button イースタン・ユース with トクマルシューゴ & ザ・マジックバンド
極東最前線 〜 沸点 36.5℃ @ 渋谷クラブクアトロ (16th Feb '07)

腕に覚えあり


トクマルシューゴ & ザ・マジックバンド
 極東最前線。イースタンユースが1994年から行ってきたこの自主企画公演は、ほぼ毎回、様々な音楽ジャンルのアーティストがゲストとして招かれている。極東最前線というライヴが、観客にアーティストとの新しい出会いをもたらした事もきっと多いのではないだろうか。

 今夜のゲストは、トクマルシューゴ&ザ・マジックバンド。ギター、弦楽器、打楽器、鍵盤、果てはノコギリ(!)までも演奏の道具として録音されたという一枚目のアルバム「Night Piece」はまずアメリカで発売され、そのファンタジックでどこか謎めいたサウンドが海外で高い評価を得てきた。すでにヨーロッパでもツアーが行われ、ここ日本でも着々と、その吸い込まれるようなサウンドでハマる音楽好きファンを増やしている、人気的には逆輸入的な形のアーティストだ。

トクマルシューゴ & ザ・マジックバンド 「さて、始めましょうか?」

 やや緊張気味にトクマルシューゴがバックバンドに声をかけ、一曲目の"Vista" が演奏され始める。彼を取り囲むのはバンジョーやウッドベース、トイピアノにアコーディオン、ドラムにパーカッションのビッグバンド。まるで折りたたまれた楽曲があでやかに展開していくかのように、暖かく鮮やかなサウンドが会場内を包む。思わず現実の感覚から離れ、ぽーっとなってしまうのに時間はかからなかった。

「本当は客席でイースタンユースを見ていたい。」とMCで語り、緊張のせいか決して多くはない口数ながら、その端々にマイペースでシニカルなキャラクターが見え隠れするトクマルシューゴ。「クアトロは昔、墓地だったんですよ。」などと語って観客を煙に巻き、バックバンドも笑っている。

「シミったれた曲をやるので、シミったれて聞いて下さい。」ピンスポットライトを浴びながらそう語り、笑顔のバックバンドに合図すると、まだ未発表の新曲も披露された。彼のボーカルはあたかも楽器の一部のようで、歌われる歌詞も曲を彩る効果の一つとなっていて、とても繊細だ。

 この日のライヴは短めだったものの、次回のライヴが4月に決定しており、トクマルシューゴ自身が手放しで大好きだと声を大にして言えるゲストを招いての自主企画だそうである。ぜひその不思議な音世界でどんどんライヴを行って欲しいと思わせるアーティストだった。

Eastern Youth
 一月末にギターの吉野寿が腕を骨折してしまうというアクシデントに見舞われたイースタンユース。直後のイベント出演はキャンセルしたものの、今夜のライヴは敢行するという。果たして今夜のライヴの客電が落ちる。

Eastern Youth ギターの吉野は得意気に(というか照れ隠し気味に)、左腕にギブスを付けたまま両腕をブンブン振りながら現れ、スタッフに「ちょうだい!!」というポーズでギターを肩にかけて貰っている。観客から歓声が沸き起こった。結果を先に書けば、この日のライヴに悲壮感などは全然なかったのである。

「見てのようにポンコツです。どうなるか俺も分からねえ。」そういいながら一曲目の"荒野に針路を取れ"を演奏し始める吉野。多少指の運びにもたつきがあるものの、演奏の気迫がそれを上回っていた。次の"夜明けの歌"で客席フロアに目をやれば、ステージをじっと食い入るように見つめる観客が増えたように感じる。

Eastern Youth MCでは吉野が「折れた骨よりも、ライヴ直前に剃った髭剃り跡が痛いの!」と語り、ギターのストラップでめくれた襟元を、スタッフがすました顔で直しに入って来たりと、その度に客席からは和やかな笑いが起きていた。ステージ上で吉野のMCをにこやかに聞いていたベースの二宮の表情がふいに真顔になり、MCにベースを重ね始める。一気にステージ上に緊張感が戻り、そのまま"路傍の影"へ。「腕の骨一本、あばら骨も添えて進呈致す!」と一言語り、シャツの胸元を右手で掴むようにして叫ぶ吉野。最後は「もとより保険のかかってない人生ですよ。」と"365歩のブルース"を演奏して去って行った。

 アンコールがかかり再び3人が登場すると、ドラムの田森が眼鏡姿。客席から「眼鏡似合ってるよ!」の声がかけられると、すっくと立ち上がって客席にスティックを投げてあげる一幕も。アンコールで最初に演奏されたのは"砂塵の彼方"。まさに馬鹿げた感傷など不要、「楽曲の再現演奏だけではない何か」が感じられるライヴだった。
Eastern Youth

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