ハウリング・ベルズ @ ココ、ロンドン (25th Feb. '07)
妖女の夢は夜ひらく
英国を拠点に活動するオーストラリア出身の4人組、ハウリング・ベルズ。絹のように滑らかな声を持つ紅一点ヴォーカリスト、ワニータと、ブルージィかつダークなサウンドが妖艶な雰囲気を醸し出ているバンドである。妙に落ち着いたその佇まいから、何やら神秘的な匂いさえただようステージ。
日曜日のココには30代前後の男性やカップルの姿が目立つ。豹柄のワンピースに赤いカチューシャを巻いたワニータがバンドのメンバーと共に現われると、観客はまるで息を飲む様に彼女に見とれている。真珠のように白い肌がとても眩しく美しい人だ。気さくな挨拶から、序盤はリズム隊の太い音がリードする形で、ワニータの歌声も負けじとそれに絡まってゆく。補助のマイクロフォンを用いる彼女だが、メインの1本から十分に行き届く声量だ。"セッティング・サン"の物憂げなイントロから気怠くも不思議な広がり見せる独特なこの声。ザラついたギター・リフの"ブロウクン・ボーンズ"のイントロが始まり、青い光の中で肩をすくめて歌う彼女を見ていると、まるでコンサートを観ているというよりもバーの片隅で演奏する流しのミュージシャンを目にしているかのよう。時折弦楽器同志で絡む場面もあったが、情熱的に動き回るというよりも、各自自分のスペースで気持ちの昂りにまかせてプレイしている感じだ。
最新シングルでもある"ロウ・ハプニング"のソリッドで不協和音に歪むギターと、躍動的なベース・ライン。低音、中音域を行き来するワニータの表現力は単に個性と言い切るには安直なほど、深く、聴けば聴くほどに引き込まれてゆく戸惑いの魅力がある。アンコールは無しであっさりした約1時間のパフォーマンスではあったが、幻惑の宵に誘われた人々の表情には明るい満足感を見た。
-- setlist --
The Bell Hit / Cities / Wishing Stone / Setting Sun / Velvet Girl / I'm Not Afraid / Blessed Night / The Night Is Young / In The Woods / Across The Avenue / / Broken Bones / A Ballad For The Bleeding Hearts / Low Happening
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report and photos by kaori
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