ゴシップ @ アストリア、ロンドン (24th Feb. '07)
闘う女王様
その見た目のインパクトたるや凄まじいフロントウーマン、ベス・ディット率いるUS発の3ピース・バンド、ザ・ゴシップ。"スタンディング・イン・ザ・ウェイ・オヴ・コントロールがインディ・シーンにおけるアンセムとなりその存在を一気にしらしめたが、結成から6年、3枚のフル・アルバムをリリースとぽっと出のインディ・バンドというわけでは決してない。むしろここ最近の上昇の影には長く地道なライヴ活動があった。今宵ヘッドライナーとしてNMEツアーの舞台に立つ彼ら。同誌の読者投票による、2006年度クール・リストのNO.1に輝いた彼女の放つライヴは色々な意味で見どころ満載である。
ゴミ袋のような物を被り、舞台袖から2人のメンバーに続いて登場したベス。耳をつんざくような歓声の中、ラベルズのカヴァー、"レディ・マーマレイド"を歌い出し、"リッスン・アップ"へと繋げる。ステージを右に左にフットワークも軽く動き回り、パワフルな声量で歌い上げる彼女の姿に思わず口を開きっ放しにして見入ってしまった。こんな強力な歌い手は今まで見た事がない。ギターとベースを兼任するブレイスの激しく切れ込む弦の音と、体の内側に挑みかかってくる様な重いハンナのドラムが3人編成とは思えないほどのエナジーを生み、とどめにベスの圧巻の歌声が一つになって竜巻のように会場に響き渡っている。"ユア・マングルド・ハート"の不穏なグルーヴにはホワイト・ストライプスの持つ狂気やザ・キルズにおける辛辣で硬派なサウンド・スタイルがあり、"ジェラス・ガール"の踊れるメロディ・ラインも秀逸だ。
迸る汗と、漲る熱情で会場を引っ張った彼らはやはり"スタンディング・イン・ザ・ウェイ・オヴ・コントロール"で締めを飾る。イントロのベースが鳴るや否や拳を突き上げ体を揺らし出すオーディエンス。自身がゲイであることを公言し、米国政府が打ち出した同性愛者による婚姻の権利を認めぬ姿勢への抗議を込めたこの曲は、単に聴き手の耳を奪うだけではなく、色眼鏡越しの偏見に悩む同志の共感をも得たからこそここまでのヒットとなったのだろう。「もし私がブロンドでスリムだったらもっと早く注目されてたんだろうけど」とどこかの雑誌で語っていた彼女だが、そんなの当たり前過ぎてつまらない。自分を知る人は強い。振り絞られたそのシャウトは誰よりも激しく、心に突き刺さった。
-- setlist --
Listen Up! / Keeping You Alive / Tribal Best / Coal To Diamonds / Fire Sign / Jealous Girl / Makeshift Promise / Aailyah / Don't(Make Waves) / Yr Mangled Heart / Spare Me From The Mold / Yesterdays News / Standing In The Way Of Control
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report and photos by kaori
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闘う女王様 (07/02/24 @ Astoria, London) : review and photos by kaori
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