カイザー・チーフス @ 渋谷クラブクアトロ (15th Mar '07)
お熱いのがお好きなら
会場に充満する熱気、歓声と拍手が終始鳴り止まず、バンドの演奏に大合唱で応える。バンドとお客さんたちの幸福な光景がそこで繰り広げられていた。カイザー・チーフスは今年のフジロックに出ることが決定しているけど、このバンドなら初めての人でもその魅力に取り込めるのではないか。ステージはどこだか分らないけど、場所はどこでも、時間帯はいつでも、フジロックで楽しい記憶を刻み込めると思う。
渋谷クラブクアトロはソールドアウトの満員。外国人と女の子の比率が高い。じっくりとライヴを観るというよりは飲んで騒ぐという雰囲気があって、バンドの熱演もあって、ライヴハウスとカイザー・チーフスの相性のよさを十分に感じさせた。欲をいえば、もうちょっとバーカウンターが大きかったら、イギリスのパブで音楽を楽しんでいる感じが再現できたのではないかと思った。
さて、この日のライヴをバンドを知らない人にどのように伝えたらよいのか、ちょっと迷った。おれの表現力のなさもあるだろうけど、言葉で形容するのは難しい。なぜか。カイザー・チーフスは、演奏も熱いし、お客さんの大合唱を誘うような曲のわかりやすさもあるし、ヴォーカルのリッキー・ウィルソンはお客さんを盛り上げようと一生懸命だ。実際にライヴを体験すると、お客さんとの一体感をもたらす空気を作り上げるバンドというのがわかる。だけど、パンクとかハードロックとかロックンロールというカテゴリーで語るに難しいほど、あまりにストレートすぎる、王道のロックであって、新しモノが好みそうな、ダンサブルとか電子機材を使っているとかテクニックがめちゃくちゃあるとか、アピール要素に乏しいのだ。歌っている内容も、どうやら日常のことを歌っているようである。しかも、過去のバンドの何かにすごい似ているわけでもない。
シンプルでストレートなロック。とりあえず文字情報で一見さんが飛びつくことを拒否しているかのような堂々たるものである。だから、ライヴ会場に足を運んだ人は熱狂的になる。いえるのは、暑苦しいほど熱いロックが嫌いでないなら、フジロックがいい機会になると思うので、この際観て欲しいということだ。正統的なUKのロックが好きで、ライヴの現場の空気を十分に堪能したい人にぜひお勧めのバンドなのだ。
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report by nob and photos by izumikuma
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