クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン (13th Feb. '07)
賢者の演奏
ネット上で配信された自主制作盤のデビュー・アルバムが口コミで話題をさらい、米国を基盤とした同じくネット上の音楽メディア、ピッチフォークの高評価によってきら星の如く現われたクラップ・ユア・ハンズ・セイ・イヤー。あれから約2年足らずでもうニュー・アルバム、"サム・ラウド・サンダー"を今年1月にUK先行リリース。英国ではウィチカ、日本はV2レコードの所属ながら、本国では未だレーベル無所属の、まさにインディ路線を体現し続ける風変わりバンドだ。
何が変わっているかって、そのデビュー作を一聴すれば誰もが耳を疑う、ヴォーカル、アレックの酔っぱらいの様な素っ頓狂な歌声に、気が抜けたトーキング・ヘッズを思わせるサウンドである。けれどもライヴとなると、CDから醸し出されるまったり寄りな音が、集中力が結束し、弦楽器のサージェント兄弟を中心とした、黙々と、淡々とプレイするその彼らのレヴェルの高い演奏力によって二周り以上ダイナミックに響き、時折ひっくり返る奇怪なアレックのヴォーカルも何故か力強く聴こえて来るから不思議だ。2枚のアルバムからバランス良く構成されたセットでは、オーディエンスが気持ち良さそうに合唱する様が印象的だった"ザ・スキン・オヴ・マイ・イエロウ・カントリィ・ティース"、"オーヴァ・アンド・オーヴァ・アゲイン"、管楽器が加わり、モグワイの如し超絶なバンド・アンサンブルが出色の"シー・スマイルズ"、拡声器と大太鼓を用いた実験色の強い"ヘヴィ・メタル"と、アンコールまで最後まで盛り上がりは続いた。
地に足着いた表現力と、スルメの様に味わいが深まるメロディはそんじょそこらの若造には生み出せない彼らならではの世界。ゆるゆるな、心地良いこの感覚は何とも言葉では言い表せないが、終始貫かれた、しれっとしたその表情の裏に確かに感じられた奇才ぶり。普通に見える事こそ実は一番普通じゃない。
-- setlist --
Some Loud Thunder / Satan Said Dance / Is This Love? / Safe And Sound / Details Of The War / Is This Home On Ice / Foreign Land / Yankee Go Home / The Skin Of My Yellow Country Teeth / Gimme Some Salt / Over And Over Again / She Smiles / Heavy Metal / encore / Clap Your Hands / Upon This Tidal Wave Of Young Blood |
report and photos by kaori
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