つづら折りの宴 @ 吉祥寺スターパインズカフェ (20th Jan '07) feat. ソウル・フラワー・モノノケ・サミット デューティー・フリー・ショップ×カクマクシャカ、サヨコオトナラ
僕達の唄が歌われた時
かなり多くのお客さんが吉祥寺に足を向けたらしく、会場はギュウギュウのスシ詰め状態であった。ライブ冒頭に登場にした伊丹英子はこの日のことを切々と訴えるわけでもなく、「温泉に行くような気持ちで、辺野古に来て下さい。近いから。」と会場の笑いを誘っていた。その温度は個人的には非常に心地よかったし、日常から音楽を鳴らしてきた彼女達の魅力が垣間みれた瞬間だったと思う。
辺野古のの基地移設問題に端を発した「ピース・ミュージック・フェスタ in 辺野古」のプレイベントとして開催された今回の「つづら折りの宴」。東京公演はソウル・フラワー・モノノケ・サミット、デューティー・フリー・ショップ×カクマクシャカ、サヨコオトナラという面子で催された。
やはり、何といってもモノノケサミット。「エイヤー、コイヤー」のリズムに乗って圧倒的な祝祭空間を作り出していく。三線、太鼓にアコーディオンと何のフィルターも通さない音は、生の音の手触りを鳴らしている。それに乗った「ガンバロウ」とか、「ワカラナイ」とか単純な言葉が繰り返される度に、グッと胸に込み上げてくるモノがあるのは、中川敬のぶっきらぼうなボーカルのせいだけではないだろう。それは、生の音が鳴らすもっと先から聞こえてくる音。人間の発する熱やらパワーが音に乗っかっているからだ。震災の被災地であろうが、辺野古の基地問題であろうが、鳴らす音に変わりはなく、音が鳴る理由も変わりはないのだ。そこに人がいる限り、そこに歌がある限りだ。
辺野古では現在基地の移設に反対する地元のオジーやオバーが1,000日を超える座り込みを続けているという。沖縄在住の伊丹英子をはじめ、その現状を目にしてきたメンバーだからこそ鳴らせる音が鳴っていた。それはまさにこのバンドの音の真髄。視線はいつも変えるべき未来を見つめている。そう僕達の側から。それは何も難しいことなんかじゃないはず。「ガンバロウ」とか、「ワカラナイ」とか僕達の単純な気持ちから始まっているのだから。
OTOのアンビエントなギターの上を力強く、軽やかに言葉を転がすサヨコの声がとても気持ちの良かったサヨコオトナラ。若さ溢れるラップが同世代の沖縄を教えてくれたデューティー・フリー・ショップ×カクマクシャカ。この日出演したアーティスト達にジャンルの壁なんてものは存在しなかった。あくまでも僕達の唄を歌っていたという意味では。
2月の本番には渋さ知らズオーケストラの出演も決まったようだ。東京に住んでいる者としては中々現地に飛ぶということは難しい。だからといって傍観者として眺めているわけにもいかな気がするのだ。それは、この日鳴らされた音が自分と同じ生活や目線と何ら変わらない音だったから。それは僕の歌でもあり、あなたの歌でもあるのだ。辺野古での本番が素晴しい瞬間になることを、音楽が何かを伝えることを、そんなことを思わずにはいられない良いイベントだった。
【Peace Music Festa! 辺野古 '07】
開催日:2月24日(土)&25日(日)
場所:辺野古ビーチ
HP:http://www.peace-music.org/
出演者:
【24(土)】
■照屋政雄 with 仲本興治 ■ドーナル・ラニー with 梅津和時,近藤ヒロミ ■YOUL & Amina ■Shaolong To The Sky ■うつみようこ ■ノマ アキコ[GO!GO!7188] ■COCOTABO ■TRINITY club BAND ■寿[kotobuki] ■勢理客オーケストラ ■ソウル・フラワー・モノノケ・サミット ■DUTY FREE SHOPP. and more…
【25(日)】
■U-DOU & PLATY ■NANJAMAN ■新良幸人 ■KACHIMBA1551 ■カクマクシャカ ■KZ[G.A.C] ■山原Ragga兄弟 ■琉球LION ■King Jam Session ■花バンド ■ソウル・フラワー・ユニオン
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report by sakamoto and photos by hanasan & izumikuma
なお、ソウル・フラワー・モノノケ・ユニットの写真は昨年7月に東京キネマクラブにて、また、サヨコオトナラの写真は一昨年10月に青山の月見ル君想フにて撮影されたものを使用しています。
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