マキシモ・パーク @ HMV、ロンドン (4th Apr. '07)
あと、もう一歩
先週のザ・レイクスのレポートで触れた同期インディのマキシモ・パーク。本日は、国内で発売となったセカンド・アルバム、"アワ・アースリィ・プレジャーズ"を記念してのインストア・ライブである。先行シングルの"アワ・ヴェロシティ"を聴いた限りでは、従来のピッピコ・シンセにギター主導のサウンドが健在で、中盤に向けてどんどん暴発してゆく楽曲のエッジは失われていない模様。昨年のライヴ初体験でどったまげた、数いるUKバンドの中でも群を抜くそのパフォーマンスの素晴らしさは今でも鮮明に思い出される。人気が出てもふんぞり返る事無く、待ち詫びるファンの為にフリー・ライヴを披露してくれる姿勢には、山田君じゃなくても座布団三枚はあげたい。
定刻通りに現われた5人のメンバー。フロントマン、ポウルはデビュー時の無理矢理分け目ポマード・ヘアの面影はどこへやら、すっかり伸びた巻き毛がツバ広の帽子から覗いている。"ガールズ・フー・プレイズ・ギター"から幕開けた彼らは、本番のライヴさながらに動きも激しく、ポウルのがっつり挑んで来るような歌い回しに、リフを掻き鳴らし宙を仰ぐメガネ男ダンカン、後ろでは蝋人形の様に真っ青な様相で正確にスネアを叩き込むトム、と個々のメンバーの表現、表情はばらばらながら、演奏には一つの核から溢れ出す結束力があり、やはりポウルの突出した存在感がバンド・サウンドを牽引している。"ブックス・フロム・ボックシィズ"、ノーズブリード"と新曲も交えたが、基本のサウンドはファーストの雰囲気に変わるところなく、"グラフィティ"、"アプライ・サム・プレッシャー”という旧曲での盛り上がりの方が大きかったのは、観客がまだ新曲に馴染みが薄い故の反応だろうか。否、彼らもまたドラスティックなサウンドの発展に至らず、ぐぐっと引き寄せられる様なこの一曲というものを生み出していない感が強い。
これは本当に勿体無い。何故なら、CDでは強烈なインパクトを残さない彼らの楽曲は、ひとたびライヴで弾き出されると、あれ、これってこんなに良い曲だったっけと聴き手に思わせる凄まじいパワーと吸引力があるから。勿論、流し聴きしたり部屋の中でヴォリュームを上げて楽しむ分にはセンスの高いメロディで、人それぞれ色々な楽しみ方がある。けれど、楽曲を耳にして強烈に心が引かれなければ、いくら英国のギグはチケットが安いとはいえお金を払って観る気にはそうならない。少なくともマキシモ・パークはギグ大好き人間だけが楽しむ独り占め気分のバンドじゃない。観たい側の気持ちをワクワクさせるキラー・チューンをもう一発、作っておくれよ、マキシモ。
-- setlist --
Girls Who Play Guitars / Graffiti / Our Velocity / Russian Literature / Going Missing / Books From Boxes / By The Monument / Nosebleed / Apply Some Pressure
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report by kaori and photos by Darjeeling
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mag files : Maximo Park
あと、もう一歩 (07/04/04 @ HMV, London) : review by kaori, photos by Darjeeling
このライヴを観てから死ね (06/10/06 @ Brixton Academy,London) : review by kaori
どの瞬間もマキシモ・パーク (05/10/08 @ Osaka Mother Hall) : review by 石橋栄, photos by izumikuma
photo report (05/10/06 @ Liquidroom Ebisu) : photos by izumikuma
photo report (05/10/05 @ Liquidroom Ebisu) : photos by keco
photo report (05/03/25 @ Daikanyama UNIT) : photos by izumikuma
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2007
泣く子も黙るライヴ天国 : フォール・アウト・ボーイ (2nd Apr. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
二枚目の分かれ道 : ザ・レイクス (31st Mar. @ ブリクストン・アカデミー、ロンドン)
ボヘミアン・ラプソディ : ゲット・ケイプ・ウェア・ケイプ・フライ (30th Mar. @ フォーラム、ロンドン)
失われぬ青春ポップス : ザ・シンズ (28th Mar. @ フォーラム、ロンドン)
ジャンル無法地帯警報 : エンター・シカリ (21st Mar. @ HMV、ロンドン)
加速するエモ・ポップ特急 : キッズ・イン・グラス・ハウジーズ (17th Mar. @ ココ、ロンドン)
天才とセンティメンタリズム : ブライト・アイズ (16th Mar. @ ココ、ロンドン)
音楽が音楽であるために : ジ・アワーズ (15th Mar. @ KCL、ロンドン)
踊るインベイダー : ザ・レイクス (12th Mar. @ HMV、ロンドン)
怒れるスコッツ : ビッフィ・クライロ (9th Mar. @ HMV、ロンドン)
フィヨルドの咆哮 : マンドゥ・ディアオ (7th Mar. @ KCL、ロンドン)
お茶の間バンドの平均美学 : カイザー・チーフス (2nd Mar. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
妖女の夢は夜ひらく : ハウリング・ベルズ (25th Feb. @ ココ、ロンドン)
闘う女王様 : ゴシップ (24th Feb. @ アストリア、ロンドン)
密色の調べ : デューク・スペシャル (21st Feb. @ ULU、ロンドン)
天使の微笑み、悪魔の囁き : レジーナ・スペクター (16th Feb. @ アストリア、ロンドン)
CD買うより観においで : ザ・ホロウェイズ (14th Feb. @ ココ、ロンドン)
賢者の演奏 : クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー (13th Feb. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
真冬のカーニヴァル : ラーリキン・ラヴ (12th Feb. @ ココ、ロンドン)
僕らの音がグラマラス : スウィッチーズ (9th Feb. @ ココ、ロンドン)
弾いて、歌って、踊っちゃう : オーケイ・ゴー (4th Feb. @ ココ、ロンドン)
暴れん坊少年、見参 : ジェイミーT (24th Jan. @ アストリア、ロンドン)
大人のメロディ : セブン・フォー・セブンス (23rd Jan. @ ザ・ボーダーライン、ロンドン)
音も人も青春まっただ中 : ザ・ヴュー (22nd Jan. @ HMV、ロンドン)
2006
皇帝、降臨すれども統治せず : カサビアン (19th Dec. @ アールズ・コート、ロンドン)
北の音、弾ける : アイドルワイルド (4th Dec. @ スカラ、ロンドン)
オらがバンド、ザ・ズートンズ! : ザ・ズートンズ (3rd Dec. @ ラウンドハウス、ロンドン)
節目も何も、余裕です : ザ・シャーラタンズ (16th Nov. @ HMV、ロンドン)
上空戦線異状なし : エアー・トラフィック (31st Oct @ 100クラブ、ロンドン)
聡明な音楽 : ザ・ディアーズ(26th Oct @ ココ、ロンドン)
トレ・ビヤン : フィーニックス(21st Oct @ アストリア、ロンドン)
次期王者、決定 : ザ・クークス(19th Oct @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
ラップン・ロール : ジェイミーT(19th Oct @ HMV、ロンドン)
打ち込んで、ぶちかませ : ザ・クーパー・テンプル・クロース(18th Oct @ ココ、ロンドン)
メルヘンなのにやかましや : エレクトリック・ソフト・パレード(12th Oct @ ウォーター・ラッツ、ロンドン)
このライヴを観てから死ね : マキシモ・パーク(6th Oct @ ブリクストン・アカデミー、ロンドン)
日曜の夜はライアンと : ライアン・アダケス&ザ・カーディナルズ(1st Oct @ シェパーズ・ブッシュ・エンパイヤ、ロンドン)
王子から体育会系へ : ディレイズ(21th Sep @ ザ・フェズ、レディング)
勢いあれど : アミューズメント・パークス・オン・ファイア(11th Sep @ ルミナール、ロンドン)
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