NMEインディ・レイヴ・ツアー2007 @ ハマースミス・パレー、ロンドン (22nd Feb. '07) feat. クラクソンズ、シーエスエス、 ザ・サンシャイン・アンダーグラウンド、ニュー・ヤング・ポニィ・クラブ
一足お先に開花宣言!
毎年恒例のNMEが主催するショックウェーブス・ツアー。今月アイルランドを皮切りにスタートしたこのインディ・レイヴ・ツアーも今夜のロンドンが最終公演となる。常にその年最も勢いのある新人でライン・アップされた、最先端の音楽好きにはたまらないこのイヴェント、今年はロンドンからクラクソンズ、そして海を越えたブラジルからはシーエスエスまで、レイヴという名に相応しい涎モノの面々が揃った。10代後半の元気キッズ達が大半を占めるそのオーディエンスの熱狂ぶりが半端じゃないのもうなずける。
トップ・アクトはニュー・ヤング・ポニィ・クラブ。ニューウェイヴ、エレクトロニカを基盤とした男女5人混合のバンドである。体全体で歌うヴォーカル、タヒタのしなやかな動きと、浮遊するシンセサイザーがバンドの音の中心を担い、クラブで聴けば盛り上がるであろうダンサブルなサウンドが特徴だ。印象的だったのは"アイスクリーム"。リズム隊がおとなしいものの、そこはエレクトロニカ特有の無機質な音作りということで、可愛い女性ドラマーもいることだしインディ圏内にいる限りは問題なし。
続いてはリーズ出身のザ・サンシャイン・アンダーグラウンド。平均的な4人編成の彼ら、繰り返し口ずさみたくなる様なポップなメロディと若者らしい歯に衣着せぬ歌詞、尖ったギターの音色が今回の出演バンドの中で一際光っていた。"ボーダーズ"や"コマーシャル・ブレイクダウン"における親しみやすい曲調、はたまたザ・ラプチャーを思わせる"100マイルズ・パー・アワー"の踊れるリズムがライヴ・パフォーマンスの力強さの中にしっかり生きていた。この先の伸びを感じさせる可能性を最も秘めた要注目バンドだ。
会場の盛り上がりも沸点を迎えつつある中で現われたのがブラジル発、期待の新生シーエスエスことキャンセイ・デ・セイ・セクシィ。米国名門レーベル、サブポップが輩出したこの男女6人の強力なグループは、日系ブラジリアンのフロントウーマン、ラヴフォックスのキュートでハイパーな個性を軸に新人らしからぬ圧倒的な存在感を放っている。エレクトロニカ、シャキシャキのシンセ音とクラブ・ベースなサウンドに、ダンサブルで耳を惹くメロディ。演奏にはまだムラがあるものの、デビュー・アルバムで聴かせる"アララ"、"オフ・ザ・フック"に見る出色の世界はこれからうなぎ上りに違いない人気を保証している。
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そしてこの日の大トリ、クラクソンズ。先日新たにドラマーをメンバーに迎え、4人になった彼ら。その奇怪な髪型や、キッチュでカラフルなルックスの今時の若者がプロディジーばりに奏でるノイズ・ワールドが興奮のるつぼと化した客席に怒りの如く広がってゆく。各楽曲がロック、パンク、エレクトロニカという要素を含んでおり、"マジック"のリズム転調や、"アトランティス・トゥ・インターゾン"のダークなメロディ・ラインには単純に踊り乱れられない恐さが潜んでいるのだ。最新シングルの"ゴールデン・スキャンズ"での歌謡曲らしい掴みやすいコーラスが狂気のハーモニーを重ね、メンバーの動きは思いの他激しくもないが、その分引っ掻き鳴らされる轟音に身を委ね、己の世界に没入している様子。ジャニーズ事務所も真っ青な量の蛍光ライトが光る闇にうごめく熱狂の観客を完全に支配した音のギャングスター達は、まさに千秋楽の場に相応しい横綱っぷりを見せつけた。
-- setlist --
The Bouncer / Atlantis To Interzone / Hall Of Records / Totem On The Timeline / Forgotten Work / Golden Skans / As Above, So Below / Magick / Isle Of Her / Gravity's Rainbow / Four Horsemen Of 2012 / encore / Two Receivers / It's Not Over Yet
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report and photos by kaori
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