Smashing Mag / Aqualung @ The Spitz, London (2nd Feb. '07)

　1年以上もUK内でツアーが無かったアクアラング。3月にはニューアルバム、『メモリー・マン（Memory Man）』が発売になるということで新曲お披露目のために行われたこの日のライブ。ロンドンのかなり小規模な会場で2日間連続で行われ、この日はその2日目だった。ところが現在彼らはUSを中心に活動をしているためにUSではアルバムの発売日は3月13日と決定しているけれども（日本盤は3月21日に発売）、UKではまだ未決定。それでも本国のファンに最初に聴かせることになったのは嬉しい。

　今までは必ず使用していたグランドピアノはこの日は不在。ピアノの音を取り入れたキーボードを使用。思うに会場があまりにも小さくてグランドピアノを搬入できる設備が無いからというのが考えられるが。そして今までは使っていなかったと思われるエレクトリックな音を操作する小さな機材をそのキーボードに接続していた。その機材はどうやら音を記憶させるものらしく、それが『メモリー・マン』の名前の由来になったなどと言っていた（ジョークだったのかも知れないが）。

　数々に演奏された新曲はどれもすばらしかった。以前に比べてもっとコンテンポラリーな感じが強くなり、曲のメリハリが強調されている。特に良かったのはニューアルバムの1曲目に収録される『シンデレラ（Cinderella）』という曲。強さを感じさせるインパクトを持ちながらも、透明感があり繊細なものを感じる曲だった。他の曲では『メモリー・マン』を使用してクレイジーな音を添えるものもあったりなど、エクスペリメントなものにも挑戦している姿勢がうかがえた。でももちろん彼ら独特の、あたかも水溶性があるようなメロディーは顕在。クラシック寄りの原点は失わずして新しい方向へと広く開拓していったんだなというのを感じさせた。