buttonザ・レイクス
@ ブリクストン・アカデミー、ロンドン (31st Mar. '07)

二枚目の分かれ道


The Rakes
 今年に入ってブロック・パーティ、マキシモ・パークといった、2005年にデビュー・アルバムで成功したバンドの新作リリースが相次いでいる。ザ・レイクスもその内の一つで、彼らに共通する事はデビュー作の製作を手掛けたのが売れっ子プロデューサーのポウル・エプワースであり、二作目に関してはそれぞれが彼の手を離れ、各自の模索した新たな方向に歩みを進めている事だ。ザ・レイクスのファースト・アルバムは、普通の社会に生き九時五時の定職に就く若者が、退屈な日常と束の間の慰みの週末の狭間で感じる無情さや、刹那的な愉楽について歌ったパンク・ロックであった。新作の"テン・ニュー・メッセージズ"には、初期にあまたのバンドが撒き散らしていた画一的なパンクのエッジと焦燥感先行型のサウンドが薄まり、ソング・ライティングの向上と、シンプルな編成による聴き易いオルタナティヴ・ロックへと表現の形が変わっているのに気づく。

The Rakes  ヨーデルぎりぎりのところでファルセットを効かせ観客を煽るヴォーカルのアランは、一発目の"テラー!"から名物ロボット・ダンスでカクカクと独特の動きを見せ、黙々と、しかし確実にビートを刻むベースも、タイトなドラミングもミニマルな彼らのサウンドの骨組みをしっかり支えている。ダンス・フロアを盛り上げそうな"ウィー・ダンストゥ・トゥギャザー"やロンドン・テロにインスパイアされた一曲であると言う"サスピシャス・アイズ"の粋なリズム・ワークに覚えやすいメロディからは、ともすれば誰もが同じ様にしか聴こえないポスト・パンク・バンド達のメリハリをわざと外した曲展開という、ザ・レイクスも例外ではなかった大衆に背を向けた閉鎖的な態度を脱皮し、もっとより多くの人々に共鳴してもらえる様な音作りを目指そうという姿勢が感じられた。マシュウの鋭敏で乾燥した響きがクールなギター・リフも体を弾ませる華やぎがある。

 そういう意味ではラップ・アーティストをフィーチャーした"オウスランド・ミッション"や、アランがギターを弾いた"トラブル"という新マテリアルに対する観客の反応がもっと大きくても良いのに、実際は旧作の"ワーク・パブ・クラブ・スリープ"、や"ストラスブール"、また、これはファンに人気が高い曲であるから当たり前かも知れないが"22グランド・ジョブ"での盛り上がりの方が圧倒的で、せっかくのニュー・アルバムを引っ提げてのツアーの意義が何処にあるのか疑問も残った。決して絶望的に終わらないところのジョイ・ディヴィジョンのメランコリィとザ・スペシャルズのカラッとしたパンク精神が混ざり合ったファーストの世界も良いが、あくまでオリジナルはオリジナル。顕著な進化へと至らなかった新作ゆえに、結果オーディエンスを自分達なりの新境地へと引っ張り込めなかった弱さがあるのじゃないか。失敗してもいいからガツンと一発大きな革命に出て欲しい。それで失う何かがあるほどまだ彼らの根城は安泰していない。


-- setlist --

Terror / Retreat / We Danced Together / All Too Human / Trouble / Suspicious Eyes / When Tom Cruise Cries / Binary Love / 22 Grand Job / Ausland Mission / Strasbourg / encore / Little Superstitions / Work, Pub, Club, Sleep / Open Book / World Was A Mess, But His Hair Was Perfect
report by kaori and photos by Darjeeling

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"All Too Human" (UK import / The Rakes - All Too Human / Watford - Single)
"All Too Human" (UK import)
"22 Grand Job" (UK import - black / UK import - red / The Rakes - 22 Grand Job - Single)
"Retreat" (US import / 国内盤 / The Rakes - Retreat - EP)
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