ラーリキン・ラヴ @ ココ、ロンドン (12th Feb. '07)
真冬のカーニヴァル
子供達がすくすくと育つように、伸びるバンドは著しい進化で成長を遂げるものだ。ラーリキン・ラヴも、一年前の今頃はエルボウがヘッドライナーを飾ったこのNMEアウォード・ショウの最初の前座に過ぎなかった。それがインパクトの強いシングルを立て続けにリリースし、そのデビュー・アルバムの完成度の高さから窺えるほどの躍進を見せた2006年の後半。そしてフェスティバル、単独ツアーを積み重ね、懐かしさと新しさの入り交じった独特なサウンドを奏でる4人の若者達はあれから一年経った今夜、ココのステージに上がる。今度はれっきとしたヘッドライナーとして。
悲鳴にも似た歓声に迎えられたメンバー達。フロントマンのエドワードはシルクハットにジョッキー・ブーツと言う古き良き時代の英国紳士然とした出で立ちで、目の前に飾られたジョーズの置物に抱きつき茶目っ気を見せる。オーディエンスが盛り上がるスパイキーな"シックス・クイーン"から幕開けたセットはアイリッシュ・フォークの風味とその軽快なテンポが楽しい"エドウッド"、"ハッピィ・アズ・アニィ"で観客の体を開放的に踊らせ動の世界を作り上げる一方で、コントラバス、ヴァイオリンという弦楽器を交えた、流麗でのどかな心持ちに誘う"ポウル・マイ・ディア"、"リボン・ダンス・ミュウズ"では、まだ20歳そこそこでしかない青年とは信じ難いほどの叙情をもたらしている。英国の伝統を若い感性で咀嚼した彼らの音楽は、それを十分に体現する溌剌としたライヴ・パフォーマンスの中で、この場にいる人々の心を最後まで捉えて離さない、恐るべしバンドだ。
2曲のアンコール後に消防隊のような銀色のナイロン・スーツ姿で再びステージに現われたラーリキン・ラヴ。お手玉師やら、ダンサーやらもう最後は何でもいいからとにかくハッピーにやっちまえとばかりに色々な人達がステージに乱入し、サーカスか、パレードの如しはちゃめちゃなお祭り騒ぎでこの夜を締めくくった。ここにあるのは限りない自由。スカだとかフォークだなんてどうでもいい。僕らがやりたいようにやるだけさ。満面の笑みを交わしはしゃぐ若者達の生き生きした瞳がそう語っているようだった。
-- setlist --
Six Queens / It Explodes / Edwould / Paul My Dear / John O Ryans / Happy As Annie / Forever Untitled / On Sussex Downs / Ribbon Dance Mews / Well, Love Does Furnish a Life / Place In My Heart / Cucumber / Burning Coast / encore / Feet Of Re / Downing Street Kindling / Silver |
report and photos by kaori
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