50回転ズ & ザ・ボゥディーズ @ 下北沢シェルター (22nd Feb '07)
ビートルズvsラモーンズ
この日の下北沢シェルターも満員で身動きが取れない状態である。そんなトイレに行くのも一苦労なところに、アナログ時代、ドカンズ、THE BAWDIES(ザ・ボゥディーズ)、50回転ズの4バンドが出る。その中でもボゥディーズと50回転ズを取り上げたい。
これはぜひ特筆したい。ボゥディーズはすごかった。演奏が終わった瞬間に物販で彼らのCDを買ったくらいなのだ。どんなバンドかといえば、見た目も音もすばり、ビートルズ。何の言い訳も出来ないくらいビートルズである。ビートルズが好きなら元ネタがすぐに分かってしまうだろう。だが、そんなことは大して気にならない。熱く、畳み掛けるようなロックンロールで、その荒々しさは、きれいなメロディや実験精神で評価が高まる前の「不良」のものとされ、女の子たちを熱狂させた、いわば「教科書に載らない方のビートルズ」なのだ。
さらには、このバンドはビートルズだけを聴いているのではなく、ビートルズが影響を受けているR&Bや古いブルースやロックンロールをきちんと聴いていることがわかる。それは彼らの気合いの入った音を聴けば十分に実感できる! 深いところからビートルズを捉えなおして、今のお客さんにも伝わるようにしているのだ。まあ、家に帰ってCDを聴きなおすと、ヴォーカルの声の渋さはスモール・フェイセスや、それに多大な影響をうけたオーシャン・カラー・シーンなんかも思い起こさせるのだが。
しかも4人ともイケメン。すっきりとした優男風のイケメンからこんなに野太い声が出るのかって不思議なくらい。すでに女の子の熱心なファンは付いてきている。絶対お勧め
さて、この日シェルターを埋め尽くしたのは、50回転ズのファンだった。登場から大きな歓声で、演奏が始まったらモッシュの阿鼻叫喚だった。すさまじい盛り上がり。決めのフレーズは大合唱。"50回転ズのテーマ"で始まり、"マブイあの娘"、"1976"という定番の流れだった。ドリーが歌う"1976"の軽快だが、ちょっとセンチなメロディが胸に来た。
この日の盛り上がりは"たばこの唄"、"少年院のソナタ"あたりで、満員の客席の熱気はすさまじいものだった。その一方で、"天王寺エレジー"の代わりに"アタイが悪いのサ"。演歌ぽいバラードナンバーでダニーが情感がたっぷりに歌い上げる。ささくれたギターが沁みてくるのだ。新曲はボギーが歌う"ギヤを入れろ"、そしてドリーが歌うアップテンポのナンバー"Long And Winding Road"(ロング・アンド・ワインディング・ロード)、そしてダニーが歌う"Money! Money!"である。"ロング〜"はビートルズのカヴァーではなく、軽快でハッピーな感じの曲だ。お馴染みRCサクセションのナンバー"雨上がりの夜空に"で、お客さんをさらにアゲて、恒例の"おさらばブギウギ"のコール&レスポンスで締める。
もちろん、フロアを埋め尽くしたお客さんたちは満足せず、アンコールを求める。再びステージに現れて"放送室のメロディー"、そして、久しぶりに"夢ならいいのに"、最後は"Thank You For Ramones"(サンキュー・フォー・ラモーンズ)だった。ボゥディーズがビートルズなら50回転ズはラモーンズだぜ!! という感じで最後の最後まで盛り上げっぱなし。初めて50回転ズを観たとき、このすさまじいフロアの光景を予想できたであろうか。でも、ロックンロールを信じて、その魅力をわかりやすく伝える50回転ズがこのように大きくなっていくのは、当然なのかも知れない。
*写真は翌日にterumiが撮影したものを使用しています。
-- setlist --
50回転ズのテーマ / マブイあの娘 / 1976 / Mr1234man / たばこの唄 / ギヤを入れろ(新曲) / 少年院のソナタ / アタイが悪いのサ / Long and Winding Road(新曲) / Money! Money!(新曲) / 雨上がりの夜空に / おさらばブギウギ
-- encore --
放送室のメロディー / 夢ならいいのに / Thank You For Ramones |
report by nob and photos by terumi
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ビートルズvsラモーンズ (07/02/22@ Shimokitazawa Shelter) : review by nob, photos by terumi
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