに若干の失望感を持っていたんだと思うが、良いメロディに良い言葉を持つという「歌」の原則に忠実な彼等の作品の数々は、どれも甲乙つけがたい傑作そろいだと思っている。

　その礎を作った3人のメンバーがひさびさに勢揃いしたのがこの日。歴代のベース奏者が、それぞれユニークなスタイルで演奏してくれるんだが、申し訳ないが、当時からのワッツを知るものにとって、この3人こそがワッツであったと思う。とはいっても、それはすでに戻ることのできない昔のこと。これから新しいベース奏者と共に、彼等がどんな「歌」を作ってくれるのか、期待に胸をふくらませて待っていようと思う。「歌」に対する思い入れたっぷりなのがワッツ。きっと誰もが口ずさめる、それでいてユニークで、同時に、ほろりと泣かせて、希望も少し抱くことができる「歌」を作ってくれるに違いない。