button中山うり @ 代々木ザー・ザ・ズー (12th Dec. '06)

2007年、中山うりは何の夢を見る?


Uri Nakayama
 自分が再生した曲の履歴を自動保存してくれるサービスがあり、昨年秋頃から使用している。総括の気分でそのデータを確認したら、再生回数1位はダントツで中山うりだった。まだアルバムを出してないどころか、iTunes Storeで配信された9曲(EP2枚)が全音源だというのに1位である。

 これには驚いた。彼女の音源を薦めてくれたfunabashiが、以前「Smashing magを魅了し続ける歌姫」というレポートを書いていた時は「あんなおとなしい奴なのに意外とでかい妄想しているじゃないスかw」とか思っていた私が実際は魅了されまくりじゃないか。

Uri Nakayama 驚いた理由はまだある。自分自身そこまで聞いていた覚えがないのだ。好きではあるが、自分が今年一番魅了されたのは、彼女ではなくハンバート・ハンバートという日本人デュオだと思っていたのだ。一体なぜこの結果に?という謎に迫るため、12月のライブを省みる事にした。

 12月12日、代々木ザ・ザズー。彼女の下半期はこのライブハウスが主な拠点となっていて、この日は用意された50席弱のイスに座るどころか、ビールを注文するのにも一苦労の人の入りである。そんな満員を前に、勢いのいいドラムに導かれて彼女が登場した。そしてアコーディオンが屈伸を始め、ショウが始まる。

 ショウはいつも通り、MCにクセのある笑いどころを交えつつ進む。今回はホーンセクションを交えての演奏ということで、インパクトのある外見とは裏腹に優しげなホロ酔いの調べを添えたチューバや、"生活の柄"にちょっとしたゴキゲンぶりを加えるトランペットが中盤に味わいをもたせる。そしていつものサポートメンバーらも、彼女とアコーディオンの音づくりに貢献するのは言わずもがな。時に地中海、時に南米を巡らんと舵を回していた。終わってみれば19曲、2時間の長丁場を与えられた我々だったが、その音の旅は時間を感じさせないものであった。

 と、かなり足早に回想に耽ってみたところ、私が無意識に中山うりの虜になっている理由が分かってきた。それは、彼女の歌が「景色」を見せてくれるからなのかもしれない。

Uri Nakayama いい歌は「単にいい歌だ」で終わらないものだ。メロディーが泣けるだのエフェクトがヤバいだの、表層的な感想で完結できる名曲はTSUTAYAにでも行けばいくらでも存在する。だが、さらにそこへ付加価値を伴うものこそ、初めて人を魅了させうると私は思っている(し、こうして音すなわち見えざるものを私は言葉にできる)。

 彼女が、味の濃いコンビニ弁当みたく消費しただけで終わらないのは、サウンドスケープ―音で見せる世界の風景にこそあるのではないだろうか。思えば私が彼女を聞いている時間は大体が何気ない生活の営みの中。私は彼女に日常の彩りを求めていたのかもしれない、と言えるだろう。それならば一番聴いていたというのも道理だ。中山うりの音は、景色を創るのだ。

 しかし私も欲の深い人間で、そろそろさらなる高みも期待してもよいだろうか?例えるならば、耳から変えてくれる景色の中に、ひときわ印象深い建造物や遺跡などを発見してみたい、そんな好奇心に駆られている。

 そんなわけで、2006年に素晴らしい楽曲でもって実りを与えて下さった事を感謝します。そして2007年、今年も宜しくお願い申し上げます。
Uri Nakayama

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