マンドゥ・ディアオ @ KCL、ロンドン (7th Mar. '07)
フィヨルドの咆哮
ザ・ビートルズ、キンクスといった60年代の王道ロック・サウンドが滲み出た音と、ガレージ系バンド達に共通する愛想無しでクールな佇まい。限りなくブリティッシュに近い楽曲センスを持つこの北欧、スウェーデン出身のマンドゥ・ディアオは2002年の本国でのメジャー・デビュー以来、流動の激しい世界のミュージック・シーンにおいて独自のペースを守りながら今日もしっかり地に根を下ろして息づいている。
母国、及び日本で火が付いたデビュー・アルバムから最新作の『オード・トゥ・オクラシー』までバランス良く組まれた今夜のセットだが、会場にひしめく若者達の度肝を抜かせたのはまず一発目の"ウェルカム・ホーム・ルク・ロバタイユ"。耳をつんざく様なツイン・ヴォーカル、ビヨルンとグスタフのギターの音色が鋭利に響き渡り、がっしりとしたリズム隊がそれに追いつけ、追い越せとばかりに太い音で応戦。けれどもただ闇雲に爆音を打ち鳴らし観客の興奮を煽っているというのでは無く、活きの良いロックのリズムに自然と体が反応する、まさにライヴの醍醐味が生きた情熱いっぱい、漲るエナジー炸裂な演奏なのだ。ガレージのテイストがふんだんに盛り込まれた"アムステルダム"、"モータウン"、の肩を揺るがすビートルズ剥き出しなメロディ・ライン。弦楽器隊はステージを縦横無尽に駆け抜け、飛んだり跳ねたりかなり軽快な動き。基本的にはアップ・テンポな曲が続く展開でいわゆるバラードの小休止はなかったが、バンドもオーディエンスも燃える様な体を激しく揺らし、拳を突き上げ楽しんでいる。
これぞロックのライヴ、と舌を巻く様なラフで攻撃的なパフォーマンスは圧倒的なまでにパワフルの一言。CDだけ聴くと、初期の頃の郷愁的なサウンド・スタイルから脱クラシック・ブリティッシュへとの試行錯誤が狭間見られるアルバム2枚目以降まで、生で聴くとこの人達どんな演奏になるのだろうと疑心暗鬼に駆られるところもあるのだが、やはり百聞は一見にしかず。彼らのオリジナルとはこのライヴ・パフォーマンスにあること間違いなし。ポーズを気取らずしても立てる定位置をここに来て彼らはやっと手にしたんじゃないだろうか。
-- setlist --
Welcome Home, Luc Robitaille / White Wall / Motown Blood / Killer Kaczynski / TV & Me / Good Morning Herr Horst / Ochrasy / Tony Zoulias / Amsterdam / God Knows / Sheepdog / Long Before R&R / encore / The Band / Clean Town
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report and photos by kaori
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