buttonザ・スラッカーズ with オイ・スカル・メイツ & スパイク
@ 新宿ロフト (21st Mar '07)

- 自由と笑顔に包まれた夜 -


The Slackers
 東京スカパラダイスオーケストラが何度も海外でのツアーを成功させたのは、彼らの音が明快に硬質な2ビートのスカというコンセプトを現地まで持ち込んだからだと思う。逆説的に考えると、スカのリズムというのは万国共通、世界に通じるビートということだ。確かにスカは気持ちがいい。黙っていても自然に体が動き出してしまうあのビート。曲を知ってるとか知らないとか、そんな不自由さに全くとらわれることのなく生まれてくる楽しみ。それを快楽主義などと言う輩もいるかもしれないが、いやいやこの開放感、全く持って素晴しい自由を感じさせてくれる音楽である。それは正に酔うという表現が相応しいと思うし、赤の他人と肩組んじゃったて平気なぐらいピースフルな空気を生み出す音楽。

Oi-Skallmates そんな、スカを10年以上もの間鳴らしてきたバンド、ザ・スラッカーズ。91年結成した彼らの最初の作品『ベター・レイト・ザン・ネバー』のリリースが96年。今回の来日はそんな彼らのレコードリリース10周年を記念したベスト・アルバム『ビッグ・チューンズ』のリリースパーティーだ。前日に下北沢440にてボーカルを務めるビックのソロライブがあったものの、スラッカーズとしてはこの日がツアー初日。全国6カ所のライブハウスを巡る旅の始まりとなった新宿ロフト。期待に胸を高鳴らせるルード・ボーイズ&ガールズ達で会場は埋め尽くされていた。

 まず登場したのがオイスカルメイツ。オープニングのSEで掛け声があがるほどの盛り上がり。フロアはのっけから白熱したダンスバトルが沸き起こる。みんな好き勝手に体を動かす。その辺はカッコいいとか悪いとかそういう問題じゃないのだ。途中、ヒューイ・ピアノ・スミスのカバーやら、ビックが好きだと公言しているブルーハーツの"ラブレター"を歌ったりとエンタテイナーぶりを存分に発揮していた。ファンとの息の合い方もぴったり。ボーカルのワタルの誕生日を祝ってフロアでハッピーバースデーの合唱が起こったりと、ファンとの強い絆を感じるライブバンドとしての充実振りを物語るパフォーマンスを披露してくれた。

The Slackers
 ネクストバッターサークルに立ったのはスパイク。エンタテイメント性としてはさすがにオイスカには敵わない。それでもブルジーでとっぽい男達の音にフロアは徐々に盛り上がりをみせてくる。その音に込められた骨の太さがそうさせたのだろう。一本気と言うのが相応しい音を残してステージを去る姿には清々しさをはっきりと感じだ。それって大事なことだよなとふと思った。

The Slackers いよいよ最後のオオトリ。フロアにもたくさんのお客さんがなだれこむ。登場したのはのはもちろんニューヨークからやってきた6人組、スラッカーズ。とにかく最初から最後までフロアはエアロビクスダンスの教室かと思わせるほどみんな有酸素運動を続ける。終わった時はTシャツが汗でびっしょり。2ビートが基調のオイスカなんかに比べて、オーセンティック寄りなスカを聞かせてるはずなのにフロアを比べ物にならないぐらい熱く盛り上げる。ライブハウスで鍛え上げられてきた彼らの出す音、出す音は正に筋金入り。それにつられて体が動く、動く。ブルース、ファンクと音を作り出す要素は多いのだけど、全くとっ散らかった印象を受けないのもそのせいだろう。

 バンド全体が作り出すグルーブ感が会場を完全に覆い尽くしていた。そこから生まれてくるピースフル極まりない雰囲気。こんなのちょっとやそっとバンドかじったぐらいじゃ出てこないよ。彼らの音に対する愛情が、そしてフロアで踊るお客さんへの愛情が真直ぐに聞こえてくる。正直なことを告白すると涙さえ流れるぐらいその様は感動的な光景であった。ブルーハーツのカバーも含め色んな愛情がビリビリと伝わる素晴しいステージだった。

The Slackers あそこで一緒に踊った人達は自分にとっては只の他人だったのかもしれない。でも、そんな壁をぶち壊す素晴しい音楽と瞬間が溢れていた。冒頭にスカという音楽は自由を感じさせてくれる音楽だということを書いたが、最後に一つだけ付け加えるとするならば、自由の他にフロアには飛び切りの笑顔が常に溢れていた。それこそがこの日のステージを雄弁に物語る事実に違いない。
The Slackers

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