ヴォストークス @ 代々木 ザー・ザ・ズー (9th Feb '07)
青く、冷たい世界の先へ
ブロンディ・プラスティック・ワゴンのヴォーカル、篠原信夫が展開するソロプロジェクト『ヴォストークス』(バンド名の詳しい由来などはオフィシャルサイトをチェック)。ブロンディが活動を休止し、それでもどこか自分を表現する場が欲しいと手探りで始めたバンド活動。試行錯誤を繰り返しながら進んできた今、自分がやりたいこと、伝えたいことを表に出せるところに辿り着いたようだ。
ステージのセンターに設置されたスクリーンをバックに最初は篠原ひとりで現れた。アコースティックセットでのスタートはこのバンドが活動し始めてから初めての試み。毎回ライヴをチェックしているコアなファンによると「いつも何かしら違うことをやる」とのこと。思いついたことを即取り入れられるフットワークの軽さは、ソロならではかもしれない。2曲の弾き語りの後は、スクリーンを囲むようなフォーメーションで4人のメンバーがステージに。まるで映し出される映像がメインで人間はシルエット。通常、ライヴでの主な表現ツールは『演奏と歌』だが、そこに『絵と言葉』が加わることで、「あぁ、この人は今、こういうことを感じていて、こういうことが言いたいのだな」というのが非常にわかりやすく展開されていた。
ヴォストークスが創りだす世界は冷たくて青い。淡い色彩が揺れる画像のせいなのか、篠原信夫の作る曲の透明感からなのか、海に潜って水面を見上げた時の光景を思い起こさせる。広い広い場所にたったひとりで、でも生きているということを強烈に体感するあの瞬間を。
初めてこのバンドを見たのは昨年の8月。その時感じたのはどんどん心が冷えていくような氷の悲しみと淋しさだった。でも今回のステージからは、悲しみはずっとは続くわけではない、その次に訪れる希望や雪解けの後に来る春が見えた。溶けはじめた氷は瞬く間に形を変えていく。ヴォストークス、見るなら今だ。
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report and photos by wacchy
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青く、冷たい世界の先へ (07/02/09 @ Yoyogi Zher the Zoo) :report and photos by wacchy
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