セント・ヴィシャス・デイ @ 代官山ユニット (2nd Feb '07)
feat. スタンス・パンクス, ザ・スター・クラブ, 電撃ネットワーク, 遠藤みちろう & ソロウ
ならず者という名のロマンチスト達
シド・ヴィシャスは1958年5月10日にロンドンで生まれた。恋人ナンシーを殺し、さらに暴力事件で再逮捕、その出所祝いで打ったドラッグで1979年2月2日に二十歳でこの世を去る。刑務所帰りのクリーンな身体には、いつもの量がキツ過ぎたらしいという、最高のオチを付けて。
それから28年。ソロウ率いる川村カオリが発起人となって、シドの命日に開催されるのが「セント・ヴィシャス・デイ」。今は亡きシドを偲んで、しんみりと? まさか。冗談きついぜ。パンクは反骨精神。彼の残したスピリッツをライヴハウスで楽しもうって次第。会場には、ライヴ・スペースのフロア横に併設されたDJブースと、さらに階下のB3でDJが同時進行。B3にはあまり降りられなかったけれど、脇のドリンクカウンターに「Vicious Beer(ヴィシャス・ビール)」なるドリンクメニューを発見。ナニが入ってたんだ?(笑)。
DJでルースターズの "どうしようもない恋の歌" がかかっている午後10時過ぎ、フロアに徐々に観客が集まり始め、最初にステージに登場したのはスタンス・パンクス。1曲目の"星の落としもの" からすでに痙攣するように暴れながら歌うTSURU。前に詰めたお客さんは両手で拳を上げている。4年前に神戸で一度彼らを見たことがあるのだが、この日も変わらずギターの勝田はハリネズミの様なスパイキーヘア。そのヴィジュアル&ギターサウンドとはうらはらに表情はいたってクールに見える。
MCではベースの川崎が、「今日はシド・ヴィシャスの命日って事で。それと同時に横井さんが帰って来た日でもあります。」とグアムから奇跡の生還を果たした旧日本兵・横井庄一さん話へと大幅に話題がそれてる(笑)続く"モンキーセブンティーン"では、「ジャ〜マなんだよッ」と言わんばかりにベースのネックでマイクスタンドを横に張り倒していた。見ていて快感な光景だった。
「天国に行った偉人らの歌さ」とTSURUが語り、"絶望ニュージェネレーション"へ。TSURUもマイクスタンドをステージ袖に投げ飛ばし、ステージのモニタの上に上がってフロアを見渡しながら歌っている。最後の曲"モニー・モニー・モニー"の前には、「初めてのアイドル、シド・ヴィシャスに! 結局、永遠のアイドルなのさ。」と、とても嬉しそうにMCしていた。見ているこちらも甘酸っぱい気持ちを思い出させるバンドだった。
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再びしばらくDJタイムをフロアで過ごしていると、"WE ARE PUNKS" の荘厳なSEが流れ始め、観客が怒号のような歓声と拳をあげ、前に詰める。THE STAR CLUB が登場。黒いファージャケットを着て(裏地は豹柄!)ボーカルのHIKAGEが現れる。バンドを結成したのが1977年だというから、今年で三十年目!パンクのスピリッツを三十年間貫き、それが現在も進行中なのだから驚かされる。とにかく客席前方のノリはもの凄く、観客の波の中から次々とダイバーが沸いて出てくる状態なのだけれど、脚から垂直に沸いて出て来ている。あの時お客さんは一体どういう状態になっているんだろうか?(笑)
MCを殆ど入れずに疾走するサウンドは重厚で、客席の狂乱と併走する形でライヴは進む。それでいて曲はポップでもあり、後ろで楽しむ観客も飽きさせない。
バンドの演奏と客席の熱気が、最前柵付近で激突しているかのように感じるのだが、その中で一瞬、HIKAGEの手と観客の手が触れる瞬間があった。ほんの一瞬だったのだが、とても印象的だった。
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report by jet-girl and photos by hanasan
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