ザ・レイクス @ HMV、ロンドン (12th Mar. '07)
踊るインベイダー
ノスタルジックで鬱屈とした情景をベースとしながら、そのスタイリッシュなギター・ロックとメランコリィなメロディがいかにもな英国のインディ・バンド、ザ・レイクス。あえて親しみ易さやキャッチィ路線と画した我が道な姿勢だけれども、なかなかどうして本国では結構な人気だ。
のそのそとステージに現われたメンバー。サポートのキーボーディストを引き連れてのインストア・イヴェントだが、パッと見最も真面目面で気難しそうなフロントマンのアランは満面の笑顔で集まったファンに挨拶。ニュー・シングルの"ウィー・ダンスト・トゥギャザー"ではA-haばりの8ビートに合わせ両手をくねくね、軟体動物よろしく風変わりな踊りを交え、目を見開いてみたり宙を仰いだりと実に動きの激しいヴォーカルである。ポーカー・フェイスで淡々とベースを弾くジェイミィが一番大人しかったが、家庭教師みたいな風貌のマシュウ、ドラムのラッセ共に力の入った演奏っぷりで、新アルバムの楽曲が前作を遥かに凌ぐクオリティであろうことを感じさせた。メロディがより耳を捉え、バンドのアンサンブルも深みを増している"ウェン・トム・クルーズ・クライズ"。これはアランの作詞の才とユーモアが光る一曲だ。一本調子になりがちな所謂インディ・ギター・ロックを脱却した彼らの次の一手は続く"リトル・スーパースティションズ"、"サスピシャス・アイズ"という新作からも十分に伝わって来た。
労働者階級に生きる普通の人々に注がれた視線から紡がれる詩、パンクとオルタナティヴの領域をオリジナルのセンスで行き来する柔軟性。今月19日に英国にて発売予定のセカンド・アルバムはアークティック・モンキーズ、カサビアンらを手がけたジム・アビスによるプロデュース。飲んだくれの小洒落た男達が浮かれ騒ぐ春はもうそこまで来ている。
-- setlist --
Terror! / Retreat / We Danced Together / When Tom Cruise Cries / Little Superstitions / 22 Grand Job / Suspicious Eyes / Strasbourg
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report and photos by kaori
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