開演時間ちょうどの19時。オリエンタルなSEに合わせてメンバー一同ステージに現れ、"サーカスが来た"からライブはスタートした。嬉しいことに会場は超満員。夫婦、家族連れなど、お客さんの年齢層も様々で、サービスのドリンクとスイーツを片手に、これから始まる今まで聴いた事のない音楽にやや緊張しているように見えた。その緊張がと解きほぐされたのは、ライブが始まってから4曲目あたりで、"夏祭り鮮やかに"の演奏中に、ステージ袖からふわふわとシャボン玉が飛んできたのがきっかけで、会場全体の空気がフッと柔らかくなり、中山うりの世界観が一気に広まっていったように感じられた。
「次の歌は、夜とかに聴くと本当に心地いいんです。」という短い説明の後に始まったのが、"月とラクダの夢を見た"とあがた森魚のカバー"夜のレクエルド"。ミラーボールがゆっくりと回り出し、テーブルの上に置かれたキャンドルの揺れも手伝って、ノスタルジックな世界へ私たちを誘ってくれる。
私が中山うりの歌を初めて聞いたのは、フジロック・フェステバルのステージだった。それ以来ずっと、自然に合うゆったりとした歌のイメージを持っていたが、そのイメージはライブを進めていくうちに徐々に変化をしていった。彼女の歌には、"サーカスが来た"を始め、"ばいばいどくおぶざべい"など、港町を題材にした歌がいくつもある。特に"マドロス横丁"なんかは、この場所にあまりにぴったりで、歌いだしの「潮風冷たい夜の酒場」というのは、金森倉庫のことなんじゃないかと思ってしまうし、海沿いを歩いたら本当にマドロス横丁の看板が実在して、船出前の男たちが盛り上がっている光景が見えてくるようだ。中山うりの歌と函館の町が美しく混ざりあい、空想と現実の合間を歌っているような感覚に陥ってしまう。
後半はお客さんも大分感じを掴んだようで、手拍子もついて盛り上がりをみせていた。(余談だが、フッと後ろを振り返ると、スタッフもお客さんに負けないくらい大きな手拍子をしていたので、今夜のライブが素晴らしくて大成功だったことが本当に嬉しかったのだろう)たっぷり2時間を超えるライブは、私たちをうっとり夢心地な気分にさせてくれた。この様子は、後日地元のテレビ局でもオンエアされるらしいので、羨ましい限りだ。函館に彼女の音楽が浸透する日もそう遠くはないだろう。さらに嬉しいことに、5月23日に待望のリリースが決定したらしい。タイトルは"ドレミファ"。なんと、函館ライブの前日に完成したばかりアルバムだが、ここ北海道にも遅い桜のシーズンがやってくるころ、今夜聴いた歌を含め新しい中山うりの音が聴けるというのだから楽しみだ。既にiTunes Storeで音源を入手している人も楽しみにしていて欲しい。
*次回のライブは3月27日、渋谷の道玄坂にあるシブヤ・デュオにて。詳細はオフィシャルサイトでご確認ください。
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